【 昭和51年3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-0312日−03号 】

◆小林和美委員 財政難の厳しい折柄、非常に大阪市の市民病院も救急指定にするということは非常に大変かと思うわけでございますが、私はできれば生命の尊厳の上に立って、市長さんが常にお年寄りや子供は大事にせなあかんねやと、こうおっしゃってる意味合いからも、これは市民病院を救急指定病院にぜひともやっていただきたいと思うわけでございますが、ごく最近北区で何かたらい回しになったとかいってお亡くなりになった事件があったように聞いておりますが、これご存じでございますか。

◎小島環境保健局管理部庶務課長 存じ上げております。

◆小林和美委員 内容は。

◎小島環境保健局管理部庶務課長 お答え申し上げます。これは本年の1月5日14時から翌日の21時にかけて起こった事件でございまして、あらまし申し上げますと、1月の5日の14時に北区の曽根崎中2丁目9番地、これ旧梅田繊維街の空家の前でございますが、傷病者がおったわけでございます。そうしましてこの方が、隣に一緒におった同僚が、傷病があるということで消防署に連絡し救急車が出動したわけでございます。そうしまして救急車が出動し、この患者さんを一たんある病院にお連れ申し上げたんです。そしてそこの病院で診察を受け入院の必要があると、ただし一両日には必ずしも入院しなくてもいいと、こういう診断がくだされたわけです。それで病院、あるいは消防局関係で入院先をいろいろと探しておったわけございますが、なかなか意のままになりませんで、元おられたところが空家の前でございますが、テント等を張っており、一応そういう状態でありましたし、一緒におられた同僚の方がおつき合いできると、こういうことで元のところへお帰りになった、一たん。そうしましてその後におきまして翌日そこでお亡くなりになった。こういうふうな事件と承っております。

◆小林和美委員 一浮浪者とはいえ、同じ日本人であり、そうした生きようとする方が救急病院に収容されず亡くなった。非常は私は残念だと思うわけでございます。

 そこで、ちなみに消防局さんの方から資料をいただいたわけでございますが、この資料によりますと、救急病院に連れて行ったが、実際収容してもらわなかった。これは詳しいデータが出ておるわけでございますが、49年の実態から申し上げますと、ベッドの満床のために収容不能、それが412。また連れて行ったが手術の最中で受け取ってもらえなかった253。設備の不十分が123。専門外だと言って断られて、480。その他が594。と、救急病院の指定であっても1年間に2,406名。一般の病院に連れて行ったが収容してもらえなかったのが、544。こういう実態でございます。

 さらにもう一つ、医師を搬送して救急活動に現場で処理しようとした数字が、1年間で351件。1年間でほとんど1日に1件にお医者さんが出動していらっしゃる。消防局さんの方に聞くと、お医者さんを現場に連れて行くのに非常に苦労する。いまは外来がおるとか、いまは手術中だとか、なかなか思うようにいかない。そうした面で遅きに失する問題も多々ある。

 こうした問題、さらには先般こういう事件がございました。救急車が現場に駆けつけたところが、どう見てもこの人はもはや死んでると、このように判断を救急車の方はされたそうでございます。そうすると家族の方は、まだぬくいんだと、脈もあるんだと、何とか病院へ運んでくれんかと、このように言われたそうでございますが、実際にはこれは死んでるから運べないと言って後は警察関係になったと、こういうようにお聞きしているわけでございますが、その後やはり肉親にしてみれば、あのとき救急者の方が運んでくれておったら、何とか助かっておったかもわからん。このように不満を漏らしていらっしゃる方もあるやに聞いておりますが、私どうもこうした面といい、また先ほど申し上げましたように救急車で連れて行ってもなかなか受け入れしてもらえない。たらい回しにされて最後には軒下の寒風にさらされて死んでいかなければならん。先日も北区でもあったわけでございますが、夜中に血を吐く、これはもう非常な状態だというので救急車をお願いして、走り回ってやっと生野区の方に収容していただいた。また消防局さんの話にようと、あるときには病院探しでもう12時間ぐるぐるぐる患者を積んで走り回ったこともございますよと、またひどい日になったら、24時間という長い間救急車の中が病院ベッドの状態のようで苦労したこともある。

 そうした面から、ぜひともこの救急体制においては医師の出動、また受け入れ方の救急病院をつくってもらいたい。こういう声を本当に私はお聞きした場合に、先ほど来お願いしとる大阪市の市民病院だけでも、6つあるうち城北が1カ所だけと言わんと、この6カ所で全部救急指定にしていただいて、さらに医師の不足、予算の関係もあろうかと思いますが、市民の生命を守る立場から、できれば内科、外科の先生方を常時待機していただいて、そしていつでも、どこでも出動できるような態勢にぜひともしていただきたい。この救急病院指定の問題と、医師の問題を市長さんにご所見をお伺いするわけでございます。