164-衆-厚生労働委員会-29号 平成18年06月09日

 

平成十八年六月九日(金曜日)

    午前九時三十六分開議

 

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 がん対策基本法案(古川元久君外四名提出、衆法第一六号)

 がん対策基本法案(鴨下一郎君外三名提出、衆法第二九号)

 職業能力開発促進法及び中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)(参議院送付)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外五名提出、衆法第三二号)

 がん対策基本法案(古川元久君外四名提出、衆法第一六号)及びがん対策基本法案(鴨下一郎君外三名提出、衆法第二九号)の撤回許可に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 がん対策基本法案起草の件

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○川崎国務大臣 私は何回も申し上げていますのは、一つは、ニートとフリーターを同じ使い方をしない方がいい。フリーターという問題とニートという問題、この言葉がいいかどうかも含めて、もう少し仕分けをして考えるべきであろう。

 ニートの問題は、やはり六十四万の中で三十万を超える方々が一度も就職したことがない。また、中学から高校へ行く段階、また、高校から上を目指した途中の段階で、実は学校の途中で起きたケースの方が多うございます。そういう人たちがもう一度社会連帯の中に入ってくる、そういうきっかけをどういう形でつくって、結果として、もう一度学校へ行くか、職業という道を選ぶか、いろいろな多様な道が実はニートの皆さん方にはある。

 そして、実は、この話し合いというものはまず親子の間で行われるべきだけれども、残念ながら親が言ってもなかなか子供は聞いてくれぬ、こういう事情も出てくる。そういった中で、地域の専門家の人たちが、でき得れば御本人に語りかけたい、また、同じ活動をしたい。しかし、それが無理な場合は、親御さんだけでも出てきてくれて専門家の意見を聞いてくれ。そういう中で、みんなで協力し合って、一部引きこもりという人たちもいるでしょう、社会の中に出てきてもらう。そこで、もう一度勉強し直してもらうか、もしくは職業という道を選ぶか、こういう切り口だろうと思うのです。

 フリーターの皆さん方というのは、基本的には私は労働意欲のある方という思いでおります。どういうきっかけで、実は就職のチャンスがなかったか。先ほどから申し上げているとおり、極めて我が国が厳しい状況の中でそういうところに追い込まれてしまった人たちもいる。それから、自分が学生時代に思っていたものと社会というものに随分差がある。自分はこれを目指したかったんだけれども、社会はそういうものではなかった。したがって、そこをどうミスマッチを解消していくか。

 いろいろなことがあろうと思いますけれども、少なくともフリーターの皆さん方は意欲を持っておられる方々ですので、私どもしっかり支えながら、仕事をしていってもらいたい。これが一つです。

 それから、今の話の中でもう一つ違ってまいりましたのは、高校から就職をされる方、工業高校とか商業高校の方が多うございますけれども、この方々は高い率でそのまま職場の道に歩まれます。

 実は、普通科を選ばれる方々の方が、先ほどのニートの方にもありましたけれども、少しよそへずれてしまう。普通科の多くの方々が、実は大学へ行かれるか、もしくは専門学校。大学へ行かれる方が五十万、専門学校へ行かれる方が三十万ぐらいの数になっておりますので、この三十万という数に着目しながら、高校でそのまま就職する人と、高校からもう一段階勉強もしてみたいんだというところへ着目したのが今回の一つの制度であろう、こう思っております。

 高校で就職しようとする人は、ある意味でははっきり自分の目標がしっかりしている。実は、専門学校へ行かれる方の中で、例えば私は看護師さんになりたいという人たちは、これはかなり職業意識が高いんですけれども、高くない方々もいらっしゃいますので、そこと企業現場というものをうまく結びつけたいなというのが今回の制度でございます。

 そういった意味では、確かにいろいろな切り口があって、社内の中において、ああ、おまえは勉強しながらか、おれはもう仕事一本だ、こういういろいろな会話が出てくるんだろうと思いますけれども、そこは委員の御指摘もあり、我々しっかりウオッチしながらやってまいりたい、こう思います。

 

○阿部(知)委員 先ほど、イギリスのこのニートという言葉の発祥の歴史、そして、政治の中でどのような政策が打たれてきたかということを多少お話し申し上げましたが、サッチャー政権の後にブレア政権が誕生したときに、いわゆる教育、教育、教育と、教育を三つ並べたのは、もちろん、初等中等教育、義務教育におけるいろいろな学力の差。そして、日本と同じように、いわば職場でそれまで訓練されていた職業訓練における長期の自分のキャリア形成における教育が、やはり企業の状況が厳しい、あるいは非正規雇用等々で寸断されていく。そういう場における教育の問題。そして三つ目は、福祉政策としての教育にあると言われております。三つ目は、いわゆる今は貧困の再生産といって、御家庭の収入の少ないおうちに、やはり、例えばニートや、あるいはホームレスになってしまう子供たちが多いという社会問題を抱えて、三つの観点からアプローチしようということでありました。

 今、大臣の御答弁にもありましたが、今回の施策はあくまでも、例えば、高校を卒業して専門学校に行こうか、そのまま就職しようか。専門学校に行った方の方が、もしかしてそのまま就職した方よりも離職する率が高いのであれば、フリーターになる、あるいは、もっと言ってニートになるのを予防するための施策であろうという位置づけでありましたが、事ほどさように、どういう対象に向けてどういう施策を打つかは非常に綿密でなければならないと思います。

 私が指摘した、例えば、現在二百万人の若年無業者のうち、大臣もおっしゃいましたように三人に一人は全く就職したことがない、あるいは、家庭の年収においても三百万円台、四百万円台の方がふえている、中卒の皆さんがふえているという形でございます。

 もちろん、中卒だろうと高卒だろうと、その子がやっていければそれで十分いいのですけれども、やはりそれなりの支援をして、働くことと自分の人生をマッチさせてほしいというのが政策でありますから、そういう観点から見ると、やはり私は、個々に、政策目標と、どういうターゲットに何をしたらどんな効果があったかは、きちんと点検していかなければいけないと思います。

 その意味で、先ほど来の御答弁を聞いて、例えば、若者自立塾、ジョブカフェ、日本版デュアルシステムのおのおのが、例えば何名の就労を生んだ。でも、例えば若者自立塾の場合は、三百十二人の卒塾を出したが、そのうち何と正規雇用に移った方は極めて少ないとかいう結果は出ております。

 結果の前に、まず、どんな方がそのコースに入られたか。入ったプロフィール、どんな人たちがそのコースに入ったかということを分析すべきと思いますが、ずっと高橋さんの御質疑とか承りながらも、ほかの委員もそうです、どんな方がそのコースを受けて、日本版デュアルシステムもそうです、どんな成果があったかということを、一切厚労省はおまとめではありませんよね。いかがでしょうか。

 私は、これはやはり政策的には評価が難しくなってしまいますから、今後は、そもそもどんな方がそのコースを受講されているのか、例えば、極端な話、学歴、御家族のもしかして年収、あるいは御本人の持っているいろいろな制約などもきちんとある程度把握した上で、最も適切なコースを準備されるべきと思いますが、いかがですか。

 

○上村政府参考人 例えば若者自立塾でございますけれども、それぞれどういう経路で入塾するに至ったか、例えば、多くは家族、母親が多いんですが、そういった経路ですとか、状況ですとか、事情等はどうなっているかということは、それぞれの塾で十分把握し、それを踏まえた対策をとっているところでございます。

 それらをすべて詳細に集計したものが手元にはございませんけれども、それぞれのところでは、今申し上げましたようなことを踏まえてきめ細かな対策をとっているところでございます。