129-衆-予算委員会-15号 平成06年06月02日

 

平成六年六月二日(木曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

 

 本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 平成六年度一般会計予算

 平成六年度特別会計予算

 平成六年度政府関係機関予算

     ――――◇―――――

 

○吉井委員 総理も今少し触れられたように、アメリカなどは空洞化のために、自国での製造業、生産をやめたために、景気がよくなると今度は、よくなれば海外製品の購入がふえるということでますます貿易赤字が膨らんでくるというそういう仕組みになっておりますし、また、その産業空洞化の中で失業とかホームレスとか麻薬、売春、殺人、暴力といった社会の荒廃も随分進んでいるという事態にありますから、日本もこの社会の荒廃を招かないためにも産業空洞化の問題については本当に真剣な取り組みが必要だ、このことを指摘しておいて、次に、下請企業も含めた空洞化の深刻な事態をもう少し私は見ておきたいと思うのです。

 大阪の現状を少し紹介しておきたいのですが、大阪の松下電器の下請をずっと回りまして伺いました。

 設備投資をさせられた上に仕事を打ち切られ、借金の返済と従業員の退職金に充てるために、三十年間働いて蓄えてきた預貯金の全部をはたき出した。その結果夫はタクシーの運転手になった。それで、家へ帰ってきても、一応仕事場と二階の居宅部分は残っておりますが、仕事場を見るのがつらい、そういうことを、涙ながらの奥さんの訴えでした。

 庶民は内部留保を空っぽにして不況の中を生きているわけでありますが、大企業の方は不況を口実に人減らしで逆に内部留保をふやしていっております。これは後ほどまたそのことを触れますが、松下の本社の方は一割弱の減産でやっても、一次下請になると三割の減産、二次は五割の減産で、末端にいけば仕事が来ない。下請中小企業振興法によれば、その振興基準によれば、親企業というのは自分の会社の減産分を超えて子会社に減産を押しつけてはならないとしておりますが、こういうことに照らしても違法行為と言われる事態があります。

 それで、VA、バリューアナリシス、価格分析と称して、すべての部品を並べておいて、そこへ下請を集めて、集まった下請業者に、おまえさんのところだったら幾らでできるか、これは各部品ごとに単価を出させるのですが、結局下請同士の価格競争で無理な安い単価を自発的につけさせられる。つまり親企業の方は単価をたたいたという形にならないのですね。そういう場合があるということはかなり訴えられております。

 さらに、末端の下請になると請求書さえ空欄で出す。つまり単価は全く相手の言い値、それも納品した後の言い値になる。発注を行うときにも納品のときにも単価を決めずに、支払いのときに親企業から一方的に通告してくる。それも請求書が空欄のままにしてあり、下請代金支払遅延防止法をじゅうりんするような、そういう事態も現にあります。

 私はそういうのを随分調べてきたわけですが、せんだって、公取の方の下請法違反の調査報告が発表されました。違反の疑いありというのが前年に比べて三〇・五%増の二千八百八十二件ですよ。違反の警告処分が二五・六%増の二千四百二十八件になっています。その調査によると、支払いの遅延とか代金の減額など、こういう違反がふえているということが報告されておりました。

 少なくとも、私は、下請二法を厳格に守って、こういうふうな違法行為、下請いじめを断固として一掃するという、そういう対処が今国の方でも強く求められているときだと思うのですが、この点についての取り組みを伺いたいと思います。

 

○畑国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、とりわけ一つの具体的な厳しい実態としての産業の空洞化、このよって来る原因、いろいろ諸情勢があるわけでございますが、その一つは、やはり円高という問題が今日大きな一つの要因をなしておりますこともこれまた先生御案内のとおりでございます。

 そういう中にございまして、ただいまいろいろ事例が御紹介あったわけでございますが、この一つの証左としまして、いわば残念ながら返済ができない、政府系の三機関に対します金融の返済ができない、そういうような御相談も極めて数が大きくなっておるというのもこれまた実態でございまして、さような意味合いでは、ただいま先生御指摘のような、いわゆるよく御相談に乗ってきめの細かい対応をということをさせていただいているわけでございます。

 これは余り褒められることではございませんけれども、その一つの事例としましては、ただいま返済猶予という意味合いで、政府系三機関におきましては、残念ながらと言った方がいいかもしれませんが、前年度対比大体五〇%の増、金額にいたしまして一兆四千億円といったような実態にも相なっておるわけでございます。

 さような意味合いでは、御指摘のような新分野進出の手当ての問題等も法的な裏づけをしていただいておりますので、あらゆる施策、そしてまた金融措置、こういうものを挙げてただいまの厳しいこの実情を乗り切るように、引き続き努力を督励をしてまいりたい、かように考えております。