68-衆-社会労働委員会-14号 昭和47年04月12日

 

昭和四十七年四月十二日(水曜日)

    午前十時三十九分開議

 

 

 本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 最任賃金法案(田邊誠君外六名提出、衆法第一

 三号)

 失業保険法の一部を改正する法律案(田邊誠君

 外六名提出、衆法第五号)

 労働安全衛生法案(内閣提出第四一号)

 労働関係の基本施策に関する件(春季賃金引上

 げ要求等に関する問題)

     ――――◇―――――

 

○川俣委員 それから建設業の年齢というか、階層というか、どういう雇用条件というか、身分というか、単なる日雇い、出かせぎ、そういうものに多いのか、その辺の趨勢はわかりますか。

 

○渡邊(健)政府委員 まず年齢の点でございますが、年齢別に分けますると、建設業で被災しております率が一番多いのは、やはり六十歳以上の方々でございます。その次が二十歳未満、これに次いで二十歳から五十歳までは年齢が高くなるに従って災害率が高くなっておるわけでございます。

 なお、身分関係等につきましては、御指摘のように臨時、日雇い、あるいは臨時の中には季節労務者といったような人も少なくないことは御指摘のとおりだと考えます。

 

○川俣委員 そういうところに非常に労働災害が高率的に出ているんだよ。そういうものに、皆さんが考えているこの新法案で対策になりますか。いままではできなかったが、今度はこの法案ができたから、よしということにどういうところがなるかね。

 

○北川(俊)政府委員 今回の法律で一つの特色といたしましては、人の面につきまして、たとえば出かせぎで都会に出ている方が、ふなれな作業につかれる、安全工法につきまして、あるいは作業手順につきまして、知識が十分でないために災害を起こすという事例が多うございますので、そういう場合の教育というものを徹ますることにいたしております。かつ従来は採用時のみ教育すれば足りる、こういうことでございましたけれども、今回の場合は採用時のみならず、職場転換の場合、あるいは危険、有害な業務につけた場合、こういうような場合にすべて教育を十分にする、こういうことにいたしております。

 さらにそういう日雇い労働者の方を指揮するという職長、フォアマンクラスの方が安全につきまして、これも十分な安全上の配慮がなければならないわけでございますが、今回は、従来の一般労務者に加えまして、職長クラスに新たについた方に対して、これも法律ではっきりと教育をする。その内容につきましても、これから指針として示す、こういうことにいたしております。

 さらに、建設業では重建設機械等で最近いろいろ災害が多いわけでございますけれども、そういう重建設機械につきましての就業免許の問題、あるいはその構造規格の問題というのは、この新法を契機としてこれから検討してまいる考えでございます。

 さらに、先生御指摘のように、建設業につきましては中高年齢者が非常に多くなっておりますし、その方々がこうむる災害の発生率というものも高うございますので、この法律の六十二条で、中高年労働者、そういう方につきましては、その適性というものを十分配慮して、労働災害が起こらないように適正な配置をするということを使用者に望んでおるわけでございます。

 以上の点が、今回の中高年労働者の増加、そういうものに関連しての処置と考えます。

 

○川俣委員 中高年齢者の配置だって、「適正な配置を行なうように努めなければならない。」という、それは努力うたいだというのだ。それは部長はきれいごとを言うけれども、たとえば建設業の地下鉄の工事なんて――労働大臣、釜ケ崎か、あるいはそこの山谷ですか、あそこに行ったことがありますか。あそこなんか、労働者を、はい、これは千五百円、トラックに乗れ、こうですよ。毎日そういうことで労働者を買ってくるわけだ。しかも同じ工程で、同じものを毎日つくるのじゃないのだ。一品生産じゃないから、きょうはここだ、全部目隠し労働をさせられているわけですね。そこに災害があるわけだ。だから、労働省はこれにメスを入れていかなければならないと思うのです、その背景には入れ墨のおっさん方がいるわけだから。そういうところへメスを入れていくというのには、こういう努力うたいなんかしたって、何ぼ法律をつくったってできないと思いますよ。やはり監督者を多くして強めて、ぐっと入っていかなければだめだと思いますよ、労働問題というのは。

 そこで、その努力するという体制に、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者等々がある。これは、ひとつがちっと労働省が把握しなければだめですよ。だから、これは届け出制というか、できれば認可制、どういう顔ぶれで安全衛生委員会をやっているんだ――私は、きょうはこういう仕事をやりますということを労働者が知らなければ事故になる。これが鉱山の保安教育なんですよ。ところが、そういうものは建設現場にはないのだ。とにかく、きょうはあそこだ、きょうはここだ、目隠し労働、そこに災害があるのだ。だから私は、安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者のあれは最低届け出制にすべきだ、こう思うのです。どうでしょう。

 

○渡邊(健)政府委員 総括安全衛生管理者あるいは安全、衛生管理者の選任、交代等につきましては、基準監督署のほうに報告していただくことにいたしたい、かように考えております。

 

○川俣委員 報告じゃ弱いんだよ。届け出して、そして届け出したら、その報告によって行ってみて、どういう顔ぶれで委員会をやっているかということを確認するという考え方がなければ、事故がやまないというのですよ。どうですか。