【 昭和63年度決算特別委員会(準公営・一般)平成元年101112-1116日−03号 】

◆柳本豊委員

 さて次に、住居不定者の問題についてお伺いいたします。私の地元でございますが、あいりんの労働問題は、最近非常に景気もよく、実に平穏に推移いたしております。しかし、平穏であるといっても、これは就労見込みある者でございまして、実は私が問題としているのは、そうでない方でございます。今、国内的にも高齢化社会と言われまして、65歳から70歳以上をもって高齢化と言うようでございますが、あいりんの労働者は、実は50歳以上が高齢者でございます。そういう人たちは仕事があぶれまして、地域をさまよい、住居不定者と相なっているわけでございます。昭和60年の国勢調査では、住居不定者が1,175人と聞いておりますが、私はこの数倍いるんじやないかと思っているんでございます。

 ところで、最近、アメリカやイギリスでも、こうした問題が社会問題となっております。いわゆるホームレスの問題でございます。アメリカでは、ホームレス人口が全国で25万人から35万人、ニューヨークだけでも3万6,000人に達しているということでございます。そして、路上から仕事に出かけたり、あるいはそこから学校に通うというような現象もあるそうでございまして、既存の公的扶助では対応し切れない、ホームレスのための援助法が制定されておりますイギリスにおいてもしかりでございます。そこで、お伺いしたいんでございますが、日本ではこの住居不定者に対して、何か対応する法律とか施策があるのかどうか、お聞かせ願いたい。

◎荒木民生局福祉部長 お答えいたします。

 住居がなく、生活に困窮している人に関係する法律といたしましては、行旅病人及行旅死亡人取扱法と生活保護法がございます。

 まず、行旅病人及行旅死亡人取扱法では、その第2条で、行旅病人はその所在地市町村が救護すべしと規定されており、市町村に救護義務が課せられております。こういった方々に対しましては、通常、病院または保護施設で収容するということで対応いたしております。

 その次に、生活保護法でございますが、第25条では、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請主義の例外の取り扱いとして生活保護法を適用し、施設入所等の措置を行っております。急迫した状況とは、通常遺棄、行き倒れなどでございます。以上の場合は、いずれも病気などの急迫した状況にある者の場合でございまして、その他の住居不定者に対しましては、生活困難を理由として本人から保護を適用してほしい旨の申し出があり、その要件に合う場合は保護することが可能でございますが、本人より申し出のない限り、保護することは不可能でございます。また、住居不定者の中には規則のある施設への入所を嫌ったり、また施設へ収容いたしましても、禁酒生活などの規則を嫌ってすぐに退所される方も多いわけでございます。そういったことで、希望されない場合に一方的に入所させることができないということで、私どもも大変苦慮しているのが現状でございます。

 民生局におきましては、高齢や病気のため働けない要援護者を受け入れる施設といたしまして、現在救護施設2ヵ所を整備しておりまして、来年の2月と4月には開設する予定でございまして、収容人員としては210となっております。我々といたしましても、今後ともできるだけ施設整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

◆柳本豊委員 住居不定者の対策というのは、なかなか難しい問題でございます。

 ところで、西尾市長は、国際花と緑の博覧会の開催を間近に控えました8月29日に、かねてからの難題でございました違法駐車一掃非常事態宣言を発せられました。非常に効果がございました。堺筋あるいは御堂筋でも少なくなっております。やはり市長が非常事態宣言を発せられますと、このように効果が上がるわけなんです。ところで、市長は1113日にも、接待行政を全廃すると宣言されました。これまた私は効果が上がるものであると期待いたしております。

 ところで、これとは全然別なことでございますが、住居不定者問題は非常に困難な問題でございまして、英知を持ってひとつ取り組んでいただきたいと思うんでございます。また、国とも十分協議し、施策を検討する必要があると思います。市長のご所見をひとつ伺いまして、終わりにしたいと思います。

◎西尾市長 住居不定者の問題、いろいろ欧米の例も引きながら今ご質疑があったわけでございますが、確かに、欧米でもふえておるということを聞いております。それから大阪でもふえておるわけでございます。欧米のホームレスというのは、大体家族連れといいますか、そこから子供が学校へ行くという。日本の場合には、これも今委員がおっしゃっておりましたが、単身者が主でございまして、しかも高齢化しつつあるわけでございまして、その救護に私どもも心を砕いておるわけでございます。

 先ほど担当の課長から、新しく2ヵ所の増設の計画、合わせて210名でございますが、を申し上げておりました。現在、市管施設として15ヵ所、1,600人ほどの定数の保護施股がございまして、そこで約1,900人今収容しておりますので、足らないのは事実でございますし、また、せっかく収容いたしましても出ていかれるというようなこともあるわけでございます。働ける方はひとつできるだけ働けるような、そういう労働対策の確立も必要でございますし、あるいは救護の手の必要な方については、そういう施策を充実すべきである。特に、特定の地区で申しますと、やはり一番あいりん地区周辺に住居不定者の多いのも事実でございまして、私どもそういった面からも、労働対策とあわせて救護対策についても、府市協議もしながら、国にも強く要望いたしまして、施策の充実を図ってまいらなければならんと思っております。議会のご協力もいただきながら、ひとつ取り組んでまいりたいと思っておりますので、ご協力をお願い申し上げたいと思います。