【 平成13年3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-0314日−03号 】

◆田中ゆたか委員 

 まず最初に、本市会の議案となっております平成13年度予算案について、どのようなところに重点を置かれているのか。予算額が前年度と比べてどのようになっているのか。簡単に3局よりお答え願います。

武内民生局総務部庶務課長

具体的には、高齢者施策につきましては、大阪市高齢者保健福祉計画に基づく各種施策の推進と、介護保険制度の円滑な運営に努めることといたしております。また、少子化の一層の進行や女性の社会進出の増大など、子供を取り巻く環境の変化に対応するため、地域子育て支援や多様な保育サービス、低年齢児保育などの充実を図っていくことといたしております。このほか、障害者支援プランに基づく障害者施策の着実な推進や、今日の大きな課題となってます野宿生活者対策などへの取り組みなどについて重点を置いたところでございます。

◆田中ゆたか委員

次に、ホームレス対策についてお伺いいたします。

 ホームレスの就労による自立への支援につきましては、昨年の秋以降、地元の協力も得て自立支援センターを開設されて、本格的な対策が始まりつつございます。また、昨年末には長居公園において仮設一時避難所も開設し、大規模公園での適正化対策とホームレスへの支援を進めておられますが、一方で、市民の身近な小公園などでのテント・小屋がけは依然として目立っております。大規模公園での対策以外にも、全区にまたがって、きめ細かな対策も忘れてほしくはないんです。

 市民に最も身近な小公園などでのホームレス対策など、今後どのように進めていかれるのかお尋ねいたします。

◎松葉民生局総務部連絡主幹 お答え申し上げます。

 市内各所の小公園などで起居されます野宿生活者のテントや小屋がけにつきましては、施設管理者が指導・勧告を行いますとともに、市内全域を巡回して、野宿生活者のさまざまな相談に応ずる巡回相談員が、施設管理者からの情報などによりまして面接を実施し、就労意欲・能力があり、入所を希望する人につきましては、自立支援センターへの入所依頼を行っております。また、高齢や病弱などの理由により就労困難な人につきましては、医療や施設入所など、さまざまな福祉援護措置につないでまいります。

 巡回相談の結果、自立支援センターや他の施設への入所、あるいは病院への入院となった場合などには、その旨を施設管理者に連絡し、適切な施設管理を行ってまいります。

◆田中ゆたか委員 私の地元の北区の公園においても、昨年の秋以降、巡回相談をして、自立支援センターへ入所をされたり、公園からその人のテントや小屋がけが減ったというような例は聞いておりますが、全市的には巡回相談事業によりどのくらいの件数の面接をして、どのような実績になっているのか、お伺いいたします。

◎松葉民生局総務部連絡主幹 巡回相談事業につきましては、平成11年夏の事業開始より本年2月末日までに2,030名の方と新規面接を実施いたしております。

 また、平成12年度の実績でございますが、本年2月末日までに巡回相談により延べ1,623人の面接を実施いたしまして、うち自立支援センターへの入所依頼につないだ者303人、生活保護施設などへの入所につないだ者62人、医療機関への入院につないだ者10人、無料低額診療事業による受診につないだ者18人、緊急入院につないだ者10人、また、これ以外にも帰郷援助を行った者や就労実現に至った者、他の相談機関などにつないだ者など、さまざまな相談を行っております。

 したがいまして、平成12年度におきましては延べ1,623人への面接によりまして、少なくともその自立支援センターへの入所やあるいは他の施設入所につないだ365人ということになりますが、その中でテントや小屋がけで起居されていた方のテントや小屋がけにつきましては、撤去解消をされております。

◆田中ゆたか委員 今までに新規に面接された方が2,000人以上ということで、やっとの思いで巡回しておられるというのがわかりましたが、先般発表されました市立大学の調査でも、市内のホームレスの数は8,660人、また新聞報道では1万人以上を超えているとも言われております。もちろん、中には巡回相談の面接などを拒否するような人もおられるでしょう。一刻も早く多くの人たちと面接を行って、それぞれの実態を把握した上で、就労意欲があったり、何らかの支援の必要な人には、それぞれに応じた対応をしていただきたいと思っております。

 そういった観点からも、市長も我が議員団の代表質問に対しまして、巡回相談事業を一層充実したいとの答弁をされました。巡回相談事業はどのような体制で今現在実施され、また平成13年度においてはどのように充実強化されるのか、お伺いいたします。

◎松葉民生局総務部連絡主幹 巡回相談事業につきましては、平成11年度に相談員4名の体制で事業開始をしまして、年度途中に保健相談員1名を配置しながら、野宿生活者の実態調査、あるいはニーズ把握に努めまして、平成12年度当初からは6名体制として、さまざまな福祉援護措置にもつなぎ、さらに自立支援センターの開設に合わせまして、平成12年秋以降は11名体制としてきたところでございます。

 平成13年度につきましては、さらに体制を強化して17名体制とし、面接効率も高めまして、延べ約5,000名の面接を目指す予定です。

◆田中ゆたか委員 より目標を立てた巡回相談と、一層の施設管理との連携を要望しておきたいと思います。目標を持ってやれば、この5,000名という数字も出てきたわけですから、どうぞよろしくお願います。

 就労意欲・能力のある人への支援策としまして、巡回相談により自立支援センターへつないでいくというルートが確立されたことでございますが、自立支援センターについては、現在、既存の社会福祉施設の改修等により運営されておられますね。地元からも将来このような施設がどのようになっていくのかという声も聞かれるんですが、自立支援センターについては、今後どのような見通しを持っておられるのか、お尋ねいたします。

◎松葉民生局総務部連絡主幹 委員御指摘のとおり、現在運営しております自立支援センターにつきましては市内3カ所、定員合計280名で、それぞれ地元の御理解、御協力をいただきまして既存の社会福祉施設などの改修等により暫定利用させていただいております。一部に老朽化した施設もあり、今後の運営状況や就労実態も見据えながら、新規施設の整備につきましても、平成13年度に調整してまいりたいと考えております。

◆田中ゆたか委員 先ほどの答弁の中でもありましたように、1,600余りの面接の結果で400余りの人たちが何らかの支援に結びついているわけでございます。また、自立支援センターへの入所やほかの施設への入所となった方のテントは解消をされておると聞いております。

 13年度には、延べ5,000人の面接を目標とされてますが、12年度の実績を上回る具体の目標を持って、ホームレスへの支援とテント解消を進め、巡回相談が実効あるものになるよう取り組まれることを強く要望しておきます。

 また市民の多くは、私たちの税金でホームレスにそこまで何で支援する必要があるのかという、理解をされておられない状況だと思います。この調査が進むにつれて、ホームレス者の区別がはっきりしてくると思うんです。就労意欲がある人には、余り希望を聞き過ぎますと、ただでさえ失業者が多くハローワークに行っても仕事がない状況ですので、特別就労対策として、例えば農林水産、過疎地などに声をかけ就労先にするなど、思い切った施策を打ち出していただけるよう強く要望しておきます。

 次に、ホームレス問題に関連いたしますが、きのうも床田委員からの質問にもございましたように、ちょっと視点を変えて話させていただきます。生活保護施策は、失業者や傷病者にとって自立するための最終手段でありまして、ホームレスの自立支援事業でも今後受給される予定だと考えますが、ホームレスと一般の市民の生活保護受給とのバランス、いわゆるホームレスに偏り過ぎると市民から不満が出てくると思うんですが、その点どのように考えておられるのか、お聞かせください。

◎堀田民生局総務部保護課長 お答え申し上げます。

 現在、大阪市におきまして生活保護を受給している方々が、12年度の平均で4万9,760世帯あるところでございます。この中には、行旅病人という形で緊急に入院を要する方も含めまして入院の対応など、そしてまた施設への入所などの対応をしているところでございます。

◆田中ゆたか委員 いずれにしましても、結果を先に決めて、原因づくりを考えていただきたく思いますので、今後もシミュレーションを想定しながら、対策してくださるようお願いしておきます。

 当たり前でございますけども、人はできれば楽な方にいきたいものです。一時期、昔の話でございますが、失業対策事業をしたときのことを資料で読んだことがございますが、潜在的な失業者、いわゆる失業すれすれの人たちが、失業対策事業の受給を受けた方がましだということでどんどん流れていった経緯を報告で聞きました。生活保護制度も毎年のようにふえておりますが、行政は常に先ほども申しました最悪のシミュレーションを考えながら、対処方法を打ち出していってもらいたいと考えますが、失業対策事業の失敗を繰り返さないようにするための対策は考えておられますか。いかがでしょうか。

◎三島民生局福祉援護担当部長 ホームレスに対する自立支援の中で、就労対策ということが重要な課題でございますけれども、今、委員御指摘のように、就労対策事業が大変な苦労をして収束していったという経過がございます。私たちは、そういった形ではなしに、実態に応じた特別の就労対策を何とかつくり出していきたい、国の方にも要望しておりますし、大阪市の方でもいろいろそういう形で考えてやっていきたいというふうに考えております。

◆田中ゆたか委員 いろいろと苦労されていると思いますので、今後とも私どももホームレス問題プロジェクトというのを立ち上げて要望を出したところでございますので、また協力体制のもと、民生局でもしっかり取り組んでいただきたいと思っております。

 また、生活保護世帯には障害を持った方もおられますので、状況に見合った、きめ細かな対応が必要でございます。障害者施策の活用を図りながら、安定した生活を確保し、地域で安心して暮らせるように努めていただきますようお願い申し上げます。あわせてお願い申し上げます。

◆山本修子委員 民主・民友市会議員団2番手の山本修子でございます。

 過日、我が会派の代表質問させていただきました。その基調に沿いながら、平成13年度の事業にかかわって具体的な問題についての質問をさせていただきたいと思います。

 まず、ホームレス対策からお尋ねをしたいと存じます。

 先ほど我が会派の田中委員の質疑でも、小公園などについての取り組みとして巡回相談事業の充実で、平成13年度は約5,000人、面接目標を決めて取り組むということも明らかになったところでございます。一方、大きな公園につきましては、昨年末に長居公園の適正化、そして公園内の野宿生活者の自立支援を目的とする仮設一時避難所が設置をされまして、実際の対策がスタートいたしました。

 これらについては、一定の成果も上がっておりまして、皆様方の御努力、熱意に一定評価をしているところでございますけれども、これまでの経過や今後の課題を考えれば、まだまだ課題が残されていると言わざるを得ません。

 仮設一時避難所の運営状況についてでございますけれども、いただいた資料によりますと、これまでに149名が入所し、19人が退所なさっているということです。19人の退所者のうち、自立支援センターへの入所によるものは4名、入院や他の施設入所は8名、残る7名は就労、帰郷、あるいは自主退所というような報告を受けているところです。仮設一時避難所の設置に対しての地元での説明では、避難所入所者を計画的に自立支援センターへ送るか、あるいは高齢や病弱の人たちには福祉的援護の措置を講じることによって、毎月約15人ずつくらいを減らしながら順次施設を縮小して、3年以内には廃止するということでございました。現在の入所者数から見れば、3年もかけずにもっと短期間で廃止できると思うんですが、その見通しについてお聞きをいたします

◎松浪民生局総務部連絡主幹 お答えいたします。

 野宿生活者対策の実施に当たりましては、再び野宿生活に戻ることのないようにすることが基本でございます。そのためには、ある程度の時間をかけまして、自立支援センターの内容などについて十分理解していただいて、さまざまな不安を払拭することが重要であると考えております。

 あわせまして、長期にわたる野宿生活のため、就労意欲が低下していると思われる人たちも見受けられることから、軽易な作業による就労訓練を行いながら就労意欲の高揚を図った上で、自立支援センターへ計画的に入所の措置を講じてまいりたいと考えております。

 委員御指摘の3月1日現在では、自立支援センターへ入所した人は4名でございますが、今後、避難所職員、また巡回相談員が連携をとりまして個別面談を重ねながら、自立支援センターへの入所を促してまいります。

 一方、高齢者や病弱の人たちに対しましては、日常の生活相談の中で個別の事情調査を行いながら、緊急度に応じて福祉援護措置を講じるなど、着実に避難所からの減員を図っているところでございます。

 いずれにいたしましても、地元での約束どおり、仮設一時避難所は順次縮小しながら、必ず3年以内に廃止してまいりたいと存じております。

◆山本修子委員 ぜひ計画的縮小をしていただきまして、なるべく短期間に廃止できるよう頑張っていただきますよう、そして私たち住民との約束を果たしていただきますようにお願いいたします。

 次に、公園内の野宿生活者のテント・小屋がけの状況でございます。

 いただいた資料によれば、昨年の夏には約450件のテント・小屋がけがございました。指導による自主撤去処分も含めて約380件撤去されたということで、公園事務所等の現場の取り組みを評価するところでございますが、問題は、残っている約70件のテントについての対策でございます。地域の皆さんの願いは、テント・小屋がけのない公園であります。今の状態の放置は許されないと思います。残っているテント・小屋がけの解消に向けて、どのような対策を講じ、いつまでにその実現が図れるのか、その見通しを含めてお尋ねをいたします。

◎鍵建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答えいたします。

 委員御指摘のように、昨年の夏には約450件のテント・小屋がけがございました。指導勧告による自主撤去分も含めまして、約380件を撤去することができました。しかし、現在公園内には約70件のテント・小屋がけが残っておりますが、そのうち約30件につきましては居住していないものでありますことから、これらについては、現在、順次撤去を行っているところでございます。空きテント・小屋がけのうち、所有者が判明しているものにつきましては、撤去の同意が必要なことから、その手続を行っているものもあり、少なくとも一、二カ月のうちには撤去できるように鋭意努力してまいります。

 一方、現在公園内に居住している野宿生活者約40人についての対応でございますが、これまでも公園事務所職員が日々訪問しておりますが、その際に、病弱者と思われる人には入院等を勧めましても強固に拒否したり、あるいは避難所への入所を持ちかけましても全く話し合いに応じようとしない人など、コミュニケーションが非常にとりにくい状況でございます。今後、これらを解決していくためには、公園管理者のみの対処ではなかなか困難な状況もございますので、福祉部門、健康保健部門とも十分に連携をとって、緊急に実効性のある対策を講じ、できるだけ早く、テント・小屋がけの撤去に向けて取り組んでまいります。

◆山本修子委員 非常に困難な面があることは理解いたしますけれども、ぜひ野宿生活者の自立とテント・小屋がけの完全撤去を早期に実現するための実効性ある対策をお願いいたします。

 次に、13年度には、長居公園の適正化対策に引き続いて、西成公園、大阪城公園でも同様の対策として仮設一時避難所の設置が計画されております。長居仮設一時避難所の設置に当たって、地元から本当に強い反発がございました。これは抜き打ちで事業計画が打ち出されたこと。そのため、施策の背景や必要性、あるいは野宿生活者の実態が十分に地元の皆さんに理解されなかった、周知されなかったことにあると思います。西成公園、大阪城公園の対策を円滑に進めるためには、施設コンフリクトを生じないように、長居公園対策でのいろいろな教訓を今後に生かすべきであると思います。当面の取り組みとして、長居仮設一時避難所の整備後、その運営などについて地元の声を反映させるということで設置された管理運営協議会の内容を、きちんと地域の皆さんにお知らせして、さまざまな不安や疑問に答えていくことが、今、求められていることだと私は思います。

 そこで、例えば協議会で論議された内容や仮設一時避難所の状況など、情報を定期的に積極的に提供していく方法として、今後各局で開設されると聞いておりますホームページの活用を考えてはどうかと思うのですが、お考えをお聞かせください。

◎松浪民生局総務部連絡主幹 お答えいたします。

 まず、管理及び運営に関する協議会に関してでございますが、管理及び運営に関する協議会は、これまでに完成間近の施設見学も含めまして、3回開催してまいりました。中での御意見といたしましては、公園内に残る野宿生活者の仮設一時避難所への早期入所の問題や、残っているテント・小屋がけの早期撤去の問題、また仮設一時避難所の3年以内の廃止についての地元との確約問題についてでございました。

 私どもといたしましては、協議会での内容など、地元の皆さん方にお知らせする方法としては、市政だよりを活用するほか、委員御指摘のように、ホームページの活用も13年度早々から実施いたしてまいりたいと考えております。なお、局ホームページが開設されるまでの間は、当面、大阪市のホームページを活用し、状況等についての報告を行ってまいりたいと存じます。

 なお、長居仮設一時避難所の現況等につきましては、3月15日に発行されます住吉区、東住吉区両区の広報紙に掲載することといたしております。

 また、今後の施策を円滑に実施するためには、事業の目的などにつきまして、市民の皆さん方の理解を得ることが、最も重要なことであると考えております。長居対策での経験を教訓にいたしまして、当初の計画案を作成する段階から情報を提供するとともに、施設の必要性や背景など、本市の野宿生活者対策の基本姿勢を広く理解していただくために、全庁的にあらゆる機会を通じまして、積極的に市民啓発を行ってまいりたいと考えております。

◆山本修子委員 次に、去る3月5日、私ども民主・民友大阪市会議員団は、市長に対して、ホームレスの完全解消に向けた「大阪市ホームレス問題への提言」を提出してまいりました。その中で、実態に基づき緊急に取り組む施策として、就労支援、公衆衛生・福祉的対応、そして居宅の確保の3本柱を掲げて、提起をさせていただいているところです。

 就労支援策については、大阪市としても、緊急地域雇用特別交付金事業などを活用しての高齢日雇い労働者の雇用創出に努めるなど、努力しておられることは認めているところですけれども、日々150人程度では抜本策には到底なっておりません。仮設一時避難所から自立支援センターへ、そして就労自立へという道筋をつけることが、今、早急に必要な対策だと思います。もちろん大阪市だけの取り組みだけでは対応し切れない課題であり、国や大阪府や経済界・労働界への働きかけや連携は当然必要ですが、さきに発表された実態調査報告でも、ホームレスの出身者は西日本が8割を占めており、少なくとも、近畿圏で雇用の場をつくり出す工夫が必要だと思います。国の対策を待つのではなく、大阪市としてできるものから取り組むべきであると思います。どのような対策を考えているのか、具体的にお聞かせ願いたいと思います。

 また、2本目の柱であります公衆衛生・福祉的対応についてでございますが、実態調査によると、ホームレスの約3分の1が体調が悪いと訴えております。例えば、長居仮設一時避難所ではどのような健康管理体制をとっているのか。また、ホームレス全員を対象にした健康診断は実施されているのか。方法も含めて実態についてお聞かせいただきたいと思います。

 3本目の柱の居宅確保についてでございますけれども、さまざまな工夫で野宿防止も含めた具体策に取り組む必要があると思います。特に自立支援センターから退所する方にとって、住居がなければ、また野宿生活に戻ってしまうことになりますから、そのための住宅確保策、これについてどのように考えておられるのかということが1つございます。また、高齢者や病弱者などの要援護者については、福祉的な対応策として施設での処遇も必要だと思います。しかし、生活保護施設は満杯と聞いてもおります。このあたりの対策はどうなっているんでしょうか。

 また、在宅での生活が可能になった方については、施設保護から居宅保護に切りかえるなどの措置を講じておられると伺っておりますが、その実績並びに今後の施設整備方針についてお尋ねをいたします。

◎吉山民生局総務部連絡主幹 お答えいたします。

 就労支援策についてでございますけれども、野宿生活者の自立支援は就労による自立を目標といたしておりまして、自立支援センターの果たす役割は大きいものがあると考えております。

 自立支援センターでは、公共職業安定所から派遣されました職業相談員による職業相談、職業紹介や職業訓練を実施し、就労自立に向けた支援を行っておるところでございます。

 自立支援センターにおきます就労活動の状況についてでございますけれども、2月末日現在の3施設の入所者の総数は269人で、職業相談件数は延べ925件、職業紹介件数は延べ473件、会社面接件数は延べ162件でございます。就労者数は74人となっており、そのうち15人が就労によって自立、退所いたしております。

 近年の経済・雇用情勢から、就労先の確保は厳しい状況にございまして、多様な就労先の確保方策も検討する必要があると考えております。就労自立に向けた支援の実効性を高めるため、大阪労働局を初め他の地域の労働局を通じまして、求人開拓に関して地方公共団体、事業主の団体、労働組合など関係者に対し、情報の提供や必要な協力を求めてまいります。

 また、近畿圏内と四国方面の農場や近畿圏内の警備会社から求人が寄せられておりまして、入所者に対しましてあっせんを行っておるところでございます。

 一方、長居仮設一時避難所におきましては、入所者はNPOに業務を委託いたしております所内の清掃や夜間巡回の業務に従事しておられます。今後、所外での作業につきましても検討してまいりたいと考えております。

 また、大阪府では、開拓可能な業種等について検討する就労支援モデル事業調査研究事業や生ごみリサイクルモデル構築委託事業などを計画いたしておりまして、これらの事業とも連携を図ってまいります。

 さらに、国に対して、大阪府とともに実効性のある雇用対策を求めておりますが、環境保全事業、里山保全事業など、農林業従事者を補う形での雇用創出につきまして要望してまいりたいと考えております。

 また、野宿生活者の自立を考えるときに、仕事の問題に加えまして、居住場所の確保が重要であると考えております。大阪府宅地建物取引業協会の協力を得まして、民間の低家賃住宅の紹介や福祉施設の充実など、多様な居住場所の確保方策にも取り組んでまいります。以上でございます。

◎横関環境保健局健康推進部企画主幹兼病院経営部企画主幹 お答えいたします。

 長居仮設一時避難所におきます健康管理体制についてでございますけれども、入所者等を対象に健康診断を昨年12月8日と去る3月9日に実施いたしまして、合計で136人が受診したところでございます。また、避難所開設後につきましては、避難所内の医務室におきまして本市の保健所・保健センター、それから市民病院、市立大学附属病院の医師によります健康相談を実施しておりまして、実績といたしましては、2月末までで延べ44日実施いたしまして、相談件数は合計で243件、1日平均約5.5件となっております。これらの結果、医療が必要な方につきましては、医療扶助を適用し、38人が入院、通院などにより必要な医療を受けておられます。

 その他の公園、道路等での野宿生活者につきましては、巡回相談事業に看護婦も加わって健康相談を行いまして、必要な場合には無料低額診療事業を活用するなどいたしまして、医療受診させており、今後とも仮設一時避難所などの施設入所者に対します健康診断及び巡回相談を通じまして保健医療の向上に努めてまいります。よろしくお願いいたします。

◎堀田民生局総務部保護課長 お答え申し上げます。

 大阪市が現在所管いたします生活保護施設は19施設、定員で2,163名となっております。そして、本年2月1日現在では2,521名の方が入所中でございまして、約2割弱の定員超過状況となっております。

 また、生活保護施設などから居宅保護への変更状況につきましては、施設などにおきまして療養や生活訓練、その他を通じまして、御本人に生活管理能力が得られ、そしてまた地域社会での生活力が回復いたしました方につきまして、個別の状況を十分検討した上で、敷金の一時扶助を行っているところでございまして、それを通じてアパートでの居宅保護へ変更措置を行っているところでございます。

 平成12年度におきましては、保護施設等から居宅への変更件数につきましては、アパートへの敷金扶助については1月末現在で699となっておるところでございます。引き続きまして、個別ケースごとに十分検討いたしまして対応してまいりたい、そういうふうに考えております。

 また、生活保護施設の整備計画についてでございますが、施設の定員超過を解消することが緊急の課題でもありますので、平成12年度に1カ所、定員150名の救護施設の整備を進めておるところでございます。また、平成13年度には新たに2カ所での救護施設整備を進める計画でございます。

◆山本修子委員 いろいろと取り組みはしていただいているようでありますが、先ほども申しました3本の柱というのが早急に施策として打っていただかなければならないことでありますから、その柱に沿って、できるものから計画的に取り組んでいただきたいと思います。

 去る3月6日、ホームレス問題についての我が会派の代表質問で、大阪市としての政策目標を明確にした対策大綱の策定を求めました。市長からは、ことしの夏までには、大阪市としての当面の対応策をまとめたいとの答弁がございました。どのような視点に立って、どのような内容が盛り込まれる予定なのかお聞かせいただくとともに、今後のホームレス対策を進めていく上での決意を最後にお伺いしたいと思います。

◎三島民生局福祉援護担当部長 お答え申し上げます。

 大阪市としての当面の対応策についての御質問でございます。本年1月に大阪市立大学に委託しておりました野宿生活者に関する総合的調査研究報告書がまとめられました。また、昨年3月には野宿生活者対策につきまして幅広く御提言をいただくため、有識者で構成いたしております「大阪市野宿生活者対策に関する懇談会」を設置いたしまして、るる御議論をいただいているところでございます。

 これらの御論議や調査結果を参考にいたしまして、ことしの夏をめどに、大阪市としての当面の対応策をまとめてまいりたいと考えております。

 まとめるに当たりましては、自立支援、雇用、保健医療、住宅、環境整備など課題ごとに、大阪市の地域実情や、国、大阪府、民間の役割分担のあり方も踏まえた内容にしていきたいというふうに考えております。

 大阪市の野宿生活者対策につきましては、これまで巡回相談の実施、自立支援センターの開設、また仮設一時避難所の整備など着実に実施してまいりました。国に対しましても特別立法の制定や特別就労対策の実施について、要望を重ねてまいっているところでございます。

 今後とも、市長を本部長といたします野宿生活者対策推進本部のもとで、これまでの取り組みを一層充実させ、一日も早い解決に向けまして、全庁体制で総合的な対策に取り組んでまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。

山本修子委員

市民に対する、結核に関しての正しい知識の普及啓発はまことに重要でございますけれども、とりわけ発病しやすい地域、あるいは集団に対して、結核対策が大変重要だと思うわけです。そこで、あいりんあるいは野宿生活者にどのような対策をしてこられたのか、お尋ねをいたします。

◎森川環境保健局感染症対策室予防課長 お答え申し上げます。

 あいりんでは、西成保健センター分室において、毎週月曜日から金曜日まで専門医師による検診や医療相談を実施しております。あいりん総合センター前では毎月第1火曜日に、また民生局が昨年設置しました臨時夜間緊急避難所や、あいりん越年対策事業の南港臨時宿泊所におきましては、検診を実施しております。

 さらに、長居の仮設一時避難所の入所者等におきましても検診を実施しておりますし、公園や道路での野宿生活者につきましては、民生局の巡回相談事業の中で、健康に問題がある方は医療へつなげております。これらの検診などで結核患者が発見されますと、入院治療を受けさせているところでございます。

 また、退所者や治療中断者には、大阪社会医療センターでのDOTSを実施してまいりまして、治療終了に導いてまいっているところでございます。以上でございます。

◆山本修子委員 ぜひ今後とも充実強化をしていただきたいと思いますが、全国ワースト1という残念な本市の結核事情、これを改善していくために、2月に大阪市結核対策基本指針がつくられました。今後10年間で、結核罹患率を半減すると聞いておりますけれども、具体的にどのように減らしていくのか、お聞きいたします。

◎森川環境保健局感染症対策室予防課長 お答えいたします。

 結核対策基本指針では、今後10年間で結核患者を半減するため、STOP結核作戦として、数値目標を設定しました具体的戦略を示しております。

 とりわけ発見された患者さんを確実に治癒に結びつけることが最重要と考えており、服薬を直接確認する短期療法DOTSを戦略の中心に据えて実施してまいります。

 現在、あいりんで実施していますDOTSの範囲の拡大はもちろんでございますが、一般市民で感染性を有する結核患者、つまり排菌している患者さんですが、この方が入院をして、その病院でDOTSを受けまして、退院後には残りの治療期間をアウトリーチワーカー、看護婦等が患者の自宅などに出向いてするDOTSを全国で初めて実施していくこととし、13年度は対象患者の約20%、280人程度を予定しております。現在、府下の病院と連携いたしまして、これの年度内試行を予定しているところでございます。順次拡大していくこととしております。

 次に、早期の患者発見では、発病者が接触した人に対しまして、早期に接触者検診を確実に実施してまいります。また、市民へビデオを使った啓発や医師への研修を拡充実施するなど、啓発、早期発見、早期治療の総合的対策によりまして、本市の結核患者の発生を着実に減らしてまいりたいと考えております。

 その他、結核の専門家による(仮称)結核対策評価委員会を設置しまして結核対策の評価を行い、結果を還元しまして対策の効果が十分に発揮できるようしてまいりたいと考えております。以上です。よろしくお願いいたします。