【 平成9年度決算特別委員会(準公営・一般)平成10101112-1119日−06号 】

◆鈴木成男委員 幾つか原因があるはずやということでございます。もっと具体的に原因を探っていただいて、その原因を一つ一つ克服をしていただきたいというふうに思っております。

 この際、大阪の結核事情が本当に何でこんなに悪いんやということを徹底的に調査をしていただいて、その調査で出たデータをもとに、5年後、10年後、さらには20年後をにらんだ本市の結核対策の基本方針というものを立ち上げていただきたいというふうにも思います。この調査をぜひことしは予算の問題もあると思いますので、来年度からでもお願いをしたいと思います。

 もう1つ、今お聞きしていますあいりん地区なんですけれども、ここへの対策というのがより即効性があるんじゃないかという感想を受けました。お聞きしますとあいりん地区の結核の罹患率では、1573という大変高い数字でございます。これは先ほど申しました大阪市の全体の数字の約15倍でございます。この1573という数字が大阪市の結核の罹患率を押し上げる大変大きな要因になっているというふうに思います。聞くところによりますと、あいりん地区の患者さんは治療の成功率が低いということだそうです。

 この問題の解決策なんですけれども、最近マスコミなんかでドッツという手法がよく報道されています。ドッツというのは、お聞きをいたしますとニューヨーク市で導入されまして、結核患者の治療に大変大きな成果を上げているというものでございます。説明をいただきたいなと思っています。大阪とニューヨークというのは、これは当然国も違います。法制度も違います。そのまま本市に導入するというのは、これは難しいと思いますけれども、治癒率が向上するというのであれば、大阪市も工夫して導入をしていただきたいなとも思っておるわけです。先ほどの数字を聞きますと、できることは全部やって、本当に結核対策に真剣に取り組むんだという当局の決意のほどをあわせてお示しをいただきます。

◎阪上環境保健局感染症対策室長 お答え申し上げます。

 本市の結核事情は全国と同様のペースで改善してまいりましたが、今なお非常に厳しいことは十分に認識いたしておりまして、これまで以上に対策を強化してまいる考えでございます。

 そのためにも、ただいま委員から御提案のありました本市の結核事情がなぜ悪いのかについて、徹底的な調査を行う必要のあることを痛感いたしておりまして、このような調査を早急に実施し、対策の基本方針の策定にまでつなげてまいりたいと考えております。

 また、結核治療のポイントは服薬をいかに確実に行わせるかであります。ドッツというのはそのための一つの方法でございますが、直接監視下における服薬確認による短期療法といったような意味でございまして、これをあらわす英語の頭文字をとってDOTS、ドッツと呼ばれているものでございます。

 ニューヨーク市では、職員がホームレスなどの結核患者を訪問し、服薬を直に確認するという方法をとっておりまして、服薬した患者には栄養剤や食事券、地下鉄の乗車券を渡す。また、一定期間連続して服薬した患者にはさらに大きな報奨を与えるというような方式を採用いたしておりまして、患者に服薬のための動機づけを与えることによりまして、服薬を確実にさせ、結核の治癒率の向上に大きな成果を上げていると聞いております。

 こうした手法を大阪市でも野宿生活者に結核対策として導入することができるかどうか現在研究いたしておりまして、これまでの発想にとらわれず、さまざまな対策を民生局を初め、関係各局、関係機関とも連携いたしましてより強力に進めてまいる所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。

◆鈴木成男委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 關助役にお越しをいただいておりますので、お聞きをしたいんですけれども、国際集客都市というのが大阪市の今大きなまちづくりの目標でございます。その中で感染症対策というのは、大変重要でございまして、中でも結核対策って罹患率が全国1であり、また先ほどのようにあいりんの罹患率が飛び抜けて高いという中では、緊急の課題ではないかというふうに思っております。

 先般の民生局の調査では全市で野宿生活者が 8,660人と。私の住んでいます天王寺区でも 1,000名を超える方がお暮らしをいただいております。これは無関心ではおれません。ただいま環境保健局の決意というのをお伺いをいたしましたが、これは単に保健とか医療の分野だけでは対応が難しいだろうというふうにも思います。例えば、先ほどのあいりんの野宿生活者の結核対策といたしまして、ドッツという手法を実施するにいたしましても、社会医療センターでの外来治療、また、民生局関連施設でもアフターケアなど連携が欠かせないものであるというふうにも思えます。また、学校におけます結核検診との連携や中小企業における定期検診の徹底、これは不況下ですので、中小企業で今ひょっとしたら検診してはらへんとこもあるかもわかりません。

 また、集団感染が発生した場合の定期外検診における協力をお願いするなど、ざっと考えてみましても民生局、教育委員会、経済局と、皆さんの支援が必要でございます。さらに、市立大学の医学部での結核に関する教育、研究の充実も図っていただくべきではないかというふうに思っています。まさに大阪市がその持てる機能、資源、能力を最大限に活用して取り組んでいただく、そういう問題ではないかと思っております。この点について、關助役のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

◎關助役 ただいま委員から御指摘のございます本市の結核の状況につきましては、全国1ということで、これは単に不名誉というだけではなくて、極めて深刻な状況にあるというふうに認識いたしております。

 したがいまして、この問題に対しましては、早急にこれに取り組む必要があると考えております。

 結核の状況につきましては、御指摘ございましたように単に保健、医療の分野だけの問題ではないわけでございまして、以前にも結核の専門家による原因の究明の委員会を設けまして検討した経験もございますが、一定の見解を得るには至りませんでした。したがいまして、さらにこの問題はそういう保健、医療だけでなく大阪の抱えている社会経済的な要因なども関連があるというふうに考えておりまして、幅広い分野にわたる大きい問題であると認識しております。

 これは、また大阪市だけではございませんが、医学教育における結核、これが近年やや軽視されている傾向もございまして、これが日本全体の結核の患者の増加に何らかの関与があるんではないかと、私は推測いたしております。したがいまして、本市におきまして、よりきめの細かい実態の調査を行いますとともに、それを受けまして、委員の御指摘を踏まえまして、幅の広い抜本的な大阪市の結核対策の基本を定めていきたいというふうに考えております。

 それにつきましては、ただいまご紹介ございましたドッツというような方法を試みることも含めまして、本市の関係局が連携いたしまして、積極的にこの対策を実施してまいりたいと思っております。それにつきましては、本市の関係局のみならず、厚生省あるいは関係の機関とも十分連携をとりまして強力にこの施策の推進を進めてまいりたいと考えております。