142-参-労働・社会政策委員会-5号 平成10年02月05日

 

平成十年二月五日(木曜日)

   午前十時一分開会

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  本日の会議に付した案件

○市民活動促進法案(第百三十九回国会衆議院提

 出)(継続案件)

○非営利法人特例法案(第百四十一回国会笠井亮

 君外二名発議)(継続案件)

○市民公益活動法人法案(第百四十一回国会山本

 保君外三名発議)(継続案件)

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○山本保君 丁寧に答えていただきましたが、申しわけございませんが、時間がないものですからお答えは簡単で結構でございます。ただ、丁寧だった割には何だかわからないことがありまして、私の頭が悪いのだと思いますが。

 ここで一つだけその中で問題にしたいのは、開かれたということと私的自治ということでございます。これは前回、猪熊議員からもお話があったように、まさに結社の自由ということがあるわけでございますから、中で自治的なことというのは当然保障されなくてはならないわけですが、これはこの条文ではありませんけれども、後の方に要件というのが出てくる。

 そこで、これは次回にまた問題にいたしますけれども、きょうも午前中お話がありましたが、例えばある大学を出た方だけで社員になってはいけないとか、こういう議論がされたようでございます。これはまた少し検討していただきまして、次回きちんとやらせていただきます。

 それで、ちょっと今気がついたことなんですが、一般の傍聴の方もおられますが、社員という言葉と、きょう午前中に会員制をとる団体が云々ということがいろいろございました。この会員という言葉とどう違うのか。私、前回も申し上げたんだけれども、どうもその議論がかみ合わなかったのが実はここにあったのではないかなとさっき気がつい、たわけなんです。

 つまり、私が社員の資格の得喪と言っております社員といいますのはまさに団体の構成員でありまして、団体の方向等について個人もしくは集団できちんと責任を持ち、その代表が運営をしていく、そういう決定権を持ったものを社員というのだと私は認識しておりまして、簡単に言えば、団体が行うさまざまのサービスを受ける人が、会員制というような形で幅広くほかの方よりもプライオリティーをもってサービスが受けられるかどうかということとは全く関係のない概念であると私は思って話しておったのです。

 ところが、どうもお聞きしておりますと、開かれたというのが、何か社員になることが開かれなくてはならないというようなお答えがあったような気がして、ここがどうもおかしかったのじゃないかなという気がいたしますが、これをこれ以上お聞きすると時間がございませんので、次回やります。どうぞ提案者の方、少し御協議をお願いしておきたいと思います。

 次に、具体的なことについてお聞きいたします。

 第二条には、「不特定かつ多数のものの利益」というのがございます。不特定かつ多数のものの利益が公益である、こういうふうに考えられると思うわけですが、不特定かつ多数といいますと、少数でかつ特定されておったらだめなのかということであります。例えばエイズの被害に遭われた方でありますとか、また新宿等である地域にホームレスでおられる方、こういう方の福祉を考えようというような団体はどう見ましても特定でありかつ少数であるという気がするのですが、こういうものはこのNPOの法人にはなれないのかどうか、お答えいただきたいと思います。

 

○衆議院議員(金田誠一君) 「不特定かつ多数のものの利益」ということについてお尋ねでございますが、第一条の「公益」と同じ概念であるということでございます。

 ただ、市民活動法人の定義においてあえて公益という文言を用いなかったのは、従来この公益という文言が民法の公益法人制度との関係においてややもすると官益というイメージで社会的に用いられている場合もあり、新たな時代を担うべく期待される本法案による市民活動法人については、より価値中立的な「不特定かつ多数のものの利益」という文言がふさわしい、こう判断したところによるわけでございます。

 そこで、特定の集団を対象にした活動がこれに含まれるかどうかということでございますけれども、例えば互助組織のようなもの、こういうものであればこれは公益、不特定多数の利益ということにはならないのではないかと思います。しかし、その行う具体的活動が別表十二項目のいずれかに該当する活動を通じたものであり、社会一般の利益の増進に寄与することを目的とするものであれば、たとえ少数者を対象とした活動であっても「不特定かつ多数」の要件を満たすものと、このように考えております。