104-衆-社会労働委員会-3号 昭和61年02月25日

 

昭和六十一年二月二十五日(火曜日)

    午前十時二分開議

本日の会議に付した案件

 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法

 の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 労働関係の基本施策に関する件

     ――――◇―――――

 

○山崎委員長 これより会議を開きます。

 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹村泰子君。

 

○竹村委員 山谷の労働の問題について少しお尋ねしたいと思います。

 去る一月十三日、山谷争議団の山岡さんという方が暴力団にピストル四発で殺害されるという事件がありました。これは、五十八年十一月以来暴力団による手配師が入ってきたために労働者側とトラブルが絶えないということが背景にあるわけでございます。御存じと思いますけれども、四大寄せ場と言われる、東京は山谷、横浜は寿町、名古屋は笹島、そして大阪は釜ケ崎、こういうふうにあるわけです。こういう寄せ場には職安法に違反するいわゆる労働者募集が公然と行われている。これらの手配師と言われる人たちですが、職安法などに定める労働者募集事業ではなくて違法な募集をしている。そして、その手配師によるピンはねが暴力団の資金源になっている。こういうことは許せないことです。手配師による就労条件にはタコ部屋への囲い込みなどということもあり、過酷なケースがあるわけです。

 例えば、労働省にお伺いいたしますけれども、五十八年十一月から今日まで山谷地区を対象に何かアクションを起こされたことがありますでしょうか。

 

○白井政府委員 お答えいたします。

 山谷地区における労働者の募集については五十八年以降直接の立入調査を行った事例はございませんが、職業安定法及び建設労働者雇用改善法に基づく種々の規制によりまして、いろいろな機会をとらえまして関係事業主に対しこれらの規定の遵守を含め適切な募集が行われるよう指導してきたところでございます。今後ともそういう関係行政機関と連絡をとりながら指導を進めてまいりたいと思っております。

 

○竹村委員 警察庁の暴力団対策も手ぬるいですね。私たち一般庶民から見ますと、まことに手ぬるいとしか思えないのですけれども、これを職安法違反で検挙することはなぜできないのでしょうか。警察にお伺いします。

 

○山本説明員 お答えいたします。

 警察といたしましては、暴力団に対しましては、社会の敵、国民の敵という認識に立ちまして徹底した取り締まりを進めておるところでございまして、御指摘のような地域における暴力団につきましても重点取り締まり対象といたしまして、資金源を初めその実態把握に努め、違法行為を認知した場合には、あらゆる法令を活用いたしまして積極的に検挙を図ってきているところでございます。

 いわゆる山谷地域におきましても、昨年中には殺人未遂、恐喝、暴力行為、のみ行為等々で約八十人ほどを検挙しておるところでございまして、今後とも暴力団の壊滅を目指しまして一層強力な取り締まりを推進してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

 

○竹村委員 殺害という異常事態を招いてしまったこの行政責任をどう考えておられますか。労働省、警察、両方にお伺いいたします。

 

○白井政府委員 お答えいたします。

 山谷地区の問題につきましては、先生御指摘のようないろいろな問題があるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、労働省としましては、種々の機会をとらえまして、関係事業主に対し、これらの先ほど御指摘の規定の遵守を含め適切な募集を行うよう指導してきたところでございます。しかし、今回のような事件が見られるということは必ずしも問題が一掃されていないのではないかというふうに思われるので、労働省としましても、今後ますます一層厳格に関係行政機関とともに連絡をとりながら募集の適正化に努めていかなければならないと考えております。

 

○山本説明員 御指摘の殺人事件につきましては、全力を挙げまして捜査を行い被疑者の検挙を図ったところでございますが、今後ともこのような事案が発生することがないよう積極的な暴力団取り締まりに努めてまいりたいと思っておるところでございます。

 

○竹村委員 このような状態では出稼ぎの労働者の方たちは安心して働けないのです。取り締まりが難しいとおっしゃいますけれども、現地には、朝四時半過ぎに行けば違反業者はすぐつかまえられるのです。そして青空賭博も、マンモス交番の真とか玉姫職安の前とか玉姫公園とか、そういうところで、決まった場所で開かれているのです。どうしてそこへ行って現場を押さえないのですか。労働省だけではとても難しいかもしれないけれども、警察と労働省がチームを組んでやる気になれば、朝行ってくだされば現場を押さえられるわけですよ。

 そうして、一方でぜひやっていただきたいことは、建設会社の人探しは職安を通じるように徹底して指導していただきたい。今、野放しの状態ですよ。そういうことで、ほっておかれては出稼ぎの方たち、庶民が恐ろしくて安心して働けない。人が殺されているのですからね。これは大変なことでありますので、ぜひそういった積極的な御答弁をいただきたいと思いますが、どうですか。特に警察。

 

○山本説明員 先ほど申しましたように、警察といたしましては、暴力団はこの社会から根絶するという強い決意を持って取り締まりに当たっておるところでございまして、御指摘の地域におきましても全力を挙げて対策を進めておるところでございます。今後ともより一層強力な取り締まりを推進してまいりたい、御希望に沿えるような事態を現出させてまいりたい、かように思っておるところでございます。

 

○竹村委員 そういう努力いたしますというふうなお答えではなく、本当は、現場を押さえるようにいたしますとか、そういうお返事をいただきたいのです。なかなか難しいとは思いますが、ぜひそのように前向きに考えていっていただきたいと思います。

 それから、厚生省にひとつお聞きしますけれども、日雇い健保その他社会保険の適用状況はこの日雇いの方たちに対してどういうふうになっておりますでしょうか。状況がわかりますか。

 

○佐々木説明員 お答えいたします。

 いわゆる寄せ場の日雇い労働者に対する健康保険等の社会保険の適用状況はいかがか、こういうことでございますが、一般的にいわゆる寄せ場の日雇い労働者でございますと、健康保険の例で申しますと、日雇い特例被保険者ということで健康保険の適用が考えられるわけでございます。現実問題といたしまして、日雇い特例被保険者の場合は、土木建設関係が多うございますけれども、そのほかに種々の職種がございまして、またこの適用状況等は社会保険事務所単位として把握をしているような状況でございまして、いわゆる寄せ場の労働者に着目した形での適用状況の把握はできてございません。

 しかしながら、本来当然適用されるべき日雇い健康保険がいわゆる寄せ場の労働者についても適用されない事例があるとすれば、つまり適用漏れ等があれば、これは大変問題でございますので、従来から適用漏れのないように事業主への指導ということにつきましては関係県と連絡をとりながら適正化に努めておる、こんな状況でございます。

 

○竹村委員 適用漏れどころか、非常にたくさんそういう適用から漏れてしまっている方たちがいらっしゃるわけなんですけれども、ぜひ厚生省も努力をしていただきたい、当然の権利として受け取れるようにしていただきたいと思います。

 それでは次に、京セラの労働問題について御質問をしたいと思います。

 労働大臣、あなたは、去年十一月十日に第一回授賞式が行われました稲盛賞、京都賞というのを御存じでしょうか。この京都賞というのは、第一回授賞式には中曽根総理も祝辞を寄せているのですけれども、御存じですか。