【 平成15年2・3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-0305日−03号 】

◆永藪隆弘委員 

 また、現下の状況においては、特に生活保護制度に対する市民の信頼を確保することが重要と考えておるわけでございまして、したがって、いろいろ検討すべき課題もあろうかと思いますが、我々適正な保護の実施はもちろんでございますけれども、生活保護の制度の目的には、単なる経済給付だけではなく自立を助長するような重要な面もございます。

 景気の低迷が続き、雇用情勢も厳しい中、就職することは難しいと思われますが、働く能力がある単身者や母子家庭が仕事について自立していくことを支援する仕組みが必要であると思います。

 このような世帯に対し、福祉事務所としてはどのような取り組みを行っておられるのかもお答え願いたいと思います。

◎高橋健康福祉局福祉本部生活福祉部保護業務企画担当課長 お答え申し上げます。

 福祉事務所におきましては、担当ケースワーカーが家庭訪問した際や、御本人が福祉事務所に来られたときに、生活の状況やさまざまな事情をお聞きした上で、必要な助言や指導を行っております。

 その中で、病気で働けない方には、一日でも早く病気が回復し、就労できるように、主治医の意見も聞きながら療養の指導を行っております。

 働く能力がある方につきましては、就労指導の一つといたしまして、毎月求職状況申告書を提出していただき、求職の方法とか仕事の業種などについて助言を行っております。

 また、ハローワークでの求職を指導しており、必要に応じまして担当ケースワーカーがハローワークに同行していましたが、今後はハローワークインターネットサービスなどの求職情報を取得いたしまして、その情報をもとに指導を行うことを検討しており、こうしたことのよる時間的な効率化を図ることで、一層ケースワークを充実させていきたいと考えております。

 さらに、専門的な知識を持った相談員による就労支援についても検討していきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、生活保護法の目的であります自立の助長に向けて、努めてまいりたいと考えております。以上でございます。

◆永藪隆弘委員 今ちょっと申しましたように、いろいろな手法を持って、働く人の、働ける方であっても本当に働けてないんかどうか。そしてその辺のチェックポイント。今言われましたケースワーカーの方がそんなけ見るということは、特に東淀川なんか何千人おられるわけでございますので、今の人数ではとてもじゃないがチェックしにくいというふうに思っておるわけでございますけれども、うまくその辺、今先ほど言われたようなインターネットを使いながらちゃんとしてやるとかいうことをもう少し、本当に働ける状態なんか、そして本当に働けないのか、その辺をきっちり見分けるということも大事だと。

 先ほどの家賃のことと、そういう働いてもらうということ。それに支援をしてやるということをもっと積極的にやっていただければ、少しでも生活保護の制度に不公平感がないんじゃないかというふうにも映るわけでございます。

 きのう大変、船場先生が言われているように、これから伸びるということでございますので、ぜひ何かの抑えがきくようなことを御検討願いたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 引き続きまして、自立支援センターの支援状況についてでございますけれども、大阪市は他都市に先駆け巡回相談事業を初め、自立支援センターや仮設一時避難所の整備・運営を行っております。

 現在、北区、西成区、東淀川区にある3カ所の自立支援センターがホームレスに対する支援の中心施設でありますが、これまでの自立支援センターの支援状況について説明していただきたいと思います。

 また、自立支援センターの退所者に対するアフターケアをどのように行っているのかということもあわせてお答え願いたいと思います。

◎久保健康福祉局福祉本部生活福祉部野宿生活者対策担当課長 お答えいたします。

 現在 280人の定員で自立支援センターを運営しておりまして、入所者に対し、生活相談、生活指導を行いますとともに、大阪労働局との連携のもとに、公共職業安定所から職業相談員の派遣を受けまして、職業相談、職業紹介など就労自立に向けた支援を行っているところでございます。

 平成15年1月末までの入所総数は 1,409人でございまして、退所者は 1,170人となっております。退所者の内訳といたしましては、およそ4割の 472人が就労、また1割の 117人が入院や生活保護施設への入所、さらに残りの約5割の 581人が自主退所などとなっております。

 退所者へのアフターケアといたしましては、退所して2カ月後に自立支援センターから状況確認を行いまして、支援が必要な場合には、必要に応じて職業相談員とも連携しながら対応しているところでございます。以上でございます

◆永藪隆弘委員 きのうも自立支援センターのことにつきましていろいろと議論がございましたので、重複しますので控えますけれども、私の地元にも自立支援センター淀川がございます。平成1212月に開所しており、3年間の運営ということであるが、今後どのようにしていかれるのか。

 また平成15年度予算案では、自立支援センターの整備費として5億 5,000万円が計上されています。自立支援センターの新たな整備にどのように取り組んでおられるのか、あわせてお答え願います。

◎久保健康福祉局福祉本部生活福祉部野宿生活者対策担当課長 お答えいたします。

 昨年7月に成立いたしましたホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づきまして、今後国におきまして基本方針が策定され、それに即して本市においても実施計画を策定いたしまして、対策を積極的に進めてまいります。

 したがいまして、法施行を契機としまして、これまで大阪市が他都市に先駆けて実施してまいりました施策について、総合的に見直し、検討を行ってまいる必要がございます。

 委員御指摘の自立支援センターにつきましては、地元の皆様の御理解、御協力のもと、一定の実績を上げさせていただいておるところでございます。

 今後とも地元の皆様の御意見を十分にお聞きしながら、そのあり方について検討してまいりますとともに、またあわせて平成15年度には、御指摘のように新たに4か所の自立支援センターの整備費を計上いたしておりまして、早期の整備に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

◆永藪隆弘委員 今言われましたように、昨年7月にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法ができまして、それを契機に総合的に見直し、検討していくということでございますね。

 そして、今聞きましたように、地元の皆様の御理解と御協力のもと、一定の実績を上げてるからもう少しやらしてほしいということですか。続けるということですか。

 当東淀川の方ではもう3年やからもう終わるだろうと。もう出てくれはるやろなというのを、私らしょっちゅう言われてるわけです。その辺の説明はよくしていただきたい。今答えられないと思いますからそれは結構ですけど。

 だけどまた新たに4カ所をつくるということになりますと、これは本当に、今3カ所また同じとこに1つずつふえていくんか、ちょっとわかりませんけれども、ちょっとやっぱりこの辺のところはよく説明していただいて、総合的に見直すということでございますけど、本当にこれ大変な問題でございます。よく検討していただくことをお願い申し上げまして、この質問は終わらせていただきます。ちょっと物わかりがよすぎるかな。

     川口優委員

次に、ホームレスの問題についてお伺いいたします。

 我が党は、これまでもこのホームレスの問題について、その一番問題点は、就職どうすんのか、就労どうすんのかと、仕事の保障をどうすんのかと、こういう考え方でこれまでも取り組んでまいりました。

 そこで大阪市は、先ほどの質問にも出ましたけれども、自立支援センター、大阪市内に3つあるようでございますが、 280名ですか−−を使っていろいろ取り組んでおられるようでございますが、私の聞いたところでは、ある人はこの自立支援センターから出られて、今までの経験を活用して花屋さんに入って、花屋さんの主任っていうんですか、部長級になられて35万円以上の給料を今とっておられると、こういう方もありますし、また警備保障の会社に行かれて、責任者になっておられるという方もあるように聞いてます。またそのほか、このようにいろいろと支援センターから出られていいところに就職、例えば新聞配達屋さんに行って、そこから現在ではもう新聞配達屋さんの店長になっておられると、こういう方もおられるわけです。

 私が言いたいのは、ホームレスになっておられる方々が大変偏見で見られているけれども、このような、例えばこのような部長になるような能力を持っている人でも、ホームレスにならざるを得ないという現状を十分に考えていただきたいと思います。

 そこでこの支援センターのことについて、課題は今どのようになってるのか。どのような課題があるのかということをどう認識しているのかお尋ねします。

◎坂本健康福祉局福祉本部生活福祉部野宿生活者対策担当課長 お答えいたします。

 野宿生活者の方々の就労自立を目的といたしまして、平成1210月より順次3カ所、総定員数は 280人の自立支援センターを整備・運営しており、就労自立に向けて公共職業安定所より職業相談員が派遣され、入所者の職歴や資格・技能、希望職種などを勘案し、個別的に職業相談、職業紹介を行っています。

 また、勤労意欲の助長でありますとか、就労訓練の一つといたしまして、大阪府が実施する公共施設の除草・清掃等に一定期間従事する常用雇用促進事業の活用や、大阪府の職業訓練、国のモデル事業であります野宿生活者能力活用推進事業によりまして、自転車の組み立て・修理、あるいは靴修理などの技能講習を実施するとともに、公共職業安定所の求人情報以外のあらゆる求人情報の収集・提供、それと、さらに各自立支援センター独自で開拓をいたしました就労先の紹介などに取り組んでおります。

 入所者の年齢層を見ますと、40歳未満が7%、40歳代が25%、50歳代が53%、60歳以上が15%と、平均年齢がおおむね50歳という再就職が困難な中高年齢層の方が多くおられます。

 また、就職に有利な資格・技能を持つ方が少ないこと、さらに現下の雇用情勢もありまして、野宿生活者の方々には厳しい状況にありますが、これまでに退所者の4割の方が再就職いたしました。

 いずれにいたしましても、野宿生活から就労による自立のための中核をなす自立支援センターでありますので、新たな施設整備による入所枠の拡大とともに、就労自立ができますようより一層の支援メニューの拡充を図る必要があると認識しているところです。以上でございます。

◆川口優委員 そこで、さきのホームレスの問題について市長にお聞きしたいので、少し残しましたけども、このホームレスの問題、先ほど申し上げましたように、最終的にはやっぱり就労の問題だと思うんですね。就労がちゃんとやられるかどうかということが大きな問題だと思いますが、これまでの答弁聞いてますと、国の制度待ちとか、我々この特別措置法つくるためにも東京に参りまして、私も主計局長まで会って、ちゃんと話しして大阪の問題を伝えてきました。結果として、我々としては不十分だけれども、特別措置法ができました。

 そこで、この特別措置法ができたということは、ホームレスの問題は大阪だけの問題ではないと。この問題は、大阪がどんなにええことをやっても、シェルターつくったり、自立支援センターつくったり、いろいろ金をかけてつくっても、大阪行けば、昨日この委員会でも出ておりましたように、神戸から大阪へ行ってこいというようなことが出るように、大阪だけで何ぼやってもだめだと思うんです。これが特別措置法の趣旨だと思いますので。私は逆に今度は、これまでは大阪が右肩上がりの大変繁盛した時分ですね、そんな時分は大阪へ来れば何とかなると言うて来られたけれども、逆に今は、大阪は沖縄に次いで失業率が最悪の状態になってます。

 逆に今度は、大阪に来られた失業された方を、逆に今度は大阪から外へ働きかける。この人は神戸から来たんやったら、神戸にも責任持ってもらうと。神戸に帰ってもらうと。神戸に協力してもらう。それができないとすれば、例えば和歌山や三重県のほうで、緑の何とかいう就労のことが出ておりますが、そういうところに働きかけて、逆にもっと積極的に大阪からそういった緑の作業には、うちで30人段取りしますよと、自立支援センターで段取りしますよと、何とかそっちで受け入れてくださいというふうに積極的に今度は大阪から他府県へ攻めていくというんですか、協力を求めていくと。そのことをやっぱり皆にわかってもらう、他都市にもわかっていただく。

 他都市にもこのホームレスの問題は、大阪に来てる人の中にはかなりの人が他府県から来ておられますから、そういったところにも協力を求めていく必要があろうかと思います。

 例えば和歌山や三重県の緑の森林保護の問題について、こういったところに行ったらどうかという提案をいたしましたけれども、ホームレスだけの問題ではなしに、いろんなほかの問題についてもやはり大阪がすべて受けとめていく。それも必要ですよ。しかし大阪はそういう経験持ってるんですから、それではもう無理だということ、容量がもうパンクしてますから、そういう意味では外へ働きかける法律もできたし、これから今申し上げたように、他府県にも他都市にも要請をしていく。かかわっていただく。そして関心を持ってもらうと。あ、うちも関係があったんだと。大阪市に行ってる人に関係があったんだ。何とかうちで、どういうことができるんだと。北九州で何ができるんだ、福岡は何ができるんだというような提案をしてほしいと思うんですが、私のこの考え方について、ホームレスの問題を例に挙げました。和歌山、三重県の例を挙げました。市長の見解をお願いいたします。

◎磯村市長 私も野宿生活者問題については、何度かこの委員会でもお答えを申し上げてきたわけですが、多少重複するような説明になるかとも思いますが、申し上げておきたいことがあります。

 いろんな状況、それからまたいろいろな原因があって、野宿生活者が大阪市内に集まってきたことは避けようがない現実でありました。

 私どもはその現実をまず受けとめて、その現実にいかに対応するかということで、数年間必死になっていろいろな対応をやったわけでございますが、基本的な考え方は、とりあえずは自立支援センターに収容する。それではとても足りないので、一時避難場所としてシェルターに収容をする。そして、もちろんいろんな巡回相談などもやってみる。

 何を考えていたかと申しますと、やっぱり野宿生活者に野宿生活をやめて、自立できるような方向にもっていくためには何が必要かということを考えていたわけであります。

 一番必要なことは何かといいますと、やっぱり心身が回復しないと、野宿生活からすぐにどっかの仕事につけるというほど甘いものではございません。もうみんな生活意欲といいますか、やる気がなくなっているという状態がございますから、心身ともにもう一度回復して、何か自分がやりたいことを考えてもらうということが第一だろうと。

 今度は、そういう意欲のある人を何とか新しい仕事につけるような研修機関というようなものを持ったらどうなのだろうかと。

 最終的には、全国的な視野でいろんな雇用のチャンスがないだろうかと、そういう考えで、現実即応的な対応をしていったのですが、これらはやっぱり法律がないとどうにもならないということがわかりましたので、市会の皆様方にも御協力をいただき、国会議員の方々にも御協力をいただいて、最終的には特別措置法の立法にまで至ったわけでございます。

 そういう立法の趣旨は、川口委員がおっしゃったように日本全国で野宿生活者の問題に取り組もうという趣旨でございますから、私は、先ほど申しました大阪の現実対応的な経験に基づいて、大阪市内である程度リハビリ的なことがやれれば、あとは全国的な規模で職業研修、そして新しい定着地をつくっていくというやり方が、恐らく正しい方向だろうと確信をいたしております。

 緑の雇用政策ということで、これはもう私何度か申し上げたんですが、日本全国で人口が減ってしまって、農村としての労働力が足りない、漁村としての労働力が足りない、山村としての労働力が足りない、介護をするための労働力が足りない、そういうところが多々あるわけでございますから、大体この野宿生活をした方々は、出身地へ帰ろうという気持ちは余りないようです。我々が調べた結果では、別のところで暮らしたいという方が多いわけでございますから、だからますます全国的な規模でそういうことができるようにしていきたい。

 やっと農水省もその気になって、いろんな制度を立ち上げてきたようでございますし、近隣でいえば、おっしゃったように、和歌山なり三重県あたりもそういう制度の立ち上げをやってきたようでありますから、私は、大阪市としては積極的にそういう制度の情報交換をして、そして大阪市内でリハビリをしている人たちに、こういうチャンスがあるということを説明をしてあげて、相談に乗ってあげて、そして新しい定着地を見つけて、研修をスタートさせて成功すれば、そこで暮らしたら一番その人たちにとってもいいのではないかというふうに思っておりまして、そういう政策を大阪市としても、おっしゃるとおり、外向きに取り組んでいくべきだというふうに思っております。

 そういう方向を担当者にも指示をいたしたところでございます。以上です。