91-参-運輸委員会-4号 昭和55年04月24日

 

昭和五十五年四月二十四日(木曜日)

   午前十時十一分開会

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  本日の会議に付した案件

○理事補欠選任の件

○船舶のトン数の測度に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

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○渡辺武君 いま若干の説明がありましたけどね、この規程で見てみますと、そのタンクの残留分の処分作業の中で私ども非常に重要だと思いますのは、一番最初に、「船長は、油濁防止管理者及び関係する各部の主任者の意見を聴いたうえ、作業予定表を作成し、これを海員に周知しなければならない。」ということで船長の義務もきちっと言っていますね。それから、なお同じ項目の(5)のところですけれども、「貨物油タンクの残留物は、海中投棄してはならない。」と。(6)が「作業に従事する者は、作業が終了した場合は、甲板上に備蓄した貨物油タンクの残留物の量を計測し、作業に要したウエス等の油汚染物を所定の場所に格納しなければならない。」。それから、その次ですが、「油濁防止管理者は、前項の措置の状況を点検し、その結果を船長に報告しなければならない。」と、こういうことになっていますし、それからビルジのことについても書いてありますけれども、とにかくそういうことで、船長及び油濁防止管理者の責任というのは非常に明確に定められているわけですよ。

 もし一等航海士と船長がこの規程に基づいて忠実に自分の責任を遂行したならば、夜間ごうごうとライトを照らした中で廃油が不法に投棄される、二回もそれがやられているわけですね。それからまた入港直前に今度は真っ昼間それがやられている、そんなことを知らなかったなどとはとうてい言えないと思うんです。この点どう思いますか。

 

○政府委員(永井浩君) お説のとおりだと思います。各社で定めますその油濁防止規程を忠実に実行すればこういった不法投棄の大部分は防げるんではないかと、このように考えております。

 

○渡辺武君 そこで、私、大臣に伺いたいんです。

 大体今度の出光タンカーのように、下請に清掃を任せる、下請がまた、又下請に任せる、その又下請があいりん地区あたりから日雇いの人を連れてきて、それでもってやらせる。それで責任をみんな下へ下へとなすりつける。で、おれは知らないよという顔をしている。こんな状態をそのままにしておいたら、いかに厳しく今後注意を喚起しますとおっしゃっても、それはもう本当に絵にかいたもちになると私は思うんですよ。

 ですから、下請がやろうとやるまいと、それからまた下請のやったことについて一等航海士及び船長及び船主が知ろうと知るまいと、これは油濁防止法違反ということで処理していくということは、私は当然のことだと思うんです。つまり責任逃れのできないような、そして本当の責任者である出光タンカーそのものが全面的に責任を負わなきゃならぬということが、そうややこしいことはやらなくたって、不法投棄が行われたらすぐにそこに責任が行くというような形に私はすべきだと思うんですが、その点どうでしょう。

 

○国務大臣(地崎宇三郎君) この作業についての契約が非常に複雑な形態で、元請、下請、孫請というふうなやり方をしておるのが判明したわけでございますので、この点について今後どのように出光に対して、船主に対して指導していくかということを検討してまいりたいと、かように存じておるわけでございます。何としても不法投棄のないような措置をとらせるような形をとりたいと、かように考えます。

 

○渡辺武君 それから、先ほどの氷山の一角の問題ですけれども、大臣自身もお認めになったように、かなり広範にやられているんじゃないかという点があるわけでございますから、したがって、私は日本に入ってくる、つまり船籍が日本にあるかどうかということは別にして、外国船籍のタンカーについても、一斉点検をやる必要があるんじゃないかと、そう思いますね。油濁防止法に基づいてその義務が厳重に履行されているかどうかという点について、一斉点検をぜひやっていただきたいというふうに要望いたします。

 それからもう一点は、特に廃油処理施設での処理量とそのタンカーの排出可能なスラッジの量とかビルジの量とかいうのは、これは船によっていろいろ違いはあるだろうと思いますけれども、しかし個々のタンカーについて見ればある程度これは推測がつくと思うんですね。それとの比較、これを実態をしっかりつかめば、本当ならば五十トン出るべきものが二十トンしか処理施設で処理してなかった、残りの三十トンはどうなったか、恐らく不法投棄したに違いないという結論が私は出てくると思う。そういう点は特に注意をしてやっていただく必要があるんじゃないか。

 それからまた、いま申しました油記録簿、これの記載状況を全面的に全タンカーについて点検をしていただいて、そうしてそれと事実との相違があるかどうか、この点についても特に厳重に点検をする必要があるんじゃないかと思いますが、その点どうお考えでしょうか。