61-参-建設委員会-13号 昭和44年04月24日

 

昭和四十四年四月二十四日(木曜日)

   午前十時四十五分開会

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  本日の会議に付した案件

○参考人の出席要求に関する件

○公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣提出、

 衆議院送付)

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○宮崎正義君 それから次には、先ほども質問がありましたのですが、四十四年度の末の住宅区分ごとの達成率を見てまいりますと、公営住宅は五カ年間の計画戸数四十四万戸に対して、四十四年度末が累計三十四万二千五百戸建設されることになるので、進捗率は七七・八%で、松永委員もおっしゃっておられました、改良住宅の点について質問をされておったようでありますが、この改良住宅も八万戸に対して二万三千戸で、二八・八%、これは先ほどパーセントだけは局長が答えられて、内容のことをおっしゃっておられませんでした。公庫住宅は、百八万戸に対して八十三万五千戸で七七・三%、公団住宅は、三十五万戸に対して二十六万一千戸で、七四・六%。ここにまた問題になるのは、その他の住宅は、四十八万戸に対して四十七万六千五百戸で、九九・三%と、こういうふうになっている。

 そこでお伺いしたいことは、その改良住宅に対する考え方、これももう少し私は明確にしていただきたいと思うわけなんです。いずれにいたしましても、公営住宅は一〇〇%達成をこの状態でできるかどうかということも私は疑問の一つだと思うのです。それからさらに、その問題について例をあげてみますと、住宅区分ごとの進捗率で特に目についてきますのは、広島の原爆スラムとか、大阪の愛隣地区とか東京の山谷の地区では、いわゆるスラム・クリアランスに充てる改良住宅の進捗率がきわめて低いということであるのです。確かにスラム・クリアランスは、地元の熱意がこれまで欠けていたからというようなこともありますが、事業がスムーズにいかなかったという私は支障があるのじゃないか。また、進捗率を上げるということができなかったことは、これは認めなければならないんではないか。そこで、大阪の愛隣地区では、大阪府、市、それに関係各省が協力して大規模なスラム・クリアランスがこの一月から手がつけられておるようであります。広島でも、ことしじゅうに基町を中心にしたスラム街の解消が実施されるようになっております。こうした機運のあるときだけに、もっと私は要求をふやしておけば、入千戸というようなみじめな結果に私は終わらなかったのじゃないか。初めからこの点についてもう少し真剣に考えていったならば、取り組んでいったならば、こういうことにならないんじゃないかと思います。また一方においては都市再開発を唱えながら、調整戸数の配分においては改良住宅を三万戸減らして要求しているような地域は、これはどうなってもいいかという考え方を持たざるを得ないのですが、こういう点についても私は心配しておるわけです。この点についてお伺いしておきたいと思います。

 

○国務大臣(坪川信三君) それぞれの適切な数字を基礎におかれましての憂慮されました問題点、これは非常に重要なことだと思います。ただ言いのがれといいますか、単なる弁明ではございませんけれども、改良住宅には私も広島の原爆のあの問題、あるいはその他大都市のスラム街の環境整備、住宅の改善、この改良問題は私は非常に重要な問題でございますとともに、非常に困難性とは申しませんけれども、かすに時間がかなり必要であるということは、やはりいまお住まいになっている方々との話し合いというものの問題が、非常に時間的に一つのタイムのおくれがあるということは、決して弁明じゃございませんが、そうした条件、実情のあることも宮崎委員よく御承知でございますので、この点もひとつ御理解いただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、私は改良住宅には非常に力を入れてまいりたい。幸いに公共企業体の方も、またそれらに関連される住民の方々も、非常にこの問題について真剣に取り組み、また協力をいただく態勢が、それぞれの報告などを見ますときに出てまいって来ましたので、建設省は改良住宅に今後最善の力を入れてまいりたいと、こう考えておる次第であります。

 もう一つ私はやはり宮崎委員もお考えになっておられると信じており、またお考えのとおりでございますが、やはり特定住宅の建設ということは、私はこれらの公営住宅の推進とともに、非常に力を入れなければならぬ庶民への、気の毒な方方に対するところの大きな手でなければならない。こういうようなことから、ことしは身体障害者あるいは老人、あるいは母子世帯、あるいは同和対策住宅等に力を注ぎました気持ち、また炭労の離職者対策の住宅というような問題に取り組んでおる私どもの気持ちも、ひとつ御理解いただきたい。そういうような問題を含めまして、いわゆる激変しつつある日本の住宅問題に、私は大乗的な大所高所に立って建設省は今後も取り組む方針であることを御了察願いたいと、こう思うわけでございます。

 

○宮崎正義君 局長から……。申し上げたように、一方においては都市再開発とかという調整戸数の配分によって、改良住宅を三万戸減らして要求しているのじゃないか。

 

○政府委員(大津留温君) 調整戸数二十七万戸をどういうふうに消化するか、これはまあ残されました四十五年度におきまして、五カ年計画の残り七十六万二千戸を達成する際に、どの種類の住宅を、どういうふうな形で処理するかをきめてまいりたいと思うのですが、これのきめ方といたしましては、大臣がかねがね申しておりますように、公営住宅に重点をおきたいということはもちろんでございますが、改良住宅につきましても、その重要性は全くただいま建設大臣が申したとおりでございますけれども、この実施の消化の状況を見ますと、なかなか当初計画の八万戸が、残り五万何千戸というのを、四十五年度一年で達成するということは、事実上困難がございます。したがいまして、その分はたとえば公庫住宅とか、あるいは公団住宅等におきまして引き受けて、とにかく全体では一〇〇%達成したい、こういうことで進めているようなわけでございます。改良住宅につきましても、先生御指摘のとおり幸いにして地方公共団体でだんだん機運が出てまいっておりますので、できるだけこれをまあ達成を進めたいと、こういうふうに考えております。

 

○宮崎正義君 いま大臣、局長からお話がありましたように、非常にこのアンバランスですね、バランスがとれてない、こういう点をよく私は見ていただきたい。そこに今日の住宅政策の欠陥があるというふうに私は思うわけです。それで特にこの点を取り上げて私は申し上げているわけであります。したがいまして、スラム街の点につきましては、もう一番早く納得のいくようにお互いの話し合いをして、そしてみんな同じ人が人としての豊かな生活ができるような行き方を考えなきゃいけない。いつまでたっても、年度からずっと計算して考えてみましても、この実態は変わらないわけです。これでは私はならぬとこう思うわけです。重ねて局長からの答弁に対して、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

 

○国務大臣(坪川信三君) 不幸な住宅環境におられますこれらの方々に対する住宅環境の整備ということは、社会正義観の立場からも政治の最もとるべき重大な問題点であろうと思いますので、私は先ほど申し上げました方針でこれらの不幸をなくすべく、改良住宅の施策に今後大いに力を入れたいとこう思っております。