【 平成12年3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-0316日−04号 】

◆小笠原正一委員 これはひとつその問題だけで、また改めて議論を深めたいと思っております。

 次は、ホームレス問題で幾つかお尋ねをいたします。

 国の緊急雇用対策でありますが、労働省は当初からこの事業範囲については、教育、文化、福祉、環境、リサイクルなど緊急に実現する必要のあるもの、それから基金の設置期間である2001年度までに終了するもの、それから新規雇用を、就労を生ずる効果が大きいもの、こういう条件をつけて、大変厳しい内容で条件をつけているわけですが、そのために日々雇用は対象外だとされて、その交付金事業はできないというふうに言われておったものであります。

 実は、我が党の衆議院近畿ブロックは去年の8月、9月に労働省と交渉をやりまして、当初は対象にならないとされてきましたホームレスの日々雇用事業について、市の特別清掃事業の拡大事業としてなら対応できる、そういう回答を得ているわけであります。大阪市として、これは独自の判断で、進めていらっしゃるわけですが、その交付金1億 4,400万円を計上し、1日90名の日々雇用を実施する上で、やはりいろいろ御苦労があったと思うんですけれども、どういうふうに国や府に働きかけて実施されたのか、ちょっとお伺いします。

◎堀田民生局総務部保護課長 お答えいたします。

 このたびの緊急地域雇用特別交付金事業の実施に当たりまして、あいりんの日雇い労働者の雇用創出を図ってまいることが野宿者対策にとりましても喫緊の課題である、そういうふうに考えまして、私ども大阪府に対し、また、府を通じて国に対しまして大阪の実態に応じた対策が実施できるよう要望を重ねてまいったところでございます。従来から高齢日雇い労働者の特別清掃事業は日々輪番紹介により対応してまいったところでございまして、本事業におきましても多数の高齢日雇い労働者が雇用できますよう粘り強くあいりんの状況等々を訴えて国の御理解をいただいたというところでございます。

◆小笠原正一委員 しかし、この事業が開始されまして、94年から始まっています高齢者特別清掃事業は大阪府の20名とあわせて、これまでは50から60名で登録労働者1人当たりの就労機会は月に1日か2日だったものが、1日当たりの求人数が約 150名と3倍にふえたと。登録労働者も月三、四回程度の就労が可能になっているわけですね。国や府の取り組みが非常に不十分の中で、私は大阪市の果たしている一定の役割を評価したいと思っております。

 しかし、それでも月に三、四日でも月収は大体2万円足らずなんですね。野宿生活の解消にはやはりほど遠いというのが現状であります。国や大阪府に対しても、日々雇用の拡充を初めとして雇用対策事業の抜本的な拡充の要望を本市としてもさらに強めていただきたい、また、本市独自のそういう事業の拡大に努力していただきたいということを強く要望しておきます。

 それから、この高齢者清掃事業などの施策を進めていく上で、NPO釜ヶ崎ですね、これが大変大きな役割を果たしていると伺っておりますが、どういう組織でどういうふうに市として対応していらっしゃるのかお聞かせください。

◎堀田民生局総務部保護課長 お答えいたします。

 NPOについてでございます。先ほど御説明申し上げました緊急地域雇用特別交付金事業を活用いたしまして、今回の雇用創出事業につきましても特定非営利活動法人釜ヶ崎支援機構、いわゆるNPO釜ヶ崎に事業委託しておるところでございます。このNPOは地域のボランティアの代表の方、住民組織代表、そしてまた社会福祉事業経営者、学識経験者によりまして理事会を構成いたしております。当NPOはあいりん地域で日雇い労働者の支援に熱意を持ってボランティア活動を行ってまいり、法人の結成前から私どもの特別清掃事業の指導員に従事するなど具体的な活動を実践してきたところでございます。そして、地元の労働者からの信頼も厚く、また、地元住民の皆さん方の組織からの協力も得ており、あいりん地域での事業運営が円滑に行うことができる、そういうふうな考え方の中から事業を委託してまいったところでございます。

◆小笠原正一委員 やはり役所だけでやるというんじゃなくて、そういう地域の力ですね、こういうものをうんと酌み尽くして進めていただきたい、要望しておきます。

 次に、自立支援センターについて率直にお聞きするわけですが、国に先駆けて東京都が暫定自立支援センターをつくって、結果は入所者のうちに就労、自立した人が4割に満たないというものがあったと聞いております。実際、就職した人のその後の追跡調査も行われておりません。自立センターは職安を通じて就労の支援されるそうですけれども、職安を通じた就職は常用の就職なんですね。御承知のように近畿地方の有効求人倍率が全国ワースト5の0.38とか、それから高齢になれば、もっとこれが厳しくなるということでありまして、東京都よりも厳しい雇用情勢であるということは非常にはっきりしていると思います。

 この自立支援センターで常用就職だけ追求しているようじゃ、私は掛け声だけになっちゃうんじゃないだろうかという思いもあるわけです。ですから、軽作業を軸とした日雇い就労の場の確保にもっと力を入れていただきたい。それはどうされるつもりなのか。今後、センターを通じてそういう日々雇用なども含めた就労の確保の上でどういう展望を持っていらっしゃるのか。実際、このセンターが本当に有効に動いてくれるということを多くの人が期待しているわけで、少しお答えいただきたいと思います。

◎出海民生局総務部連絡主幹 お答え申し上げます。

 自立支援センターでは、国から職業相談、職業あっせんを行う専門の職業相談員が派遣されることとなっておりまして、公共職業安定所との密接な連携により就労による自立を支援していくこととなっております。雇用対策につきましては、本来、国や大阪府が担うべきものでございまして、実効性のある雇用対策を国や大阪府へ強く要望しているところでございます。

 不安定就労では野宿生活に戻る可能性もございまして、雇用が基本となると考えておりますが、中高年の求人状況も厳しいということも事実でございます。自立支援センターによる相談、具体的なあっせん方法につきましては、いまだ明らかになっておりませんが、ホームレスの就労、自立に向けまして、実効性のあるものとなるよう関係機関と十分に協議を行ってまいりたいというふうに考えております。

◆小笠原正一委員 せっかくつくった自立支援センターですから、実際、自立してもらわなきゃもう何にもならないわけで、そこでふん詰まりになって問題をあとに残すというふうなことにならないようにいろいろ知恵を働かせていただきたい、いろいろな人の声ももっとよく聞いていただきたいということを要望しておきます。

 さて、ホームレス問題で市民の最大の、一番の願いというのは、やはり公園を初め市内にあふれるブルーテント、これを何とかしてほしいということなんですね。大阪城公園もそうだし、長居公園もそうやし、大阪の公園は完全に占拠されている。うちの阿倍野区の公園もごく一部を除いて全部いてはるわけですね。確かに住民の間にはいろいろその間の交流なんかもあったりして、野宿生活者に対するそういうことを余儀なくされている方々に対して同情の声というのも生まれているわけです。しかし、こんな状態いつまで続くんやと、磯村さんがおっしゃるように国際集客都市というのは、こんなことで国際集客都市、実際ほかから来てもらって、ほんまに成り立つやろか、みんな言うてはります。1万人も超えておるそうでありますので、私はこの野宿生活者、ブルーテントを解消するためには、大規模なシェルターの開設を検討せんとあかんと。いろいろありますよ、ほんまにこの人たちを収容できるようなものを考えなあかんと常々思っているわけです。今度 600人でしょう、できるところは。最低ああいう施設でもいいんです。ベッドがあり、トイレがあり、シャワーも浴びられるということができるような施設でもいいわけですけれども、そういうシェルターを大規模な形で建設しないと、この問題、絶対解決せんと思います。

 ちょっとこれ人に聞いた話なんですけれども、ソウルも多いんだそうです、野宿者生活者が。ところが街中にあふれていない。何でやと聞いたら、大規模なシェルターが市内4カ所に建設されているそうですね。パリは地下鉄構内。これ終電車から始発まで完全開放だそうです。だから、公園にばあっと行かなくても、そこである程度ホームレスの人たちが暮らせるような配慮がとられているそうです。パリの地下鉄というのは随分大きな施設ですからね。私も1回視察に行かなあかんと思っているぐらいですけれども、大阪市の地下鉄の場合だったらシャッター閉めてまっしゃろ。だから、トイレも行けないということで、周辺は臭うて大変な状況になっております。

 こういう構想というのはもちろん大阪市単独では到底できないと思いますけれども、やはり抜本的にこの問題の解決を図るには、国に対しても、大阪府に対しても、積極的に問題提起せなあかんのとちゃうか、話せなあかんのとちゃうかと思いますが、ちょっとこれはきちんとした、どなたかの責任ある答えをいただきたいんですが、どうおっしゃるかわかりませんけれども。

◎出海民生局総務部連絡主幹 お答え申し上げます。

 ホームレス問題につきましては、ホームレスが置かれたさまざまな状況に応じまして、それらの人々がみずからの意思で自立して生活できるように支援することが基本とならなければならないというふうに考えております。このような観点から、関係省庁と大阪市を含む関係自治体で構成するホームレス問題連絡会議で取りまとめられました当面の対応策に基づき、大阪市では自立支援センター3カ所の整備に着手したところでございます。ホームレス問題は雇用、福祉、保健、医療、住宅、地域環境整備等、各分野にわたってさまざまな課題を抱えておりまして、有識者の意見も参考にしながら、国と関係自治体が一体となって取り組んでまいりたいというふうに考えております。

◆小笠原正一委員 ちょっとばくっとした提案でえらい申しわけありませんけれども、局長どうですか。何か感想めいたものでもいただけませんか。

◎三島民生局福祉援護担当部長 お答え申し上げます。

 今、委員からの御意見でございますけれども、私たちは今の状態を何とか解決しなければならないというふうに取り組んでいるわけでございますけれども、例えば1万人の何かを用意したところで、そしたら今の状態がなくなるかといえば、やはりそういうことにはならないという現実がございます。3,000 人そういう援助をしたとしても、残る 7,000人ということにならずに、やはりそれが1万人になってしまうという現実がやはり私たち大きく危惧するところでございます。

 そういう意味で、この問題は国、府、やはり政令都市、すべての機関で同時に取り組まなければ解決しない問題。そういう意味で、私たちホームレス問題については、ひとつ大阪だけ集中することのないよう、そういう事態を避けるべくこれからも慎重に対応してまいりたいというふうに思っております。

◆小笠原正一委員 いろいろ難しい問題ですけれども、やはり抜本的な手を打たないと何ぼでもふえてきまっせ。これではオリンピックなんか言うとったって夢の夢になりかねないということですから、ひとつよく検討していただきたい。要望しておきます。

 ◆山本修子委員

次に、ホームレス対策についてお尋ねをいたします。

 先般、大阪市が発表したホームレスの聞き取り調査によれば、ホームレスの8割は仕事をしていると答えておられ、また他の仕事につきたいとの転職希望者は84%もおられるということで、就労意欲のある方が多いというふうに伺います。私も冊子を読ませていただいて、自分の中にも偏見があったなというふうに反省もいたしました。地域の皆さんからはあれは怠けてはるのとちゃうのというような声もよく聞きますけれども、そういう偏見、差別意識というのはきちっと行政が対応することでなくなっていくんだというふうに思いますから、この野宿生活を余儀なくされている方々がみずからの意思で自立して生活できるように支援することが行政としての責務だというように思います。

 そういう意味からも、整備中の3カ所の自立支援センターが一日も早く開設されることが待ち望まれますけれども、この自立支援センターではどのような事業を行うのか。また、定員は3カ所合計で 280人とお聞きしておりますが、1万人を超えたとも言われるホームレスの方々からどのような基準で入所者を決められるのかお聞かせいただきたいと思います。

◎松葉民生局総務部連絡主幹 お答えいたします。

 自立支援センターにつきましては、基本的に就労による自立を促進し、野宿生活からの脱却を図ることを目的とした施策でございます。そのために職業相談、あっせんにつきましては、国から専門の職業相談員が派遣されますので、公共職業安定所と密接に連携した職業相談、あっせんを行い、就労による自立を促進してまいりたいと考えております。

 そのほか、入所者に対しましては、健康相談や年金相談、家族関係の相談など、それぞれの人に応じたきめの細かい生活相談・指導を行っていきたいと考えております。

 また、就労先や住居を確保するためには身元保証が必要な場合もございますので、その方法につきましても検討してまいりたいと考えております。

 入所期間につきましては、おおむね1カ月程度で最大6カ月を予定しております。入所につきましては、現在、市内各地で試行を実施中でございます巡回相談事業を充実・強化いたしまして、本人と現地で面接の上、就労意欲や稼働能力がありながら、就労の機会が得にくい中高齢者などを中心とした入所を考えておりますが、具体的な方法につきましては順次検討してまいります。

 いずれにいたましても、この事業によりまして、実際に仕事について野宿生活から脱却していくという実績をふやしていきたいと考えております。

◆山本修子委員 この聞き取り調査の年齢層を見ても、65歳以上の方も大層多いわけです。こういった方々は、仕事をしたくてももうできないというのが現状でありますから、何とかこういった方々に対するまた別の施策もぜひ考えていただきたいと思います。