164-衆-予算委員会第三分科会-2号 平成18年03月01日

 

平成十八年三月一日(水曜日)

    午前九時開議

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算

 (法務省及び外務省所管)

     ――――◇―――――

 

○矢野分科員 私は、自由民主党近畿比例ブロックから昨年当選をさせていただきました矢野隆司でございます。

 本日は、予算委員会の分科会で発言の機会を与えられましたこと、まずもって関係各位に御礼を申し上げたいと存じます。

 私の地元、近畿二府四県、大変たくさんの空港がございます。先般も神戸空港が新たに開港したわけでございますが、一種、二種あるいはコミューター空港を含めれば大変たくさんの数の空港でございます。わけて、常時出入国の業務をされておられるというのが関西国際空港でございます。

 本日は、出入国管理法の一部改正ということに絡めて関西空港における出入国の業務についてお尋ねをしよう、こう思っておりましたところ、地元の方から、いろいろとそれに付随する質問をしてほしい、こういうことでございまして、いささか、法務省といいますよりも、その他総務省や外務省からも政府参考人としてお越しをいただいた次第でございます。

 早速ですが、質問に移らせていただきます。

 本年の一月二十七日、大阪地方裁判所におきまして、大変画期的なと申しますか、いささかインパクトを与える判決がございました。

 それは、大阪市が管理をいたします都市公園、この公園に今テントを張って住んでおるホームレス、マスコミではホームレス、ホームレスと書いておりますが、私は公園居住者とあえて呼ばせていただきますけれども、この方が、住民票をこの公園内に住所地として転入したい、そういうことを地元の区役所に届け出たところ、受理されなかった。そのことを訴えられまして、裁判をされました。その判決が一月二十七日に出されまして、その主文といたしましては、区役所は受理しなさい、住民登録を受け付けなさい、こういう判決でございました。

 大変一般社会にも驚きを持って受けとめられたようでございますが、ここで、非常に基本的なことでございますが、住民票が移る、住民登録されるということは、いわゆる住民基本台帳に登載されるということだと思いますが、この住民基本台帳に登載されるべき国民の要件というものがもしあるのであれば、まず教えていただきたいと思います。

 

○久元政府参考人 住民基本台帳に登録されますためには、その市町村の中に住所を有しているということが要件になります。住民基本台帳法上、住所については明確な要件は書いておりませんけれども、この住所につきましては、地方自治法第十条の住民の住所と同じであるというふうに従来から解釈をしているところであります。

 そこで、この住所につきましては、民法第二十二条と同じように、生活の本拠であるというふうにされておりまして、その認定は、私ども、従来から、市町村において客観的居住の事実を基礎として、当該居住者の主観的意思を総合して行うものというふうに運用してきているところでありまして、この考え方は裁判例におきましても認められているというふうに考えております。

 

○矢野分科員 ただいま、生活の本拠であるのが住所である、こういうことでございましたが、今回のケースを引き合いに出すわけではございませんが、いわゆる都市公園に居住される人を想定されてそういう法律あるいは行政的な手続がつくられたのでございましょうか。その点も教えていただきたいんです。

 

○久元政府参考人 いわゆる公園居住者につきましては、近年かなりふえてきているという状況でございますが、実は、この住民基本台帳制度は昭和四十二年に法律としてできたものでありまして、それ以前は住民登録法という法律がございました。この昭和二十六年の住民登録法、また住民基本台帳法、共通の考え方といたしまして、法律は変わっておりますけれども、客観的な事実を基礎として住所を認定するという考え方をずっと一貫しております。

 ただ、この公園居住者につきましては、最近はふえてきておりますけれども、昭和二十年代におきましても、また昭和三十年代、昭和四十年代におきましても、いわば、住所が必ずしも定まっていない方、路上生活者のような方がおられたことは事実でありまして、そういう方を想定いたしまして、このことも含めて従来から法律が運用されてきているということは事実でございます。

 

○矢野分科員 恐らく、ただいまの答弁は、過去に、実際の事例といたしまして、洞窟の中に住んでおる方、あるいは橋の下で生活を営んでおられる方に住民票が交付されたということを指し示しておられるんだと思います。

 今回の判決では、公園での占有権まで認めたわけではない、こういうことでございますが、この方が、もちろん、大阪市側は控訴をしておりますので判決が確定したわけではございませんけれども、もし確定して住民登録されるとなりますと、この人には具体的にどのような権利それから義務が与えられるのか、教えていただきたいと思います。

 

○久元政府参考人 地方自治法におきましては、まず、一般的な住民の権利義務について規定されております。「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」ということになりますので、その地方公共団体から基本的な行政サービスを受ける権利を有するということであります。

 一方、この住民票に登載されることによりまして、別途一定の要件を満たしますと、選挙人名簿に登録がなされることになりますし、また、国民健康保険の被保険者となるといった権利義務が発生するということになるわけでございます。

 

○矢野分科員 重ねてお尋ねしますが、いわゆる印鑑登録も可能になるわけでしょうか。

 

○久元政府参考人 そのとおりでございます。

 

○矢野分科員 これまでに、このような請求訴訟、同様のものでございますね、請求訴訟は過去にあったのでございましょうか。あるいは、現在、同様の事例で訴訟が提起されておるものがあるのでございましょうか。いかがでございましょう。

 

○久元政府参考人 訴訟につきましては、ほかには例は聞いておりません。

 

○矢野分科員 これは私の私見ではございますけれども、支援施設に入らず、判決の言う住所があって、住民登録をされるということがもし確定すれば、果たしてこの人をホームレスと呼んでいいのかどうかというのが私の個人的な意見としまして非常に疑問が残るところでございますが、それはさておきまして、今度は、きょうは外務省さんにもお越しいただいていると思いますが、外務省の方にお尋ねいたします。

 パスポートの発給要件、すなわち、どのような書類が必要とされているのか教えてください。

 

○谷崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問にありました旅券でございますけれども、この旅券は、所持人の国籍と、それから身分事項を国際的に公証するという機能と、国内的には憲法で保障する海外渡航の自由を確保する、こういう機能を持っております。その上で、旅券については、旅券法で要件が定められております。

 具体的には、旅券の申請に当たっては、旅券法に基づいて国籍と身分事項を確認するための戸籍謄本または抄本が必要でございます。また、本人確認のためには、住民票及び運転免許証等の公的な確認の書類が必要となっております。

 

○矢野分科員 ありがとうございます。

 重ねてさらに突っ込んでお尋ねをしますが、書類の中で、いわゆる一般の方は、自動車免許証とか、あるいはその他の顔写真のついておる証明証、あるいはそういう許可証、身分証、そういったもので申請をされると聞いておりますけれども、全く顔写真のない書類だけでも申請はできるんでしょうか。

 

○谷崎政府参考人 本人確認のためには、もちろん、写真つきの書類というのが一番望ましいわけでございまして、具体的には、運転免許証等の写真つきの書類を求めるということでございます。

 他方、人によってはそれらの書類を所持していないということがございますので、写真のない書類でも受理するということはございますが、その場合には、複数の確認の書類を提示するよう求めているというのが実態でございます。

 

○矢野分科員 恐れ入りますが、具体的に、写真のついていない証明証で申請が可能な具体例というものが幾つかございましたら、教えていただきたいのでございます。

 

○谷崎政府参考人 複数の本人確認の書類として、具体例としては、健康保険証さらには年金証書等の書類が本人確認のための書類として認められております。

 

○矢野分科員 そういった申請の中で、これは統計がもしおありであれば教えていただきたいんですが、全体の申請者の何割ぐらいがそういう全く顔写真のついていない書類で申請をされて、パスポートが発給されておられるのか。もしおわかりであれば教えていただきたいんです。

 

○茂木主査 谷崎領事局長、わかればここで答えてください。わからなければ後で資料を出してください。

 

○谷崎政府参考人 手元に詳しい資料を持っておりませんが、七割、約七〇%が写真つきの書類で申請がなされております。

 

○矢野分科員 それでは、さらに突っ込んでお尋ねしますが、パスポートを発給する場合、全く顔写真のついていない書類で申請をされた場合のいわゆる本人確認というものはどういうふうにされておられるんでございましょうか。

 

○谷崎政府参考人 本人確認のための方法としましては、申請したときにできる限り本人確認のための書類を義務づけるというのは先ほど申し上げたとおりでございますが、さらに交付するときでございますけれども、これは原則出頭してもらって、そこで渡すということを行っております。

 したがいまして、渡すときに本人の方から例えば居住地域に送られたはがき等を携帯するようにということを言っておりまして、そういった形で本人確認というのを行っております。さらには、面談をしますので、いろいろな意味での挙動というものは見ておりますので、その上で、さらに例えば書類に書いてあります御両親の名前を質問するといったようなこともございます。

 

○矢野分科員 大変よくわかったわけでございますが、いささか納得がいかないのは、果たしてそれで本当に本人確認ができるのかなということでございます。

 これまでに、いわゆる本人ではないのに本人と称してパスポートの申請をした例、あるいは発給を受けた例というのが少なからずあるのかないのか、その辺、少し詳しく教えていただければありがたいんですが。

 

○谷崎政府参考人 ただいまの御質問でございますけれども、まず旅券でございますが、毎年、年によって差がございますけれども、大体三百万ないしは三百五十万くらいを発給しております。その中で、いわゆる不正取得が発覚したという例でございますけれども、大体、押しなべて言いますと、年間でございますけれども、五十件から百件の間ということでございます。

 例えば平成十七年で申し上げますと、六十四件が成り済ましという形で発覚しております。さらに、虚偽の申請というのを行っている例が四件ございます。さらには、未遂ということで、先ほど申し上げたような本人確認の途中でこれが真正ではないということがわかった例でございますけれども、それが平成十七年で申し上げますと十五件ということでございます。

 具体的に、中身でございますけれども、基本的には偽造という方法でございますが、戸籍謄抄本あるいは本人確認の書類を偽造しているということとか、さらにはいわゆる成り済ましということで、その書類そのものは正しいんですが、実は本人そのものではなく、他人のものを使っているという意味での成り済ましという例が先ほど申し上げた五十件から百件の中の内訳でございます。

 

○矢野分科員 六十四件あったということでございますが、そのいわゆる成り済ました個々の理由というものがあると思うんですが、どういった理由が多いんでございましょうか。

 

○谷崎政府参考人 若干先ほどの繰り返しになりますけれども、成り済ましというのが六十四件、それから二重取得というのが二件、それから虚偽申請というのが四件というのが平成十七年の内訳でございます。

 この六十四件の中身につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる偽造ですね、書類そのものが間違っているというのと、それから、書類そのものは正しいんですが、本人そのものではないという意味での、他人のものを使っているという意味での成り済ましというのがこの六十四件の大宗を占めているということでございます。

 

○矢野分科員 理由をちょっとお尋ねしたんですが、ちょっとよくわからなかったんですけれども、要するに、これは犯罪を目的としてパスポートを不正に取得しようとした、こういう理由が大半なんでございましょうか。その辺はどうなんでございましょう。

 

○谷崎政府参考人 我々の方としては、理由についての詳しい統計は今持っておりませんけれども、多くの場合は、不法に日本に滞在している外国人が日本人の旅券をとろうとする例が大宗を占めているというふうに考えております。

 

○矢野分科員 伺った話によりますと、例えば本人が真正の、要するに本当に自分のパスポートを申請しようと旅券事務所へ行ったところ、いや、もうあなたのパスポートは発給されていますよ、こう言われてびっくりしたというケースがあったように聞いております。

 あるいは、本人確認のために、これは、本人確認のときはその本人が旅券事務所へ出向かなきゃいけないというふうに聞いておりますが、そのときに、鼻から下をぐるぐる巻きに包帯で巻いて、きょうは声が出ないんです、こう言って、付添人がいる。横の付添人に質問するとその付添人がちゃんと答える。よくよく調べると、実はその付添人のデータでその包帯の人がパスポートを申請しておる、こういう事例もあるように聞いております。

 非常に、大変込み入ったといいますか、念の入ったといいますか、そういう手口といいますか手段で、巧妙な形で我が国の真正旅券を不正に取得しようとしていると思うんでございますが、その辺の、外務省として、とりあえず当面、何か対応策といったものはあるんでございましょうか。

 

○谷崎政府参考人 今先生の方から具体例としてありました付添人が代理で答えるといった例は、確かに先ほどの過去の件数の中に含まれておりまして、そういうことで、未遂ということで、不正の旅券の取得をしようとした例というのはございます。外務省として、都道府県の方との協議を通じまして、できる限り本人確認というのは厳重にやるようにということは常々協議の対象としております。

 やはり一番本人性を確認する上で大事なのは本人の方の挙動ということでございまして、その辺が怪しいというようなことがございましたときには、先ほどちらっと申し上げましたけれども、旅券に書かれております事項について詳しくさらに質問する、例えば故郷の山とか川とか、それから御両親の名前とか、場合によってはその御両親の名前を漢字で書かせるといったようなことで本人確認を、既にしておりますけれども、基本的にはそれをさらに厳重にするということだろうと思います。

 

○矢野分科員 それでは、もう一度総務省の方に戻ってお尋ねをしたいと思います。

 やはりここでも同じ質問になるかと思いますが、いわゆる住民登録をしようとする人、すなわちその申請者が果たして本当にその書類に記載された人物である、こういう確認というのはどういうふうにとっておられるのか、教えていただきたいと思います。

 

○久元政府参考人 住民登録も形式的な要件を具備していればそのまま受理をしてよいというものではなくて、実質的にその本人であるということをきちんと確認することを求めております。具体的には、住民基本台帳法施行令で、この届け出があったときは、その届け出の内容が事実であるかどうかを審査して記載等を行わなければならないというふうにしております。

 具体的な本人確認の方法ですけども、私ども、従来からこのことについて徹底してきておりますけれども、特に近年、成り済ましが非常に多いということ、ふえてきているという状況の中で、基本的には顔写真が入った本人確認の書類というものを提示して、例えば住民基本台帳カードあるいはパスポート、運転免許証、こういった資格証明書等で本人の写真が入っているものを提示を求めるということを私ども市町村に要請をしてきておりまして、ほぼ、ほとんどの市町村がそういう運用をしてきているという状況でございます。

 

○矢野分科員 外務省のパスポートの申請よりはいささか厳格な形のような御説明でございますが、しかしながら、全くそういう顔写真の入ったものがないという方の場合はどうされるのでございましょうか。

 

○久元政府参考人 基本的には顔写真入りのものを求めるわけですけれども、それ以外の方法につきましては、それぞれの市町村でいろいろな方法をとっております。

 例えば、申し出があった住所に書類を送りまして、果たしてそれが届くかどうかといったような確認等を行う。もしもこれが戻ってきたような場合にはこれを保留扱いにいたしまして、事実関係を実質的にさらに調査をするといったようなことを行っているところでありまして、そういう方法を私どもも要請しているところでございます。

 

○矢野分科員 そこで、法務省にお尋ねしたいのでございますが、現在、いわゆるオーバーステイなどを除きます不法入国、不法上陸者、約三万人と推定されていると伺っております。先ほどの近江屋先生の御質問でも触れられておりましたけれども、大変たくさんの不法入国者が今も我が国でどこかに住まわっておる、こういうことでございます。

 外国の偽造パスポートを使って入国したというケースはこの際除外いたしまして、日本の真正なパスポートを不正使用もしくは偽造、改造したりしてのいわゆる成り済ましパスポートと申しますか、そういったものの摘発事例、入国管理業務の中での摘発事例といったものはあるのでございましょうか。お尋ねします。

 

○三浦政府参考人 最近におきまして入国管理局で摘発いたしました日本旅券の不正発給事案について若干御紹介をさせていただきたいと存じます。

 まず一件目でございますが、本年の二月上旬の事案でございます。中部国際空港で発生して摘発しておりますが、これは、十数年にわたりまして我が国に不法滞在していた韓国人の男性でございますが、そういう状況でございますので、本国に正規には帰れないわけでございます。さりとて、入管に出頭しますと当然これは収容されますので、それも嫌だということで、何とか一時帰国をしたいということを考えたようでございまして、勤め先の同僚の日本人に成り済まそう、こういうふうに企てまして、その同僚の男性の方に、会社関係の手続に必要であるといううそを言いまして、その日本人男性の戸籍の抄本をとらせまして、これを預かる。さらには、その男性に対して、病院に行きたいので国民健康保険証を貸してくれないかということで、これを借り受けるということをいたしました。またさらに、その男性の目を盗みまして、男性の会社の社員証、これは写真が載っております、これを盗み出しまして、写真を自分の写真、韓国人の男の写真に張りかえまして、これらの書類をそろえまして県の旅券センターに赴きまして、日本人の男性であると称して旅券の発給申請を行いまして、怪しまれることなく旅券の発給を受けたという事案がございます。

 これは、実はその後、この男はその旅券を使いまして、一回、韓国と日本の間を往復して、うまくいったので再度出国しようとしたところを入国審査官が見つけたわけでございますが、これは本物の旅券でございますので、なかなか通常では発覚が難しい。たまたまこれは匿名の情報提供がありまして、事前に名義人のいろいろ状況を調べておきまして、質問を詳しくいたしまして、家族関係はどうですかとか、そういったことを聞いたところ、全くあいまいな返事しかできないということで摘発できた、こういう事案がございます。

 あと、このほかに、昨年一年間で、同じような立場にある中国人が同じように一時帰国を図りまして、ブローカーに多額のお金を払って、同じような形で真正な日本の旅券、もちろん本人のものではなくて、日本人名義のものを取得したというケースがございます。これらも、恐らく写真は本人が準備しておるのでございますが、それ以外のいろいろな書類はブローカーの方でうまいこと調達して手続をさせたという事案でございます。

 最終的には、先ほども領事局長から御説明がございましたが、本人が旅券を受け取りに行く必要がございます。その際に、成り済ました日本人の名前、生年月日、それから住所などを入念にみんなに記憶させまして、窓口でよどみなくこれらを答える。それで本人だというふうに誤信させて係官から旅券を受け取った、こういう事案でございます。

 これらにつきましては、いずれも日本から出るときの審査で発見しておりますが、これは例えば、航空会社がチェックインするときにいろいろお客さんと話をします。どうも、日本人の旅券を持っている割には日本語がほとんど話せないというようなことで、不審だということで我々に通報いただいて、審査窓口で摘発をするといったケースでございますとか、入国審査官がどうも挙動がおかしいということで詳しく質問をして発見した、こういう事案がございます。

 

○矢野分科員 大変、入国審査官の方の御苦労が忍ばれるお話だと思います。

 旅券発給事務のさまざまなことを本日外務省の方から伺いましたが、私といたしましては、運用面におきましても、いささか犯罪者の側に立って物を申せば、抜け道といいますか、抜け穴があるように思えてなりません。

 きょうは、北朝鮮による拉致犯人の入出国手口についてまでは触れませんけれども、これでは、日本人が別の日本人に成り済ますことも可能じゃないかなと思いました。例えば、相手国が入国を拒否する、いわゆるペルソナ・ノン・グラータのような犯罪者集団の中の日本人構成員、あるいは日本人に極めて風貌の似た、容貌の似た外国人の犯罪者が不正に我が国の真正旅券を入手して堂々と入出国を繰り返す、そういったことも可能であるし、現にそういったことが行われているんじゃないかと私は思っております。

 現在、日本を通過国とする、通過上陸とする場合に七十二時間の仮上陸が認められておるところですが、例えばこの七十二時間という時間を悪用いたしまして、日本国内の協力者と示し合わせれば、外国の旅券で日本に入り、日本の中で日本の真正な旅券を受け取って、その人に成り済まして外国に出国する、そういうことも可能なわけだと思っております。

 今般、大阪地裁でそういう判決がございました。これはどうなるか、今後わかりませんけれども、不正申請や不正取得させられるというような社会的弱者の方の立場もあるわけでございまして、現行制度においては、その意味でパスポートの発給条件というものをもう少し厳格に運用されてはいかがかなと私は思っております。

 そこで、法務大臣に最後にお尋ねいたしますが、さきの法務委員会でも法務大臣は、治安分野は活力ある社会の基盤である、治安分野に重点を注ぎたい、こういう決意を述べられました。入管法の改正案など、さまざまな知恵を絞られておられるところであると思いますが、最後に大臣の御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

 

○茂木主査 時間が過ぎておりますので、極めて簡潔にお願いいたします。

 

○河野副大臣 不正旅券の問題は、なるべく法務省も気をつけたいと思っておりますが、どんな道にも抜け道はございます。

 この問題は、例えば日本人がすべて免許証のような明確に写真のついた身分証明書を持っていれば、かなり防げる問題ではございますが、今、我が国にはそういう制度がございません。今法務省で行っております入国管理のプロジェクトチームにおきましても、そうした問題提起を提言の中でさせていただきたいと思っております。