72-衆-社会労働委員会-25号 昭和49年05月16日

 

昭和四十九年五月十六日(木曜日)

    午前十一時九分開議

 

本日の会議に付した案件

 国民健康保険法の一部を改正する法律案(川俣健二郎君外十三名提出、衆法第三〇号)

 結核予防法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)(参議院送付)

 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 優生保護法の一部を改正する法律案(内閣提出、第七十一回国会閣法第一二二号)

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○三浦政府委員 急性の伝染病患者さんの場合も生活保障まではやっていないわけでございますけれども、やはり医療でございますから、医療としてはいたしますけれども生活保障までするということはちょっと困難かと思う次第でございます。

 

○田中(美)委員 医療としては急性伝染病並みに扱うというふうにはできないでしょうか。

 

○三浦政府委員 現在、制度のたてまえとしては急性伝染病も結核も、らいも同じでございまして、いまのような濃厚な患者さんの方につきましては、必要な経費は、ある程度本人が自己負担できる場合は別として、相当部分は公費で負担をする、公費で負担しなくてもいい自己負担ができる部分については自己負担をしていただく、こういう仕組みになっております。急性伝染病としてもたてまえはそうなっておりますが、ただ急性でございますので、市町村によっては全部市町村の公費でまかなってしまっているところがあるというのは事実でございます。

 

○田中(美)委員 そういうところが、法的には同じであっても実際には、受ける国民側からすれば、急性伝染病のときにはいろいろなことをやってもらえるのに、結核の場合にはやってもらえないという現実になっているわけですね。これをやはり、これは運用面でできるわけですから、そういう点考えて、説得して本人がうんと言わない限りはどうしようもないというなら、そのうちにしつこく行けばそのままどこかへ逃げてしまったというようなことは、たくさんケースとしては私は聞いているわけです。たとえば、ベッドがないから一週間後にいらっしゃい、そうしたら入院させますというふうなことをやっている。こういうのは、たとえば山谷だとか釜ケ崎のようなドヤ街にいらっしゃる方たちの場合には、住所が毎日変わるわけですから、そういう不親切な応対をしていますと、すぐいなくなってしまうわけですね。これはそういうドヤ街の人だけでなく、普通のアパートに住んでいても、家庭を持っていても意識が低いと、痛くもかゆくも何ともない、いま自分が離れれば夫は困るし、子供は困るのだ。だから、からだを休めながら家事ぐらいはできるのだという、結局それは無知から来るといっても、これをきちっと教え、そしてそれに対するいろんな援助をしていかなければ、急に子供をどうすることもできないわけですから、この点をきめこまかくやっていただきたいと思うわけです。

 次に移りますが、いま一部負担の問題がありましたけれども、五月一日にこれが改正された。この改正面というのは約六百万近くになったわけですから、上の部分というのはある程度いいというふうに思いますけれども、下の部分というのは結局六千六百円から約八千のところ、この層の人たちの年収を考えてみますと、大体百十八万から二百六万ぐらいになる。この表で見ているわけですけれども、百十八万から二百六万の方たちというのは、いぼの物価高の中では決して楽な生活の人たちではないわけですね。この人たちが相変わらず自己負担をしなければならないという、最も改革してほしいところがされていないという不満足が私はあるわけです。どうせ改革するなら、一ぺんにこちらもやってしまったらどうかと思うわけですけれども、なぜこれをこのまま放置しているのか、お聞きしたいと思います。

 

○三浦政府委員 確かに先生のおっしゃるように、いまの所得に引き直しますと、百十八万円であり、あるいは二百六万円でございます。ただ、私どもの採用しております基礎は、所縁からよってくるところの所得税額で一応さしてもらっておるわけでございます。現在の所得税額から見たら百十八万円であり、二百六万円になるわけでございますが、御承知のとおり、所得税が年々減税措置がとられてきておりますので、結果といたしまして、据え置きましても減税措置がとられてきて負担が軽くなる、こういう認識でおるわけでございますが、それはそれとして、今後ともこういう減額につきましては努力を続けていきたいと思っております