159-参-厚生労働委員会-13号 平成16年04月22日

 

平成十六年四月二十二日(木曜日)

   午前十時一分開会

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  出席者は左のとおり。

    委員長         国井 正幸君

    理 事

                武見 敬三君   藤井 基之君  辻  泰弘君

                森 ゆうこ君   遠山 清彦君

    委 員

          愛知 治郎君  有村 治子君  金田 勝年君  佐々木知子君

          斎藤 十朗君  田浦  直君  伊達 忠一君  中原  爽君

          南野知惠子君  宮崎 秀樹君  朝日 俊弘君  大脇 雅子君

          榛葉賀津也君  平野 達男君  山本 孝史君  木庭健太郎君

          井上 美代君  小池  晃君  西川きよし君

   国務大臣

       厚生労働大臣   坂口  力君

   副大臣

       厚生労働副大臣  谷畑  孝君

       厚生労働副大臣  森  英介君

   大臣政務官

       厚生労働大臣政務官       竹本 直一君

   事務局側

       常任委員会専門員        川邊  新君

   政府参考人

       法務省矯正局長  横田 尤孝君

       厚生労働省健康局長       田中 慶司君

       厚生労働省医薬食品局長     阿曽沼慎司君

       厚生労働省保険局長       辻  哲夫君

       社会保険庁運営部長       薄井 康紀君

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  本日の会議に付した案件

○政府参考人の出席要求に関する件

○結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出)

○薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出)

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○西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いいたします。

 私の方からは、本日のテーマであります結核の予防法

 まず、そのリスクに応じた対応、そしてまた地域格差の観点ということが午前中からいろんな先生方からの御質問にも出ております。特に、私の地元であります大阪の罹患率が大変高いわけですけれども、その要因の一つといたしまして住所不定患者の問題

 これは、大阪に限らず、東京、名古屋、大都会共通の問題であるわけですけれども、特に大阪はあいりん地域というところがございまして、これが問題でありまして、このあいりん地域には全国各地から仕事を求めて、こういう御時世ですから、日雇労働者の方がたくさん集まってこられるわけですけれども、雇用状況も大変厳しゅうございます。その中から路上生活を余儀なくされるという人も多いわけです。大変お気の毒な方もたくさんいらっしゃるわけですが、その結果、体調を崩し、免疫力も低下をいたします、そして発病。そういった意味では、予防対策はもちろんのことですけれども、そうした雇用の環境の改善ということも大きな課題ではあると思うわけですけれども、この地域格差。

 大阪選出の谷畑副大臣に是非、今日は御無理を申し上げまして御答弁をちょうだいするわけですが、どのようにお考えでしょうか。よろしくお願いします。

 

○副大臣(谷畑孝君) 西川先生御指摘のとおり、大阪の結核の罹患率というのは非常に高い状況でございます。全国平均が二五・八%でありますけれども、大阪市ということになってきますと七四・四%ということで、実に三倍も、非常に高いということでございます。

 もちろん、今、先生も指摘されましたように、なぜそういう高いのかということでありますけれども、これはやはり、大阪には西成区におけるあいりん地域ということで、全国でもホームレスの一番多い町になっておりますし、また、ホームレスだけじゃなくて、スラムというホームレスとも非常によく似た状況がありますけれども、いわゆるアパートに独り住まいというような、そういうスラム的形成をされておりまして、特に、若いときに結核菌を患いながら、若いころは体も元気ですからそれが感染しないというのか、抵抗力があるということでありますけれども、高齢化に伴って、アルコール漬けとか生活が不規則だとか、そういう状況によって結核になると。しかも、残念ですけれども、そういう不規則な生活の中で、早期治療だとか発見だとか、そういうことができないという状況の中で今そういう状況になっておると、このように思うわけでございます。

 今後、法律の改正によって、国やあるいは都道府県でその指針というのか、作られていくわけでありますけれども、その地域による実情に応じた効率のいい結核対策を強化をしていくと、こういうことにしていくわけでございますので、よろしくひとつお願いを申し上げます。

 

○西川きよし君 ひとつ細やかによろしくお願いしたいんですが、引き続き、こういった方々は、発病率が高い、そして発見が遅れるということでございます。そして、せっかく治療していただいても、すぐに治療をやめてしまう、途中でやめてしまう、こういう方々が大変多いわけですけれども、そういった意味では、早期の発見、早期の治療、そして何よりも完全に治すと、病気を治していただくということだと思うわけですけれども、大阪のあいりん地域の場合でも、重症で発見される患者さんが大変多いわけです。そして、合併症を持つ方、その大部分が、四十歳以上の方々が大変多い、そして四十歳以上で単身の方が多いわけですけれども、大阪市において、例えば仮設避難所へ入るときには健診を行うとか、あるいは、あいりん総合センター前で、月に一回ですけれども、住民の健診を行っておるわけですけれども、様々な対策を取っていただいておるわけですけれども、その成果もかなり出ているように思うわけですけれども、今回のこの早期発見対策の充実強化と、こういった点につきましてこうした地域では具体的にどのような対策を考えておられるのか、谷畑大臣にお伺いしたいと思います。

 

○副大臣(谷畑孝君) 先ほど罹患率をパーセントで述べたわけでありますけれども、これは人口十万人に対する数字でありますので、そのように理解をお願いしたいと思います。

 今、西川先生の指摘でありますけれども、今後どのようにしていくのかということですけれども、やはり若年者、昔だったら若い人たちにこの結核というのは多かったわけですけれども、今先ほど言いましたように、高齢者の方が非常に多くなっているということです。やがてこれは、危険なのは、この結核がまた若い人たちに巡回をしていくという、ここにやっぱり私どもは、そうさせてはならないというか、非常に早い、そういう意味では早い時期に発見をして、そしてやっぱり治療していくと、こういうことが非常に大事だと思っています。

 そういう意味で、日雇労働者に対しまして、夜間に簡易宿泊所等において移動健診車を移動しましてしっかりと健診をしていく。あるいは、ホームレスが一番たくさんおられるという公園ですね、大阪城公園でもそうですけれども、そういう公園へ出掛けて健診をしていくと。こういうことをしっかりとやはり、健診をしていくことが非常に大事じゃないかと、このように実は思っています。

 更にしっかりと取り組んでいきたいと、このように思っています。

 

○西川きよし君 どうぞ本当によろしくお願いしたいと思います。

 長野県などに比べますと、すごい、十二・五と七十四・四と、こんなに差があるわけですし、それに、そういった方々が抱えておられることといいますのは、早期治療、もっとものことでございますけれども、こういった方々は、例えば、自分自身の身分を明らかにしたくない、そういった方々もたくさんいらっしゃるわけですし、そういったところをどういうふうにすればいいのかなと。また、治療費の、お金の問題ですね。そして、治療を受けない人、ためらう人。例えば、せっかく治療を始めましたのに途中でやめてどこへ行ったか分からなくなってしまう。今、大臣もおっしゃいましたように、若い人たちにも大変多くなっている。若い人たちが夜遅くまで換気の悪いようなお店に出入りすることによってたばこをする、換気が悪い、そういったところでもそういった病気が出ているというような結果も出ているわけですけれども、早期治療、そして患者の管理、国と都道府県の支援がこれはもう大いに必要なんですけれども、そういった問題意識というものをまず健康局長にお伺いしたいと思います。

 

○政府参考人(田中慶司君) 大都市等の、大阪等の大都市においては、結核対策特別促進事業と、こういうのを活用いたしまして、直接服薬確認療法、DOTSというようなものによりまして早期治療を実施しまして、また、治療に漏れがないような適正な患者情報の管理を実施しているところでございます。

 こうしたDOTSによる早期治療の支援、それからこれに伴う適正な患者管理につきましては今後の結核対策の柱の一つと、非常に大きな柱の一つと考えておりまして、今回の改正案におきましては新たにこうした取組を法律で位置付けることとしたほか、都道府県において定めることになります予防計画においても必要な施策として位置付けまして、これに基づきまして計画的かつ効率的に実施していくことが必要であると考えているところでございます。

 

○西川きよし君 今、局長さんの方から御答弁に出ましたが、そのDOTSでございますけれども、患者さんが退院をされてから支援ということではなかなか難しいというふうに我々はお聞きするわけですけれども、やはり入院中の院内のDOTSによって、結核に対する患者さんに対する教育と申しましょうか、そういったことを徹底する。午前中からもこのDOTSについては大変いろんな先生方からの御質問も出たわけですけれども、あるいは服薬確認の習慣化、そして何よりも薬を飲んで病気を治すという意欲を持ってもらうということですね。そして、退院後の外来DOTSへうまく継続をしていくというふうにも思います。当然そこには、病院の医師とそして保健所と保健師さん等々の情報の共有化と申しましょうか、連携と申しましょうか、そういうものが大変重要になってくると思います。

 引き続き、こういった点について健康局長に御答弁をいただきたいと思います。

 

○政府参考人(田中慶司君) 先生御指摘のDOTSでございますけれども、平成十二年に、我が国の実情に合いました日本版二十一世紀型DOTS戦略と、こういう新しい対策が提言されまして、これを踏まえまして結核対策特別促進事業、これに、大都市における結核の治療向上事業、こういうようなメニューを追加しまして、その推進を図ってきたところでございます。

 自治体におきましては、保健所の保健師等が中心となりまして、入院期間中から、院内DOTSに引き続いて、患者が保健所等に来所しまして服薬確認を行います外来DOTS、さらに、保健師等が患者宅を訪問する訪問DOTS、こんなようなものが現在行われているところでございます。

 入院中の院内DOTSから退院後の地域DOTSへ速やかに継続するためには、入院中から保健所の保健師等が患者を病院に訪問しまして患者とのコミュニケーションを構築するとともに、医療機関の医師、看護師、保健所の保健師、ケースワーカー等によりますDOTSカンファレンス、こういうようなものを実施しまして、退院後を念頭に置いた治療方針の検討、各自の役割分担の決定を行う、こんなようなことが重要であると考えておりまして、この事業の実施要領におきましてもこれらの徹底を定めているところでございます。

 今後とも、引き続き、医療機関、保健所等関係機関の連携の強化に努めまして、DOTSの効果的な実施を推進してまいりたいと考えております。