55-参-社会労働委員会-2号 昭和42年03月23日

 

昭和四十二年三月二十三日(木曜日)

   午前十一時三十分開会

 

  本日の会議に付した案件

○社会保障制度に関する調査

 (昭和四十二年度厚生省関係予算に関する件)

 (インターン制度に関する件)

 (病菌豚肉問題に関する件)

○労働問題に関する調査

 (労働行政の基本方針に関する件)

 (昭和四十二年度労働省関係予算に関する件)

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○委員長(千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。

 労働問題に関する調査を議題といたします。

 まず、労働行政の基本方針に関する件について調査を行ないます。本件に関し政府より所信を聴取いたします。早川労働大臣。

 

○国務大臣(早川崇君) 第五十五回特別国会にあたり、労働大臣として所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。

 わが国経済は、戦後二十年にして、目ざましい発展を遂げ、国民所得において世界有数の地位を占め、国民生活水準も著しい向上を示し、世界各国の驚きの的となっているのであります。この最大の理由の一つは、わが国の労働者が優秀な資質と能力を備えているとともに、きわめて勤勉であったからにほかならないのでありまして、私も国民の一人として、このことを誇りに感じ、わが国の労働者諸君に対し深い信頼の念を持つものであります。申すまでもなく、労働政策は直接人を対象とするものであり、人間尊重の理念を具現するものであります。私は、労働政策の目標は、同胞としての信頼感に立って国民の大部分を占める労働者が自由な創意と努力を発揮することができる機会と条件を整え、これによって労働者諸君とその家族が豊かな生活を営めるようにすることであると考えるのであります。

 このような基本的な考え方のもとに、私が考えております労働政策の主要な点を申し述べたいと存じます。

 まず、雇用対策について申し上げます。

 今後の雇用情勢につきましては、進学率の向上等に伴い、技能労働者、ブルーカラー労働者を中心に労働力不足が一そう強まることが予測されるのでありますが、長年にわたり形成されてきた年功序列の雇用賃金慣行や学歴偏重、技能軽視の社会風潮はなお根強く残り、このまま放置すれば、労働者全体の福祉の向上と国民経済の均衡ある発展を阻害するおそれがあると考えられるのであります。

 このような事態に対処するため、このたび雇用対策基本計画を策定し、政府全体が雇用問題を重視し、一体となってこれに取り組む態勢を確立いたしました。この計画は、昭和四十年代の前半において完全雇用達成の地固めをはかることを課題としており、今後この計画に沿って、近代的労働市場の形成につとめ、技能労働力の養成確保、中高年齢者の雇用の促進等積極的な対策を講じていくことといたしております。

 特に、技能労働者の養成確保は、今後一そう激化する国際競争に対処するためにも、きわめて重要な政策目標であります。そのため、技能検定制度の拡充、技能者表彰制度の創設を通じ、社会における技能尊重の気風を醸成し、技能者に対し正当な評価と待遇が与えられるようつとめるとともに、公共職業訓練、事業内職業訓練を拡大実施してまいる所存であります。

 また、今後、人手不足の進展に伴い、婦人の積極的な職場進出も予想されますので、これに対処するための対策について検討を進めますとともに、ILO第百号条約についても、これを批准する方針で臨んでまいりたいと存じます。また、炭鉱離職者対策、駐留軍関係離職者対策についても、その一そうの充実をはかることとし、関係法案を今国会に提出し、御審議をお願いすることといたしております。

 次に、産業災害の防止について申し上げます。

 産業災害の防止は、交通事故対策、公害対策とともに、政府の人間尊重に関する重点施策の三本の柱の一つであります。産業災害の現状を見ますと、昭和四十一年においては、死傷者数は前年に比し約二万の減少を見ておりますが、いまなお、年間死亡六千余を含む七十万近くの死傷者が発生しており、かつ、災害が大型化する傾向にあることはまことに遺憾に存じます。このため、特に、本年においては、安全衛生局の設置等行政体制を整備するとともに、第三次産業災害防止五カ年計画を策定し、指導監督の充実、作業環境の改善整備、安全衛生センター、労災防止会館の建設等により、労働面からする交通災害対策を含め、総合的な産業災害防止活動をさらに積極的に展開してまいる所存であります。

 次に、労働福祉対策について申し上げます。

 労働者の福祉の増進をはかることは、労働者に人間としての豊かな生活をもたらし、また労働者の能力の一そうの発揮を促すこととなるわけでありますが、特にわが国経済の目ざましい発展の成果をすべての国民にひとしく均てんせしめることは、私のかねてからの念願であります。

 そのために、まず、多年の懸案であった労災保険、失業保険の五人未満事業所への全面適用を昭和四十三年度から実施することとし、近く関係法案の御審議を願うことといたしております。

 なお、失業保険につきましては、低所得層に対する給付内容の改善を行なうとともに、本土で働き、沖縄に帰郷している失業者についても本土並みに失業保険給付を行なうこと等の措置を講ずることといたしております。また、失業保険の適用拡大と関連しまして、失業保険制度の健全な運営を確保するため、一般受給者と短期循環受給者との均衡を考慮して若干の合理化の措置を講ずる考えでありますが、これについては、従来からの被保険者の生活に急激な変化を与えることを避けるため、十分な配慮を行なう考えであります。

 また、大企業に比べ立ちおくれが見られる中小企業の労働者の福祉施設につきましては、各種融資制度の拡充、青少年ホームの増設等により、積極的にその整備を進めてまいる所存であります。さらに、出かせぎ労働者、身体障害者等経済社会の目まぐるしい変化に対応することが困難な労働者につきましても、たとえば清酒製造業退職金共済制度の設立、出かせぎ相談所の設置、総合的家内労働対策の検討推進、身障者の雇用の促進、愛隣地区における総合労働福祉施設の建設、失業対策事業就労者の賃金引き上げ並びに事業主体の負担の軽減等の各般の施策を進め、働く人々が希望と意欲に満ちた明るい生活を送ることができるようにつとめてまいりたいと存じます。

 なお、一酸化炭素中毒症に関する特別対策については、現在労災保険審議会において御審議をお願いしているところであり、成案を得次第、今国会に法案を提出いたしたいと考えております。

 次に、賃金問題につきましては、賃金は国民経済の成長と調和を保ちつつ改善されるべきものと考えており、今後とも、関係労使がかかる国民経済的観点から良識をもって自主的に問題の合理的解決をはかられるよう期待いたします。また、最低賃金制につきましては、中央最低賃金審議会の答申に基づき、その実効ある拡大につとめてきているところでありますが、将来の制度のあり方については、昭和四十年八月、同審議会に基本的検討をお願いしており、その結論を待って考えたいと存じます。

 最後に労使関係について申し上げます。

 今後、資本の自由化の問題等も控え、国民経済の均衡し、かつ安定した発展を持続するためには、労使関係の安定が強く望まれることは申すまでもないことであります。このためには、労使がお互いに同胞であるという信頼感と労使協力の精神を基調とし、国民経済という共通の基盤に立って話し合いにより問題を自主的に解決するという慣行を確立することが必要であり、私としても、かかる話し合いの機運の醸成になお一そうの努力を傾注してまいる所存であります。

 以上、当面する労働諸問題について所信の一端を申し上げた次第であります。今後とも、労働行政の推進にあたりましては、各位の御意見を十分拝聴しながら、一そうの努力をいたしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

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○委員長(千葉千代世君) 次に、昭和四十二年度労働省関係予算に関する件について調査を行ないます。政府の説明を聴取いたします。上原会計課長。

 

○政府委員(上原誠之輔君) 昭和四十二年度労働省関係予算の概要につきまして、お手元の資料によりまして御説明申し上げたいと思います。この資料は四十二年度労働省予算の概要をまとめたものでございまして、目下、各事項の詳細につきましては資料を調製中でございまして、でき次第あらためて御配付を申し上げますので、御了承を得たいと思います。

 まず第一に、全体の予算規模でございます。一般会計につきましては、新設が予定せられます石炭対策特別会計に計上される石炭離職者援護対策費五十三億三千三百万円を含めまして、実質千百二億二百万円であります。四十一年度に比しまして八十六億五千万円の増加ということになっております。労災保険特別会計でございますが、この特別会計につきましては、歳入歳出ともに千三百十五億六千七百万円でございまして、百三十六億六千八百万円の増となっております。失業保険特別会計は、同じく歳入歳出ともに千九百五十億三千七百万円で、百四十六億八千八百万円の増加と相なっております。

 次に、主要事項につきまして申し上げたいと存じます。

 その第一は、長期的視点に立った積極的雇用対策の推進に必要な経費でございまして、四十一年度予算に対しまして十六億一千二百万円の増加でございまして、二百五十六億三千七百万円を計上いたしております。

 そのおもなものについて申し上げますと、第一は、近代的労働市場の形成と中高年齢者の雇用促進に必要な経費でございまして、総額は百九十四億九千五百万円となっております。これによりまして、一つは、雇用の長期的展望に立脚した雇用対策基本計画の策定をいたすことが第一でございます。第二は、近代的労働市場の形成のための経費といたしまして十五億一千四百万円を計上いたしております。これは労働市場センターの機能を四十一年度に引き続いて整備いたしますとともに、特に求人者・求職者に対する雇用サービスの強化をはかることといたしまして、一つには雇用相談所の新設、主要な都市につきまして三カ所に設置することにいたしております。なおまた、テレビ等を利用いたしましての広報活動の強化をはかることにいたしております。この項目で特に額が多うございますのは、中高年齢者の雇用促進対策の関係の経費でございまして、二ページでございますが、百七十七億九千二百万円となっております。この内容でございますが、職業転換給付金制度につきまして拡充強化をすることといたしておりまして、その内容は、中高年齢者の住宅確保奨励金を新設するということ、もう一つは、職業訓練手当等の現行の諸給付金につきまして単価を改定すること、これがおもな内容でございます。なお、中高年齢者等の雇用促進をはかりますため、四十二年度の新しい試みとしまして、全国三カ所に人材銀行の新設をすることにいたしております。なお、移転就職者用宿舎の建設につきましては、四十一年度と同様一万戸につきまして建設を行なう、こういう計画でございます。それから、雇用促進融資につきましては、四十一年度百億に対しまして、二十億を増額いたしまして百二十億ということでワクを設定し必要な融資をやってまいりたい、こういう計画でございます。

 なお、能力と適性を中心とする近代的労働市場の形成のために職業に関する基礎的な研究の必要が痛感せられておるわけでございますけれども、将来におきまして職業研究所を新設することを予定いたしまして、その用地の購入と、それから四十二年度から職業研究調査に取りかかるということで、合わせまして一億六千万円の予算を計上いたしております。

 次は、先ほどの近代化に関連して発生してまいります雇用問題に対しまする対策の推進に必要な経費でございまして、合計いたしまして六十一億四千二百万円を計上いたしております。その一つは、炭鉱離職者対策の強化拡充に必要な経費でございまして、五十億八千六百万円を計上いたしております。これによりまして、雇用促進事業団が行なっております炭鉱離職者の援護業務をさらに強化拡充いたしますとともに、特に四十二年度におきましては、最近の炭鉱離職者の状態を考慮いたしまして、自営対策につきまして強化していくということを考えておる次第でございます。なお、緊急就労対策の事業でございますが、これにつきましても、四十一年度に引き続き事業費単価を若干増額いたしまして、実施をしていくという計画でございます。

 次に三ページに参りまして、港湾労働対策の推進に必要な経費でございます。この関係では、九億二千八百万円を計上いたしております。おもな内容は、雇用調整手当の増額が一つでございます。最近の港湾労働者の賃金の実態が実情を十分反映していないということもございますので、これを実情に即するように雇用調整手当の単価の改定を行なうというものでございます。なお、港湾労働者の福祉施設につきましては、本年に引き続き、来年度におきまして、さらに拡大された形で整備をしてまいるということで、所要の予算を計上いたしておる次第でございます。

 それから、第二は失業対策事業の改善に必要な経費でございまして、四十一年度に比較いたしまして、三十一億四千四百万の増。合計いたしまして、三百六十八億六千七百万を計上いたしております。来年度の失業対策事業の改善につきましては、特に労力費単価を改定いたしております。四十一年度が六百二十九円二十八銭でございますが、これを七百十円七十銭というふうに改定をいたしております。それから、一番下のほうに書いてございます超過負担の解消でございます。地方公共団体が失業対策事業を実施いたしていく上におきまして、かなりの超過負担をいたしておりますので、これを解消する措置を講じた次第でございます。

 次に、四ページに参りまして、労働力の質的向上対策の推進に必要な経費でございます。総額といたしまして、百三億九千二百万円となっております。

 その一つは、技能労働力の開発向上対策推進に必要な経費でございまして、九十九億九千三百万円を計上いたしております。これによりまして、まず第一は、事業内職業訓練の助成援助を強化することにいたしておりまして、共同職業訓練運営費補助金につきましては、一人当たりの補助単価の千二百五十円を千四百円というふうに引き上げまして、運営の強化をはかることにいたしております。それから、事業内職業訓練施設に対しまして、資金貸し付けの拡充をいたしております。それから、公共職業訓練につきましては、総合職業訓練所を新設六カ所、職種の拡充につきましては、前年度十職種というのを二十一職種というふうに大幅に拡充いたしております。なお、一般職業訓練所につきましては、新設九カ所、拡充は職種転換を含めまして二十職種でございます。それから、五ページに参りまして、身体障害者の職業訓練所でございます。現在九カ所ございますが、さらに一カ所を昭和四十二年度におきまして新設をするということでございまして、なおそのほかに、職種拡充が一職種ございます。

 次が技能検定制度の整備と技能者の地位向上対策の強化に必要な経費でございます。合計いたしまして、一億五千九百万円を計上いたしております。中身といたしましては、まず第一が技能検定職種の増でございまして、四十二年度五十四職種を六十職種にわたりまして実施をすることにいたしております。次は技能者表彰制度の創設でございます。大臣の所信の表明の中にもございましたように、来年度新しく卓越した技能者につきまして国家といたしまして表彰するという制度を創設することにいたしております。

 それから、最後の欄に書いてございますが、昭和四十五年におきまして技能オリンピックが日本において開催される運びとなっておりますが、その開催準備を四十二年度から始めるということにいたしておりまして、さしあたり現在千葉にございます中央技能センターの敷地を拡充するという措置と、寄宿舎等の施設をつくるという予算を計上いたしておる次第でございます。

 次に六ページに参りまして、労働災害防止対策の積極的展開と労働条件の近代化の推進に必要な経費でございます。この関係では、総額十三億五千二百万円を計上いたしております。

 第一は、労働災害防止対策の積極的展開についての経費でございます。この関係では十二億一千二百万円を計上いたしておるわけでございまして、第一に、行政体制につきましては、中央におきまして安全衛生局を新設するということが一つ、地方におきましては監督指導体制の整備をはかりまして、積極的に労働災害防止対策を推進することにいたしております。特に、労働災害防止に関する啓蒙、教育、指導を強化し、また自主的災害防止活動を推進するという考え方に基づきまして、労災防止会館をいよいよ来年度から建設の緒につかせるということと、それからもう一つは、労災防止協会の付属機関といたしまして安全衛生センター二方所を設置する、こういう措置を考えておる次第でございます。これによりまして、労災防止協会に対する補助は四億一千万円から四億六千万という金額にのぼるということに相なります。

 次に、労働条件の近代化の促進でございます。資料の七ページでございます。この関係では、最低賃金制の確立、それから賃金問題の合理的解決への指導援助の強化等の諸措置を強力に推進することといたしまして、一億四千万円を計上いたしております。四十一年度に比しまして四千八百万円の増となっております。

 第五に、労働保険の拡充に必要な経費でございます。この関係では五十六億四百万円の予算を計上いたしておる次第でございます。

 まず、労働保険の全面適用の関係でございますが、昭和四十三年度から労災、失業両保険につきまして五人未満にその適用範囲を拡大するという目標のもとに、昭和四十二年度におきましては適用徴収事務の一元化体制の整備をするということと、事務組合方式による加入促進をはかるということを考えておる次第でございます。この関係で二億九千七百万円を計上いたしております。

 それから、八ページに参りまして、労災保険制度に関しまして、四十三年の全面適用を目前にいたしまして、四十二年度におきましては、政令改正によりまして強制適用事業の範囲の拡大をはかりますとともに、労災保険施設につきまして、労災リハビリテーション・センター、義肢センターの設置を考えておる次第でございます。

 それから、失業保険制度につきましては、まず第一が、低所得層に対する給付内容の改善、それから第二に、沖縄帰郷者等に対する失業保険の適用、それから失業保険受給資格者の就職促進の強化と給付の適正化、こういった措置を考えておりまして、この関係では二十三億六千万円を計上いたしておる次第でございます。なお、通年雇用の推進につきましては、四十一年度創設の建設業に対します融資制度をやっておるわけでございますが、四十二年度におきましては、建設業のほかに水産加工業を新たに適用範囲に加えまして、通年雇用の推進をはかっていく、こういう計画でございます。

 第六に、労働者の福祉の増進に必要な経費でございまして、この関係では十六億三千五百万円を計上いたしております。

 おもなものについて申し上げますと、四十二年度における新たな施策といたしまして、清酒製造業につきまして、中小企業退職金共済組合法に基づく退職金共済組合を設立する、こういう措置を考えておる次第でございます。加入事業主については四千人、加入労働者数は四万人という数を見込んでおります。

 それから、労働福祉施設の設置の問題でございます。九ページの備考欄に書いてありますような施設につきまして設置をしてまいるわけでございます。中ほどに、勤労青少年ホーム、働く婦人の家の増設と補助単価の引き上げという欄がございますが、勤労青少年ホーム、働く婦人の家、いずれもを通じまして、従来の補助単価を大幅に引き上げるという措置を講じておる次第でございます。設置個所数は前年度同様二十個所でございます。

 それから、最後の行に書いてございます、出かせぎ相談所の新設、これは最近出かせぎ労働者がいろいろと社会的に問題を提起いたしておりますので、労働省といたしまして、これらの労働者の就労経路の正常化といったような措置を特に強化して実施することにいたしておりますが、その一環といたしまして、東京と大阪に出かせぎ相談所を新設いたしまして、これらの労働者の世話をしていくという措置を考えておる次第でございます。

 次に、十ページでございますが、恵まれない労働者層に対する対策の強化に必要な経費、これに十二億七千百万円を計上いたしております。

 その第一は、身体障害者対策の推進でございます。これは先ほど申し上げましたことと重複をいたしますが、労災リハビリテーション・センターの設置、それから義肢センターの新設、それから身体障害者職業訓練所の強化拡充のほか、就職促進対策につきましては一そう強化をして実施をしてまいりたい。なおまた、雇用促進融資の中におきましては、特に四十二年度は身体障害者を雇用する事業所の作業施設設備に対する融資というものを始めたいということで計画をいたしております。

 それから、先ほど申し上げました、出かせぎ労働者対策の強化に必要なもの、これが二億三千四百万円でございます。この中では、いま申し上げました出かせぎ相談所の新設のほか、農村婦人対策の推進といたしまして、特に出かせぎ労働者を送り出した留守家庭の生活の確保という点から、特に四十二年度におきましては内職相談員を設置するということによりまして、留守家庭の生活の確保をはかっていくということを考えておる次第でございます。

 次は、一一ページでございます。総合的家内労働対策の樹立と行政措置の推進、前年度に比しまして五百万円増の八百万円によりまして、家内労働審議会の総合的家内労働対策の樹立のための検討と、標準工賃制度の普及促進等の行政措置の推進をはかっていくことにいたしております。

 それから、最後に、特別地区対策の推進といたしまして四億三千二百万円を計上いたしております。これは大阪の愛隣地区における労働者の福祉対策として措置するものでございまして、内容といたしましては、愛隣労働福祉センターを設置するということ、それから愛隣地区において公共職業安定所を新設して、この地区の労働市場の秩序の確立をはかるということ、それから簡易宿泊所を設置いたしましてこの地区の福祉の向上をはかる、この三つがおもな内容になっております。

 第八は、相互信頼関係の上に立った合理的労使関係の促進に必要な経費でございまして総額十億五千五百万円でございます。

 この内訳といたしまして、第一が労使間における信頼関係の基盤の育成のための経費、それから中小企業における労務管理、労使関係近代化の促進に必要な経費となっておりまして、四十一年度に比し二億三千三百万円の増加でございます。

 次に、一二ページでございますが、第九は婦人年少労働者対策の推進に必要な経費でございます。この関係では三億九千八百万円の予算を計上いたしております。

 これによりまして第一は、婦人労働力の有効活用対策の推進をはかってまいりたい、それから内職対策の推進をはかってまいりたい、それから婦人年少労働者の保護対策の推進をはかってまいりたい、最後に農村婦人対策の推進をはかっていくということで、前年度に比しまして七千二百万円の増加となっております。

 あと一三ページで、総合的中小企業労働対策の積極的展開ということで項が設けてございますが、これはいままで申し上げましたことと重複いたしますので、省略をさしていただきたいと思います。

 最後に、一四ページの国際労働行政充実に必要な経費でございまして、この関係では二億五百万円ということで、海外情報の収集と対外広報の弦化、発展途上の諸国に対する技術協力の推進をはかっていくということの関係の経費でございます。

 以上、はなはだ簡単でございますが、予算の説明を終わります。