【 平成14年度決算特別委員会(一般)平成1512月・16年1月-0119日−03号 】

◆田中ゆたか委員

次に、ホームレス対策についてお伺いします。

 自立支援の対策推進本部を大阪市も立ち上げ、全国では約2万 5,000人、市では現在 6,603人と、4割以上を占めている状況でございます。

 また、実施計画では自立支援センターを野宿生活者の自立を総合的に支援するための中核施設と位置づけ、その拡充を図るとあります。私が在住する北区には、1210月に、地域の皆さんの理解をいただき、本市では最初の自立支援センターができました。西成区、東淀川区と、次々に自立支援策をこなしてきたわけでございますけども、現在の 280人という入所枠では限界だと考えます。

 ホームレスの自立支援を考えるとき、まず野宿生活から離れ、失業状態から再就職に向けて支援することが基本と考えておりますが、それに向けたシミュレーションはどんなものかお答えください。

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。

 平成15年1月の実態調査で、大阪市内の野宿生活者は 6,603人でした。そのうちの 508人を対象にした聞き取り調査によりますと、きちんと就職して働きたいという人や、何らかの形で仕事をしたいという人が合わせて64.3%、入院や福祉的な援護を望む人が15%、今のままでいいという人が 8.5%となっています。また、新たに野宿生活となる者として、直近の野宿生活になってからの期間が1年未満の人が29.2%という結果でありました。

 野宿生活者の生活実態や景気の変動などにより予測しがたいですが、調査結果から推測して、実施計画素案の実施期間である今後5年間の野宿生活者対策における対象者の総数は、新たに野宿状態になる人が約1万人程度であり、現在の野宿生活者と合わせて1万 6,000人程度と予想されます。そのうち自立支援センターにおいて入所対象とすべき人は、社会生活を望まないという人を除いて、5年間で約1万 5,000人と推計されます。

 現在の自立支援センターの平均入所期間である 160日で算定すれば 1,300人程度の入所施設が必要となりますが、就労支援の機能強化を図るなどにより、平均入所期間をさらに短縮し、延べ入所人数を増加させ、入所施設規模をできるだけ圧縮し、効率的な施設運営を図ってまいりたいと考えているところであります。

 今後、市民の皆様の御理解をいただきながら、自立支援センターの整備と機能の充実を図り、計画的に野宿生活者問題の解決を図ってまいりたいと考えています。以上でございます。

◆田中ゆたか委員 局としては、現存する3カ所以外の候補地も含めて、自立支援プログラムによって再就職支援の機能強化を図り、効率的に入所者の自立を支援するということでございますが、このセンターからの出口問題として、次は就業先を探すという問題を解決しなければなりません。具体的にどのようにしてセンターの入所者を再就職させるのか、いつまでに解決していくのか、また、対策事業費はどれだけかかっているのかお答えください。

◎久保健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援事業担当課長 お答えいたします。

 現在策定中の実施計画の中では、まず自立支援センターに入所時に、野宿生活者の個々の状況について多面的に把握するアセスメントを充実しまして、適切な自立に向けたきめ細かな自立支援プログラムの設定を行うこととしております。

 就労の対策としまして、野宿生活者の問題を協議するとともに、就労への仕組みづくりに努めるため、国、府及び経済団体、労働団体等による支援のための協議会を設置いたしますとともに、NPOなど民間団体との連携・協力を図ってまいります。

 また、直ちに常用雇用に結びつく人に対しましては、野宿生活者を雇用した事業主に奨励金を出しますトライアル雇用制度や、本市発注の清掃業務について野宿生活者等の雇用に配慮を行います総合評価入札制度など各種施策を活用いたしまして、就労につなぐ支援を行ってまいります。

 次に、常用雇用による自立が直ちには困難な人に対しましては、種々の技能・資格付与のための技能講習事業、公共施設等の除草・清掃作業に従事する事業、民間団体との連携による就労開拓等さまざまな手法を検討・実施いたしまして、就労を支援してまいります。

 なお、ホームレス対策事業費についてでございますが、平成15年度予算では、自立支援センターの整備・運営、公園内仮設一時避難所の管理運営及び野宿生活者巡回相談事業や、直接、就労支援に向けた野宿生活者能力活用推進事業、環境美化推進事業など合計で15 9,500万円でございまして、うち市費は7億 3,000万円となっております。

 これ以外に国、府の事業も活用いたしまして、就労支援を進めているところでございます。以上でございます。

◆田中ゆたか委員 どれだけ就職先を探して、どれだけ国、府及び経済団体や労働団体に支援のための協力をしていただくか、まだまだわからない点が多すぎます。

 多くの税金が使われてることから、市民からはホームレスの人権、そして納税者の人権、どちらが大切かという声が上がっているのが本音の話でございます。だからこそ、対応策づくりを早急に進めて、市民に予算の使い道を明確にすること、そして年次的な目標を立てて、その都度検証を行うなど、市長が19年度まで、任期中にホームレス問題を解決していくという公約をされておりましたが、どう考えているのかお答えください。

◎松山健康福祉局福祉援護担当部長 野宿生活者の自立支援についてのお尋ねでございます。

 野宿生活者対策を実施するに当たりましては、野宿生活者がみずからの意思で安定した生活を営めるように支援することを基本としておりまして、自立支援のためには、就業機会の確保を図ることが最重要の課題であると考えております。そのため、就労自立を支援する中核施設でございます自立支援センターの拡充を図ってまいりますとともに、就労支援の仕組みづくりなどに取り組むことが必要不可欠であると考えております。

 現在、本市の実施計画の素案を作成し、パブリックコメントの手続を行っているところでございますが、市民の皆様方の御意見などを得まして、年度内に実施計画を策定してまいりたいと考えております。野宿生活者対策が市民の皆様方の目から見てわかりやすく、また理解が得られますよう、田中委員御指摘の点も踏まえまして、計画的かつ効果的に自立支援事業を進め、計画期間内に野宿生活者問題の解決に一定のめどをつけるべく努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

◆田中ゆたか委員 我が会派といたしましても、ホームレス問題研究会を組織しており、皆さんの状況報告を含めて、これから予算に向けて具体的に詰めたいとは思いますけども、この研究会も皆さんを後押しする位置づけとして、局としては認識していただきたく思っております。抜本的な改革をするために、本当に年次年次、計画性を持ってやっていただきたく要望しておきます。

 きょうのところは時間がございませんので、本日の質問はこれで終わらせていただきます。