【 平成15年度決算特別委員会(一般)平成161112-1122日−06号 】

◆柳本顕委員 

 初めに、ホームレス対策についてお伺いをいたします。

 冒頭からお話がございましたけれども、財政非常事態宣言下で、一つ一つの事業の予算が非常に重みのある状態になっていると考えます。ましてや、この委員会でもその財政状況がさらに悪化していることが明確になったところでもあります。

 しかし平成15年度の決算を見ても、予算で計上していても使われなかった歳出不用額というものが 501あります。予算計上したからには使い切ればいいというものではありませんけれども、厳しい財政状況の中で予算がついているということを重く受けとめていただきたいというふうに思います。

 予算執行されなかった理由もそれぞれあろうかと思いますけれども、例えば第2部で大きなところでは住宅事業費の中で72億、民間住宅助成費28億であるとか、公営住宅の建設費21億、その中には改良住宅建設費の中で14億というのは用地取得費の減などの理由もあるわけなんですけども。

 あと健康福祉事業費でも、予算として計上されて使われてない額が全部で46億ありまして、実はその中にホームレスの自立支援センターについても整備費として約5億 4,000万、運営費としても新設分で約1億 2,000万、国庫補助の分も含めて計上されつつも、設置に向けての動きが進捗していないようであります。

 一方でホームレスの自立の支援等に関する実施計画では、自立支援センターを野宿生活者の自立を総合的に支援するための中核施設と位置づけ、その増設と機能拡充を図るというふうにされております。増設に向けての動きが進まない要因として、市民との信頼関係が深め切れずに、理解を求め切れていないというところもあろうかと思いますが、そのさらなる原因として自立支援センターの出口となる雇用の間口が狭いこともあって、事業効果がいまいち明確でないことも理由ではなかろうかというふうに私自身思っております。

 そこで、現状3カ所の自立支援センターでのホームレス対策が、実際ホームレスの数を減少させているという効果についてどのように認識をされているのか、できる限り数値であらわしながらの見解を求めます

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。

 平成1210月より順次開設をいたしました3カ所の自立支援センターの実績ですが、平成1610月末で3施設の入所者総数は 2,404人、退所者総数が 2,174人でした。退所者のうち就労退所は 928人で、就労による退所率は42.5%、入院による退所56人と施設入所 116人を合わせると 7.9%でありました。残りの約半数は、友人の誘いで仕事が見つかったが就労先を告げずに退所した人や、身内を頼ることができた人も含めました自主退所が 621人、28.6%、無断退所が 222人、10.2%、その他帰郷、ふるさとに帰ったということなど含めました人が 231人、10.6%でした。

 本市では、野宿生活者対策として、平成11年8月より巡回相談事業、自立支援センター事業、特定3公園の仮設一時避難所の設置などの支援策や、またその予防として、あいりん地域における日雇い労働者等に対する各種事業を実施してまいっているところです。

 市内の野宿生活者の数は、平成10年の概数調査では 8,660人、平成15年1月から2月の全国実態調査では 6,603人でした。テント・小屋掛け数を見ますと、平成11年から12年のピーク時に、道路では 1,502件あったものが、ことしの10月で 617件、公園では 2,593件あったものが、ことしの8月で 1,361件と、ほぼ半数まで減っております。さきに申し上げましたように、自立支援センターは就労自立に一定の成果を上げているものと認識しております。以上でございます。

◆柳本顕委員 今の御答弁の中でピーク時と比べて半数ぐらいになったということでございますけども、私たち一人一人の体感値としては、まだまだ、やはり数としては減ってないんじゃなかろうかというような思いもいたします。お話もありました就労率の42.5%という数字については、これ、高いか低いかって議論分かれるところかもしれませんけども、一たん就労して、また、スリップといいますけども、就労したけれども、再び何かの機会にホームレスに戻るというケースもあることを考えれば、また自立支援センターの趣旨から考えると、入所時前のアセスメントをより強化して、せめてこの就労率、60%ぐらいにまで上げていっていくという方針を強く持っていただきたいというふうに思います。

 また、施設整備については、私の地元でもあります西成区で、今宮でのあいりん夜間避難所や、自立支援センター各3カ所では、当初住民の方との間で3年間という事業の期間の約束があったんですけども、現状の中で施策の継続が必要であることは一定理解できますが、当初の住民との約束が守られていないのも、これ事実であります。これでは新しいところをつくろうとしても理解が得られにくいのも当然であります。

 そういった観点から、期間や地域を限定し、集中的対策によって課題を解決するため設置された公園内の仮設一時避難所についてお聞きをいたします。

 現在、西成公園、大阪城公園、以前は長居にもありましたが、現在は西成公園、大阪城公園の2カ所で運営をしています。まず、定員に対する入所状況並びに公園の適正化状況についてお尋ねをいたします。

◎蜂屋ゆとりとみどり振興局総務部公園施設管理担当課長 お答えいたします。

 仮設一時避難所につきましては、平成12年8月に本市の独自施策として緊急的、過渡的、限定的な施設と位置づけ、当該公園の適正化と野宿生活者の自立の支援を図るために公園内に設置いたしたものであり、現在は西成公園と大阪城公園の2カ所で設置・運営をいたしております。

 西成仮設一時避難所は、平成1312月に定員 200名の施設として開設、これまでの入所者総数は 131名、退所者総数は 119名で、現在の入所者は12となっており、ピーク時におきます入所率は約40でございます。

 次に、大阪城仮設一時避難所は、平成1411月に定員 300名の施設として開設、これまでの入所者総数は 253名、退所者総数は 144名で、現在の入所者は 109名となっており、ピーク時におきます入所率は約50でございます。

 公園の適正化状況につきましては、西成公園では当初 251件あったテント・小屋掛けは現在92件となり、当初の約4割に減少、大阪城公園ではピーク時に 681件あったテント・小屋掛けは現在 145件と、ピーク時の約2割となったところでございます。よろしくお願いします。

◆柳本顕委員 この公園の仮設一時避難所についても、効果については私自身も一定評価するところでありますけれども、その事業の規模であるとか、当初、公園にいる方を全員入っていただけるだけのものをつくったのに対し、入所率ということでピーク時の西成で40%、大阪城で50%、これ稼働率という計算の仕方をすればもっと下がってくるわけですよね。その辺の効果というのも検証していっていただきたいというふうに思います。

 公園内の仮設一時避難所は、国のホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定される前の本市独自の緊急的な対策として実施してきた施設であることは理解するとしても、入所率から見れば十分にその役割を果たしたとは思えません。設置・運営にかかった費用に対する効果をどのように評価しているのか、お聞きいたします。

 あわせて、西成公園と大阪城公園の仮設一時避難所は、当初地元との約束であった3カ年、これを守るおつもりなのか、今後の公園の適正化対策を含めて展望をお聞きいたします。

◎蜂屋ゆとりとみどり振興局総務部公園施設管理担当課長 お答えいたします。

 仮設一時避難所は、委員御指摘のとおり、国のホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定される以前に臨時的に設置された施設であることから、予測できない点も多く、施設の適正な規模や自立への出口問題などに課題を残しましたが、一定の成果を得たと考えております。

 西成仮設一時避難所につきましては、この12月で設置期限である3年を迎えますので、現在入所している12名の処遇を行いました上、速やかに閉所できるよう進めてまいります。また、公園内に残っている野宿生活者に対しましては、施設管理者と巡回相談員並びに関係者が、個々のニーズに適応する自立支援プログラムをつくり、精力的に働きかけを行いながら公園の機能回復に努めてまいります。

 また、大阪の観光の中心であり、さまざまなイベントに利用されている大阪城公園につきましては、残された1年間で野宿生活者の仮設一時避難所へのより積極的な入所誘導を展開いたしますとともに、仮設一時避難所の取り扱いにつきましては、地元の皆様の意向も十分に踏まえながら、野宿生活者対策推進本部として検討してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、仮設一時避難所は一時的な施設であることから、設置期限終了後は本市の大阪市野宿生活者の自立の支援等に関する実施計画に基づく対策に移行いたしまして、引き続き公園の適正化に取り組んでまいります。よろしくお願いします。

◆柳本顕委員 西成公園については閉所に向けて動くと。大阪城公園についても、今後の状況を見据えながら収束していくことを期待しつつも、やはりまだ、それでも現状としては、その公園の中にホームレスの方がいて、またテント・小屋掛けがあるのが事実でございます。また、ほかの大規模の公園、天王寺公園であるとか、靫公園であるとか、毛馬桜之宮公園等々の大公園も含めて、中小の公園も含めて、今現在まだ存在するテントもあるというのが実情でございますので、そのあたりを十分踏まえて、今後の展開を図っていただきたいというふうに思います。

 事業展開に当たって、さまざまな困難は一定理解できます。職員の方々もいろいろと危険な目にも遭われることもあろうかと思いますし、御苦労もされていると思います。しかし、根本的に何が何でも事業を実行してホームレスの問題の解決を図っていこうという気概や熱意がね、いまいち伝わってこないかなというふうに思わざるを得ません。

 話を自立支援センターに戻しますけども、15年度においても予算が履行できなかったこの自立支援センターの増設が、16年度にも同様に予算計上されてるんですけども、11月現在、今現在もその自立支援センター増設に向けての形が見えていないのが現状であります。昨今の社会情勢の中で、賛否両論も想定し、その中で理解を求め、実行できることを見定めてこそ、厳しい財政状況下での予算計上、これがなされるべきであるというふうに考えます。

 また、ホームレスの高齢化に伴って、就労支援ということもホームレス対策として機能しにくくなってきていることもあり、ホームレス対策が高齢者対策となれば、生活保護の適用にならざるを得ないという現状も見据えなければなりません。今までの議論も踏まえ、就労に結びつけることに特化したアセスメントを充実した上での自立支援センターの運営を確立するとともに、高齢化により就労できないホームレスへの対応、そして社会生活を望まないホームレスに対しては毅然とした対応を講じるなど、対象を精査した上での施策の実行が求められています。

 また、施設の建設などに当たっては、市長公約でもあるホームレス対策に対して、全庁的バックアップがなされるよう調整を図る必要があると考えますが、今後に向けての決意をお伺いいたします。

◎松山健康福祉局福祉援護担当部長 お答えいたします。

 野宿生活者問題の解決は、本市の最優先の施策課題の一つでございます。本年3月に策定をいたしました実施計画では、自立支援センターを野宿生活者の自立を総合的に支援するための中核施設と位置づけまして、その増設と機能拡充を図ることとしております。そのため、厳しい財政状況の中ではございますが予算を確保し、整備に向け鋭意調整に努めておりますが、委員御指摘のようにいまだに着手できない状況でございます。

 自立支援を効果的かつ効率的に行いますため、アセスメント機能を充実し、自立支援プログラムを設定し、就労自立が可能な人は就労に、福祉援護を必要とする人には必要な援護を、また、社会生活を望まない人には継続した相談活動を行ってまいります。また、公共施設の適正な管理に向け、毅然とした対応にも努めてまいります。

 就労支援につきましては、先般、大阪市を初め国、大阪府、経済団体・労働団体によって設置をいたしました大阪野宿生活者就業支援協議会を通じまして、雇用の促進を図るため、就労先の開拓や就労機会の拡充など就労支援により一層積極的に取り組んでまいります。

 野宿生活者対策の推進には、市長を本部長といたします野宿生活者対策推進本部のもと、全庁体制により取り組んでまいったところでございますけれども、自立支援のための中核施設である自立支援センターの早期の増設につきましても、市民の皆様方の御理解と信頼を得ながら不退転の決意で取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◆柳本顕委員 御出席の各局の理事者の方にもお願いしたいと思います。自立支援センターについての住民理解を求めようと地元に入りたくても、ほかのことで何か地元に対してお願いをせなあかんことがあったり、トラブルがあったりすると、そのことについての説明に入りたくても入れないという状況が実際にあるそうなんですね。そういう意味で、経営企画室あたりが調整していただいて、今、実際その地域に入っていく重要課題は何かということをしっかりととらまえて、このホームレス施策、重点課題として進めていっていただきたいと思いますし、議員各位にも総論賛成、各論反対と言われる中でですけども、御協力のほどをお願いしたいと思います。

 次に、いまだに 100を超えるブルーテントがあるということですけども、その大阪城公園で開催予定の緑化フェアについてお聞きいたします。

 大阪城公園は、大阪のシンボルである天守閣を初め、石垣などの歴史的資産もあって、市民の誇りでもあり、また集客の拠点でもあり、より一層の魅力の向上を図る必要があると思います。

 平成18年に、この大阪城公園をメーン会場として第23回全国都市緑化おおさかフェアが開催されると聞いています。フェアは全国的なイベントであるので、計画的・戦略的な再整備計画が必要であり、ホームレス対策も視野に入れた対応が必要であります。そこで、おおさかフェア開催に向けてのこれからの整備計画についてお伺いをいたします。

◎田中ゆとりとみどり振興局緑化推進部公園整備課長 お答えいたします。

 大阪城公園は、天守閣を中心に石垣ややぐらを含む区域が特別史跡に指定されており、重要な観光の拠点として大阪を代表する公園であり、緑・歴史・文化などの多彩な資源を生かした効果的な整備を行い、より一層の魅力の向上や集客観光の振興を図ることが大切であると考えております。

 このため、第23回全国都市緑化おおさかフェアの開催に合わせまして、平成16年度と17年度に、大手前地区におきましては多様なイベントにも対応できる芝生広場やエントランス広場などの整備を行います。また、その東側の城南地区におきましては、壮大な石垣や堀、重要文化財であるやぐらなどをライトアップし、昼のみならず夜間にも雄大な眺望を楽しめる展望広場などを整備してまいりたいと考えております。さらにフェアの終了後も、難波宮跡公園との連続性も考慮し、長期的な視野に立って計画的に整備を進めていきたいと考えております。