131-衆-運輸委員会-2号 平成06年11月16日

 

平成六年十一月十六日(水曜日)

    午前十時三分開議

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○緒方委員 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 まず、亀井大臣にお尋ねをしたいと思いますが、平成四年の十一月四日に亀井大臣が本会議場で当時の宮澤総理に代表質問をされまして、そのときの言葉が、大変立派なことを言われたということで、私は関心があって、その後も記憶に残っているわけでございます。

 その代表質問というのは、要約しますと、社会主義が崩壊し東欧も崩壊した、そういう中であるけれども、しかし資本主義体制に内在する弱肉強食的側面の克服が重要であるというふうに述べられているわけでございます。

 資本主義の旗頭でもあります。アメリカでは百五十万とか二百万とか言われるホームレスがあるとか、毎年二万人を超す人たちが銃の犠牲で亡くなっているというようなことなどを見ますと、言われるように、確かに社会主義が崩壊していったという状況ですが、では資本主義は万々歳かといえばそれはなかなか複雑な問題を持っているというふうに思うわけでありまして、大臣が言われるように、やはりその内なるものを、問題点を克服する努力というのがなければいけないというふうに思うわけであります。

 その認識は現在も多分お変わりないだろうと思いますが、同時に、そのためにはどんなことが必要なのかな。例えば、経済のシステムとかあるいは社会保障のシステムとか政治のシステムとか、いろいろな中でこれは改善されていかなければいけないというふうに思うのでありますが、そこら、柱的なもので結構でございますが、お聞かせいただければというふうに思う次第であります。

 

○亀井国務大臣 私は、あのとき代表質問で申し上げました私の考え方、もうそのとおりでございまして、私は現時点におきましても強いある意味で危惧を抱いておりますことは、社会主義体制が崩壊をした余波といいますか、そうした一つの大きなうねりの中で、社会的弱者の論理、力というのがちょっと弱くなってきておるのではないかなということを非常に現時点でも危惧をいたしておるわけでございます。やはり十八世紀、十九世紀、資本主義が台頭し、確かに生産力を上げるという意味でこの制度というのは大変な力があったわけでありますけれども、一方では資本のない者、また労働力を提供して生活する以外には道のない者、そうした立場の者が相当悲惨な状況に退い込まれていったという経緯の中から社会主義運動、共産主義運動が発生をした、私はこのように考えております。それで、幾多の革命運動その他、社会的ないろいろな混乱の中で人類が大きな犠牲を払った、このように思います。

 そういう意味では、やはりそうした過去の人類の経験、これを我々はきっちりと今後生かしていかなければならない。そういう意味では、今委員御指摘のように、二十一世紀に向けて我々人類社会が、そうした弱肉強食といいますか、力のある者、資金のある者、そういう者の論理だけがまかり通っていくというようなことにしては、私はまた再び十八世紀、十九世紀、二十世紀初頭のそうした状況が生まれる危険性があると思うわけでありますので、そういう意味では、私は、我が国においても所得の再配分の問題あるいは税制の問題、社会保障の問題、あるいは労働運動における労使間の問題、そういうことが非常に重要であると思いますし、また、そうした意味で社会がバランスを保っていけるような力学をやはり政党自身が構築をしていく、また各政党の政策の中に、そうした反体制運動といいますか、そういうものを先取りした政策展開、弱者の立場に立った政策展開が必要である。

 私は、運輸省の行政におきましても、常に職員にその点を、中小企業、下請あるいは働く者の立場、こういうところにきっちりと目線を置けということを常に指示をいたしておるところでございます。

 以上でございます。

 

○緒方委員 大臣のそういう所信でございます。社会的に弱い人の立場というものを踏まえて、これからもぜひ運輸行政その他政治の面でも頑張っていただきたいと思います。

 そこで、二つ目に入りますが、実は前々回も質問をしたのですけれども、地方バス路線維持制度の改善において、今回、廃止路線代替バスにかかわる補助金について、運輸省と自治省の間で一般財源の方向で協議をされているということを聞いておりますけれども、その現状について要点だけ明らかにしていただいて、時間の関係がありますので、後ほど具体的な資料を別途提示いただければというふうに思いますが、現状について要点の報告をお願いしたいと思います。