162-衆-予算委員会第五分科会-1号 平成17年02月25日

 

本分科会は平成十七年二月二十二日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      金子 一義君    後藤田正純君  津島 雄二君    根本  匠君

      辻   惠君    中津川博郷君  照屋 寛徳君

二月二十四日

 後藤田正純君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十七年二月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 後藤田正純君

      金子 一義君    谷  公一君   津島 雄二君    根本  匠君

      宮下 一郎君    市村浩一郎君   辻   惠君

   兼務 加藤 勝信君 兼務 西村 康稔君  兼務 大谷 信盛君 兼務 岡本 充功君

   兼務 川内 博史君 兼務 中川  治君  兼務 中根 康浩君 兼務 中村 哲治君

   兼務 楢崎 欣弥君 兼務 高木美智代君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   文部科学副大臣      塩谷  立君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        楢崎 憲安君

   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   (文部科学省大臣官房審議官)           泉 紳一郎君

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大槻 勝啓君

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   (厚生労働省医薬食品局長)            阿曽沼慎司君

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 金子 順一君

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伍藤 忠春君

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   (国土交通省総合政策局次長)           平田憲一郎君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

  本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)

     ――――◇―――――

 

○中川(治)分科員 民主党の中川治でございます。

 私は、大阪十八区でございまして、十二年間大阪府議会議員をやっておりました。かれこれ七年ぐらいになりますでしょうか、大阪に青テントがちらほら出始めたころからいろいろ相談を受けまして、取り組みを始めてきたところでございます。そういう意味で、きょうはホームレス問題を中心にしてお聞きをしたいというふうに思います。

 全国でざっと二万五千人、そのうち大阪に一万二千人ぐらいというのが実態のところかと思います。現在のホームレスの現状ということについてどう把握をされているか、まず大臣のお考えをお聞かせいただきたい。

 

○尾辻国務大臣 今お話しいただきましたように、全国でのホームレスの数は二万五千人ぐらいだというふうに見ておりますけれども、大阪府の数は、私どもの調査といいますか、確認しております数字では七千七百五十七人でございまして、東京都の六千三百六十一人、こういったところが全国の中でもホームレスの多いところでありまして、数のばらつきはあります。ただ、すべての都道府県でホームレスが確認をされておる、こういうことでございます。

 

○中川(治)分科員 厳密にホームレスというふうに言ったら、まあ八千人かなという話もあるんですが、いろいろな対策が必要な人も含めたら、どうも一万二、三千人にはなるかな、我々はそんなふうに思っております。これはこれで一つおいておきたいと思います。

 大臣、失礼ですけれども、どこか視察は行かれましたか。

 

○尾辻国務大臣 私自身がホームレスの現地視察ということで行ったことはございません。

 ただ、例えば、我が党の中東京都ホームレス議員連盟というのがございまして、保坂議員がメンバーでございます。その保坂議員と、それから大阪府議会の中にザ・ホームレス・フォーラムというものがあるんだそうですが、そうした皆さんだとか、あるいは大阪市議会の中にも自民党ホームレス問題研究会というのがあるそうでございまして、そうした皆さんがおいでいただいたりして、いろいろなお話はさせていただいたことがございます。

 

○中川(治)分科員 大変お忙しいかと思いますが、また機会を見つけて。

 タイプがいろいろあるのですね。私も、民主党の大会がありましたので、その帰りに北九州の方も視察に行ったり、これは四、五百人というケースですから、非常に計画的に行政とキリスト教の教会の方がタイアップされて、非常にアフターケアを綿密にされて、僕も学ぶところがあったなというふうに思います。それから、東京の新宿のところで非常に熱心に取り組んでいるところもありますし、それと、大量に定住している大阪の西成地区の、三つもとは申し上げませんけれども、我が田に水を引くようですが、全国で一番多い西成地区については、ぜひ機会を見て視察をしていただけたらありがたい、そんなふうに思います。

 もう一つは、ホームレスの自立支援法ができてから、いろいろな取り組みがずっとありました。医療的なもの、あるいは福祉的なもの、あるいは住居をどうするかということについても、大阪なんかでも、シェルターをつくったりいろいろなことをやってまいりました。

 それから、働いて自立をしたいという方がざっと半分というふうに言われているんですけれども、大阪でも、二千人から三千人ぐらいの方は非常に意欲を持っておられる。そういう人を何とか仕事につけていこうということで、これについては、実は受け皿とかそれを支援するための組織というものについては、ホームレス自立支援法以降、お金が出てきたんですけれども、はっきり言って、肝心の仕事については、かつての失対事業の反省といいますか、頑固に失対事業は絶対せえへんのや、こういうことでされてきました。まあ、それはよしとしましょう。

 ただ、幸か不幸か、そのころに緊急雇用創出基金というのが出てまいりまして、これも多分、これをホームレスの就労対策に使ったら趣旨が違うといって怒らはるんだと思いますけれども、地元の行政も賢いですから、正面切ってそうではなくて、あいりんの日雇い労働者の何とかだというふうないろいろな形で、実は大阪府、市で合わせて六億円から六億五千万円ぐらい、ひょっとしたら七億円ぐらい活用をしておりました。

 この事実については御存じでしたか、まあ御存じだったと思いますけれども。

 

○尾辻国務大臣 まず、緊急地域雇用創出特別交付金そのものについて申し上げますと、もう御案内のとおりでございますが、平成十六年度末までの構造改革の集中調整期間中における緊急かつ臨時的な雇用就業機会の創出を図ることを目的として、都道府県や市町村の創意工夫に基づいて実施をお願いした事業でございます。ただ、この事業は十六年度末をもって終了することとしております。

 その使い道でありますけれども、大阪府、大阪市においても、地域のニーズを踏まえ、創意工夫に基づくさまざまな事業を企画、実施されており、私どもはそのように理解をしておるわけでございますが、今お話ございましたように、その中でホームレスを対象として道路清掃等の就業機会の提供が行われていましたことは私どもも承知をしておるところでございます。

 

○中川(治)分科員 実は、週一回なんですよ。シェルターに入っている人がざっと千人、これが自立をさせる当面の目標なんです。非常に労働意欲が強い方というふうに御理解いただいたらいいと思います。

 この人たちに最低週一回は働いてもらおうと。それで手に入るお金が五千三百円なんですね。これは、宿代が要りませんから、週一回働いて五千三百円で、七で割って、まともな生活はできませんけれども、それで何とか飯を食いつないで次の週に行く。要するに、五千三百円を握り締めたときに、もっと働きたいなという意欲を何とか持たせたいということで、週一回は絶対死守をしようということで、これは大阪府、市も、週一回働いて五千三百円自分で稼いでもらう、これを何とかやろうということでやってまいりました。

 これが、緊急雇用基金が活用できなくなるということになりますと、大変なことなんですよ。今それで地元の行政は七転八倒、大騒ぎでございます。こういうことで、私は、週一回の就労事業が困難になった場合、就労意欲の大幅な減退ということにつながりはしないか、今までつくってきた働きたいという意識、意欲をこの三月以降大きく後退させてしまうんじゃないかという心配をいたしております。このことについては、ちょっと一言御感想をいただきたい。

 

○尾辻国務大臣 申し上げておりますように、緊急地域雇用創出特別交付金というものは、緊急かつ臨時的な措置でございましたので十六年度末をもって終了する、このことは申し上げたところでございます。ただ、それが、先ほど来先生お話しのようなことで、ホームレス対策としても使われてきたということは私どもも承知をいたしております。

 さあそこでどう考えるんだということになるわけでございますが、ホームレス対策につきましては、平成十七年度、今御審議いただいております予算案の中で、新規施策として、地方公共団体等で構成する協議会に委託して、臨時的、軽易な仕事の確保、提供等を行うホームレス就業支援事業を盛り込んでおります。今御心配のありましたような、ホームレスの就労意欲が減退して自立を妨げることにならないよう、この事業を実施する協議会において仕事の確保、提供に努めていただきたいと考えておるところでございます。

 

○中川(治)分科員 私も、府議会議員でしたので、こちらでは野党なんですけれども、地元へ帰ったら与党なものですから、実は、法律が通る前から、こういうものがあるから早く準備しようということで、形も決めてスタッフも決めて、ちょっと気が早いですけれども、もう四月一日から一気にいくぞということに準備は整えております。就業支援事業、大阪では大阪ホームレス就業支援センターというのを、たしかもとの保健所か税務署でしたかを活用してそのセンターをつくろうということで確保しております。

 ただ、実際は、わかりました、そうしたら、さあここへ仕事を出しましょうということになるかどうか。それが緊急雇用基金のかわりになるのかな、そんな即効性があるのかということですけれども、どのぐらいのめどでお考えなのか。即効性があるとはまさかお答えにはならないと思いますけれども、この見通しについてちょっとお聞きしたい。

 

○尾辻国務大臣 数字でもってこういう見通しということを申し上げることはできませんけれども、この事業は、今少し申し上げましたけれども、地方公共団体のほか経済団体等も協議会の構成員になっていただきますし、事業に要する経費として就業機会の開拓を担当する者の人件費も確保しておりますから、仕事の確保のための活動が円滑に進むものと考えております。

 

○中川(治)分科員 大阪では、これを機会に千人、二千人、西成・あいりん地区の場合は、自立した人も出るんですけれども、そのしりからまたふえてくる。そうすると、やはり地元のNPOの人もだんだん何やっているんやという気持ちになるので、もう登録制にしたらどうや、個人カルテ制にしたらどうやということを思い切って、これはホームレスを差別するのかというふうな議論も一部にはあるんですけれども、そういうことも含めて、自立への段階をきちっと踏んでいこうというふうなことをやっていこうと私たちは思っております。ぜひいろいろな意味で御支援をお願いしたいというふうに思っております。

 ところで、この緊急雇用基金がなくなります。もうこういう勘違いをされている方は少ないと思うのですけれども、私はいつも、これはちょうど横山ノックさんが知事のころ、もう十年ほど前です、全国知事会なんかに行くと、ホームレス問題、ああ、大阪の問題やと。我々はそのときに三千何人を調べまして、どこに住民票がありますかということを調べました。そうしたら、大阪にあるのは三分の一なんですね。山口県の方でもこれだけ来ていただいています、北海道の方もこれだけ来ていただいています、私は知事に、知事会で言うたりなはれということで、あの人は一人一人に言うて回ったようです。ああ、なるほど、全国の問題なんやなと。

 これを大阪府と大阪市だけで面倒見るというのは殺生ですやろという思いをもう一遍やはり共有してあげてほしい。今、この週一回の仕事をやろう、大阪府は何とか三億出しますと言って、商工労働部長はあちこちやっています。私も一緒になって、教育委員会はどんな仕事出せるんや、土木部はどんな仕事出せるんや、そうしたら、河川の仕事、しようがない、これを出そうかと。これも出すのは難しいですよ。国は随契だめとなっていますから、この目を盗む手だてをどうするかとか、いろいろなことを考えながら回していくのですけれども。

 こういうことをやはり大阪府や大阪市任せにすべきではないというふうに思いますし、自立と就労への課題というのは、私はひとり厚生労働省だけの問題ではないと。ホームレス自立支援法にもそううたっております。改めて、大臣、どういうふうに思っておられるか、ひとつお答えをいただきたい。

 

○尾辻国務大臣 今の三分の二は大阪以外の地域の御出身であるという話は、先日、大阪府議会の皆さんや大阪市議会の皆さんがお見えのときもお聞きをいたしました。数字としてはそうなんだろうなというふうに思います。

 そこで、では、それに対して国がやるのか地方がやるのかという話になるわけでございますが、三位一体の改革のときにも随分私は申し上げました、社会保障というのは国と地方が手を携えてやらなきゃいかぬことだと思いますということを申し上げたのですが、まさにこうしたこともそうだと思います。

 ですから、国と地方の双方がそれぞれ努力しなければならない問題だと考えておりまして、基本的には、先ほど来お触れになっておりますホームレス自立支援特別措置法の定めるとおりに、総合的な取り組みは国がやらせていただきますし、また、地域の実情に応じた取り組みは地方公共団体で担っていただこう、こういうふうに考えております。

 

○中川(治)分科員 総合力で対応していくということなんですね。自立のための就労、就労といったって、本当の意味で毎日働くという場合と、とりあえず今ホームレスの皆さんに主に必要なのは、今、この週一遍も含めて、これは就労訓練なんです。障害者でいえば授産所みたいなものをつくってやるのと同じような、例えば就労訓練事業みたいなものを新しい概念として、これは失対事業ではなくて、そういうものをどうできるかというふうなことも、きょうは御答弁いただこうとは思っていません、ぜひ御検討いただきたいな。

 就労訓練事業、障害者の授産事業と同じようなものがまず必要なんですね。それを何とかできないかということをぜひ御検討いただきたいということだけ、ぜひ、これは切にお願いを申し上げておきます。私は、これをやっていただいたら、二度と厚生労働省には逆らいませんから。ぜひこれはひとつお願いしたいということ。

 もう一つは、厚生労働省として、就労対策への協力ということで、これは非常に難しいのですけれども、他の省にぜひ働きかけをしていただきたい。国の出先、いろいろなところに仕事がいっぱいあるんですね。ホームレスの皆さんが、不熟練の方々ができるような仕事がたくさんあります。そういうものを何とか出していただけないかというふうなことも含めて、ぜひ他の省庁への働きかけを、今までそういうことをされてきたことがあるかどうか、これからもぜひやっていただきたいということをお聞きしたいと思います。

 

○尾辻国務大臣 これは、冒頭に先生御自身がお話しいただきましたけれども、かつての失業対策事業に対する私どもの反省といいますか、ございます。したがって、そういう意味で、失業対策という仕事出しをするとでもいいますか、そのことは避けたいという思いがあることは、先生もお触れになりましたし、私どもも率直に、そう思っておりますということは申し上げます。

 ただ、そうした中で、それは、そういうことは反省としてやらぬと思っていますけれども、しかし、今、ホームレス対策というのは大事なことでありますし、ぜひ、皆さんの仕事、しかも、ならし運転みたいな仕事にまずついてという、それは非常に大事なことだと思いますから、私どももお手伝いできることがあればお手伝いすべきだというふうに思っております。そういう意味で、関係地方公共団体や協議会の意見もよく聞いて、今後取り組んでいきたいと思います。

 また、そうした中で、他の省庁への働きかけはどうしてきたかというようなこともございますけれども、先ほど申し上げたようなこともあるものですから、まず民間企業での雇用促進を図りたいと思ってまいりましたために、他の省庁へ今まで働きかけたことはございません。このことでお願いしたことはございません。ただ、今後、やはり私どもはいろいろな働きかけを各所にしなきゃならぬと思っておりますから、申し上げたように、関係地方公共団体や協議会、よく意見を聞いてみたいというふうに思っております。

 

○中川(治)分科員 本当は、厚生労働省としてもできることあるやないか、こう言いたいんですけれども、ぜひこれも御検討をいただきたいと思います。

 確かに、これは会計法の枠がございまして、随契はだめだということになっているんですけれども、やり方はいろいろあると思います。

 私どもも、実はこの二月に近畿地方建設局、それから阪神道路公団、それから都市再生機構の西日本支社、今度は三月に道路公団の西日本支社にも行くんです。これも、大きな顔して仕事をよこせということではなくて、何とか協力してくれ、方法はどないでも考えますさかいに協力してくださいと。それから、御社が無理であれば子会社がありますわな、子会社は会計法に縛られていないはずやと。株の関係もないと向こうは言い張ってはるんやから、ぜひ協力する方法を考えていただきたいというふうなことで、我々も、もう仕事であれば何でもいいというふうなことで、道路のために買っておいてほったらかしになっている道路公団の敷地もあります、そこにはいっぱい草も生えとる、そういうことも含めて幾らでもあるやないか、ぜひ協力をしていただきたいというお願いをこれからもやっていこうと思っております。

 これは、実は国土交通委員会で、きのう北側大臣にも、会計法を盾にして、公平性、競争性あるいは透明性、これを呪文のように唱えたら、社会貢献、そこから解放されるというふうに考えている人が多過ぎる、情けないと思いまへんかという話を、真剣にやはりこれは考え直さなければいかぬところだと私は思っております。

 ここが一つのポイントではないのかなというふうに思っておりますので、ぜひ大臣の方からも、閣議とかいろいろなことがあったら、一番安上がりでやろうと思ったら、今手っ取り早いのはやはり公共の関係なんですよ。ぜひお力添え、発言等お願いをしたいなというふうに思っております。ぜひお願いを申し上げます。

 それから、最後、ちょっと時間の関係もありますので、障害者雇用のことについて一つ御質問をさせていただきたいと思います。

 障害者雇用に大きな役割を果たしている特例子会社という制度がございますね。これは非常にいいことで、シャープさんだとか、かんでんエルハートだとか、大阪も大手の企業が相次いで取り組んでおります。

 ただ、そういう大手のところはもうほとんどやっていただいておりまして、今度は地域で就労支援事業をやろうというようなことで始めてきて、企業としても盛り上がってきた。そうすると、うち一社でそんなものしんどいわというのがあるんですよ。そうすると、地域の有力企業、大手ではないけれども、三社ぐらいが共同出資して特例子会社をつくって、例えばの話で私は申し上げたんですけれども、出資比率に基づいて雇用した障害者をカウントできるというふうな制度も場合によっては柔軟に対応するということを考えていただけませんかということなんでございますけれども、お答えいただけましたら。

 

○尾辻国務大臣 特例子会社でございますけれども、近年、設立が急速に伸びております。そして、障害者雇用の促進に極めて大きな効果を上げております。したがって、この制度というのはうんと活用していただいて、障害者の雇用に役立っていけばいいというふうに思っておるところでございます。

 ただ、この特例子会社の制度というのは、親会社が子会社を経営的に支配することで子会社が親会社と同一の会社であるとみなせる場合には、特例的に合算して親会社の雇用率を算定できることとした制度であります。改めて理屈を言わせていただいたわけであります。

 それはもう十分おわかりの上でではありますけれども、そこで、先生の御指摘の案があるわけでありますが、お聞きした範囲での私どもの問題点だけまずは言わせていただきたいと思います。

 障害者雇用の場を創出するという観点からは有効な面がありますけれども、出資する企業が複数であるため、子会社を親会社と同一の会社であるとみなすことができない、最初に申し上げた理屈に照らし合わすとそこが問題になるということと、また、子会社において障害者の解雇等のさまざまな雇用に関する問題が生じた際の責任の所在が不明確にはならないだろうかとか、いろいろな問題もありますということを申し上げて、いずれにいたしましても、特例子会社制度というのは、私どももこれを大いに活用していただきたいと思っておりますから、さらなる活用の観点から今後検討を加えさせていただきたい、こういうふうに思います。

 

○中川(治)分科員 ぜひお願いをいたします。

 質問をはしょりましたので、ちょっと五分ほど時間がありました。

 率直に言いまして、府議会時代は、大臣、私は福祉の中川とずっと言われていたんです。それがなぜ国土交通委員でずっといようというふうに思ったかといいますと、ホームレスの雇用の問題とか、それから障害者の雇用の問題にずっと取り組んできました。結局、それを事業としてやっていけるような仕事を出せるところは一体どこだろうか、それはやはり公共事業なんですよ。公共に山ほどあるんですね。国土交通省には福祉雇用のネタが山ほどある。

 だから、公団、公団じゃないですよね、今機構住宅ですね、機構住宅なんかも、地区内の清掃は共益費でされておりますから、数百億円です。二百億円以上あると思います。どんな形でやっているか、発注の仕方はさまざまです。それから、一年間で十三万軒ぐらい入れかえがあるんですね、八十万軒のうち。そうすると、ふすまだけでも六十億円、かなりいい値段で特定の会社に出ています。

 僕は、特定の会社にいい値段で出すのが間違いやとは言わへん。それだったら、ふすま福祉工場をつくるから、ホームレスと障害者とで一緒の経営で就労訓練してやるから、そこへ発注してよというふうなことを、就業支援センターができたので、本気でふすま工場をつくろうかということを今やっています。あるいは、畳でも同じです。

 あるいは、道路公団であれば、春夏秋冬、ポイントポイントにはみんな花を植えかえてはるんです。この業者はどないになっているか。もう何十年も前から指定業者で、何かやはり大小、各種あらゆる利権の中に沈んでいるというのがあると思うんです。僕は、それを胸張って福祉に生かせと。そういう意味では、国交省は福祉雇用の宝の山だと。

 だから、私、議員をやっている間はずっとここにおったろう、それで福祉雇用のネタを掘り尽くすのが僕の仕事やというふうに思っておりますので、応援団を派遣していると思って、これからひとつ御認識をいただきたいというふうに思っておりますし、そのための受け皿を、やはりそうすると、いろいろな形で、大小さまざま受け皿を柔軟にしていただかないとなかなか難しいんですよ。そういう意味で、これはあきまへんか、これはどうですかと、いろいろなことをこれからもお聞きをさせていただきたいと思いますので、ぜひそういうときに柔軟に対応できるようなことをやっていただいたらありがたいなというふうに考えております。

 ぜひ、そういう意味で、私は、ホームレス問題もそうですけれども、障害者や高齢者の自立、就労ということについては、特にずっとこだわってやってまいりました。ですから、先ほどの会計法をどうやるか。大臣、御存じかどうかわかりませんけれども、大阪は、大阪府庁も大阪市役所も、それからありとあらゆる市と府の病院、これは全部今知的障害者が清掃をやっています。知的障害者が清掃するということが入っていなかったら入札できない仕掛けにしました。条例で決めました。

 そうすると、国の出先機関だけが障害者が働いていないんです。ちょっとけったいでしょう。だから、郷に入ったら郷に従ったらどないですかと去年も同じこの場所で坂口大臣にお聞きをしたんですが、やはり会計法があるんですね。

 そういう意味で、果たしてそんなことでいいんだろうか、それだったら地域の福祉雇用に協力をしてもよいというふうに考え方を変えた方がいいんじゃないのかな、そんなふうにも思っております。またこれはこれで決算か予算の分科会で御質問させていただきたいと思いますので、今後ともひとつよろしくお願いを申し上げます。

 いずれにせよ、ホームレスの方は優しく温かく、何とか地元は必死で頑張っておりますので、見守って御支援いただきますように心からお願いを申し上げます。ありがとうございました。