51-参-商工委員会-33号 昭和41年06月27日

 

昭和四十一年六月二十七日(月曜日)

   午前十時五十五分開会

    ―――――――――――――

   

  本日の会議に付した」案件

○日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送 付)

○継続審査要求に関する件

○継続調査要求に関する件

○委員派遣に関する件

    ―――――――――――――

 

○矢追秀彦君 そのPRをただやろうということじゃなしに、実際に日本の国全体がこのテーマにふさわしいような国づくりをしていかなければいけないと思うわけです。ただ万国博をやったところに日本の最優秀なたとえば機械がある、ただ文芸作品が置いてある、美術品があるということでなしに、外国人も来ることですから、来てみて、実際日本は表面では非常にりっぱな建物がありますし、ある面では驚くと思うのです。三年前に私はパリーに行って、ある博物館に行って驚いたのは、明治初期の東京駅を絵にかいて置いてありまして、これが日本だという紹介が出ておったわけですけれども、非常にそういった点ではそういうものを見てきた人は、おそらく見てびっくりすることだろうと思いますけれども、やはり日本全体がもっともっとこのテーマにふさわしい国づくりを万国博までにしないと、これは来た人が、その会場中では非常にりっぱだけれども、まわりは非常に悪い、日本の国の中を歩いてみたら、実際進歩もなければ調和もない、それでは非常によくないと、こう考えるわけです。また国自体もこのテーマがほんとうに理解をされていくような、そういったことも考えなければいけない。特に日本の文化というものは、御承知のように非常にアンバランスで、西洋文明をまだまだ消化し切っていないし、日本独自の文明というのとそういった西洋の機械文明との調和というものは、まだうまくいっていないと思います。そういったことを、やはりまわりのほうから充実していかなければいけないと考えておるのですけれども、ただPR――この博覧会だけを成功させるのではなしに、そのまわりをちゃんとする、ただ道路をつくったとか、交通を便利にするだけではいけないと思うのです。日本人自体の持っておる力をよくしなければいけないし、日本文化自体も、ほんとうに進歩と調和にふさわしい文化に持っていかなければならないと思うのです。そういったことに対して大臣はどういうふうに考えておられるか。

 

○国務大臣(三木武夫君) 非常にごもっともなお話で、これは単に会場だけでなしに、この万博を開く限り、日本が進歩と調和の国にふさわしいような国になっていくということができ得るならば、これはたいへんに大きな意義を日本のためにも持つわけでありまして、これはなかなか一朝一夕のものではありませんが、われわれとしては十分に考えなければならぬ点だろうと思います。

 

○矢追秀彦君 そのためにやはり具体的にこれらの予算にしても、いろいろな事業にしてもやっていかなければいけないと思うのですけれども、たとえば大阪だったら、身近な例ですけれども、釜ケ崎にスラム街があって暴動をやるとか、これは不調和の典型的なものだと思うのです。そういった国土開発、これを行なわなければいけないと思うのですけれども、これについてただ通産省が担当になってこの万国博を進める、もちろん各省と連絡をおとりになるだろうと思います。そういった点で、これから国会で審議される法律案にしても、またいろいろな各省の方針は、一つはここに的を置いて進めなければいけないと思うのです。そういった点でもっともっと政府が強力な対策を講じていかけなればならないとこう思うわけですけれども、それに対してどういうふうになっておるか、お考えをお伺いしたい。

 

○国務大臣(三木武夫君) 進歩と調和というものは万博の一時期のものでなくして、ずっと日本の国づくりのこれは基礎になる精神だと思います。しかし、万博にはたくさん諸外国からも来るわけでありますし、そういう人たちが万博の会場だけでなしに、日本の社会の中にも秩序のある社会、しかもそれが固定的でなくして、たえず進歩しておる社会、この日本ということで印象を持って帰るならば、非常に日本のためにもいい機会になると思いますので、これは万博ということと結びつけてというよりかは、今後の政治の姿勢として、こういう問題はいろいろな政府の予算、政策の立案のときに、この万博の精神がいかされていくような努力をいたさなければならぬし、できるだけいたしたいと考えております。