52-参-社会労働委員会-2号 昭和41年07月26日

 

昭和四十一年七月二十六日(火曜日)

   午前十時四十四分開会

    ―――――――――――――

  

  出席者は左のとおり。

    理 事

                鹿島 俊雄君  丸茂 重貞君 佐野 芳雄君

                藤田藤太郎君

    委 員

                川野 三暁君  黒木 利克君 紅露 みつ君

                土屋 義彦君  山下 春江君 山本  杉君

                横山 フク君  大橋 和孝君 杉山善太郎君

                森  勝治君  小平 芳平君 高山 恒雄君

   国務大臣

       厚 生 大 臣  鈴木 善幸君

       労 働 大 臣  小平 久雄君

   政府委員

       厚生大臣官房長  梅本 純正君

       厚生省公衆衛生局長       中原龍之助君

       厚生省環境衛生局長       舘林 宣夫君

       厚生省医務局長  若松 栄一君

       厚生省社会局長  今村  譲君

       厚生省児童家庭局長       竹下 精紀君

       農林省農地局長  大和田啓気君

       労働大臣官房長  辻  英雄君

       労働省労政局長  三治 重信君

       労働省労働基準局長       村上 茂利君

       労働省職業安定局長       有馬 元治君

       労働省職業訓練局長       和田 勝美君

       建設大臣官房長  鶴海良一郎君

   事務局側

       常任委員会専門員        中原 武夫君

   説明員

       建設省住宅局住宅建設課長    沢田 光英君

    ―――――――――――――

  本日の会議に付した案件

○社会保障制度に関する調査

 (厚生行政に関する件)

○労働問題に関する調査

 (港湾労働に関する件)(黒磯町のガス中毒事故及び一酸化炭素中毒症対策に関する件)(不当労働行為に関する件)

  〔理事佐野芳雄君委員長席に着く〕

 

○理事(藤田藤太郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。

 労働問題に関する調査を議題といたします。

 まず、港湾労働に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は順次御発言を願います。

 

○杉山善太郎君 私のいただいておる質問時間は、おおむね往復で一時間ということでありますので、きわめてはしょって、急行列車で走らざるを得ない宿命に置かれておる、こういうわけであります。

 最初、労働大臣に、たとえば先月の二十三日の時点だと思いますけれども、七月の一日から港湾労働法が動き始めるという展望の上に立って、でき得べくんばうまく一人歩きができる、そういうことを願いつつも、しかし非常に心配があったわけでありますので、あの時点で若干の質問をいたしたわけでありますが、どうも杞憂が当たりまして、たとえばお気づきの点であるかどうかは別として、たとえば労働大臣は、これは二十一日の、今月の二十一日ですが、朝日テレビが、港湾労働法は泣いているというタイトルで、一応それなりにテレビに大写しに出ているわけです。また、二十四日の朝日の社説で、港湾労働法を軌道にと、こういうわけでとらえておるわけでございまして、いまのうちはこれでいいのでありまするけれども、よほど発想の時点において、たとえば先回、六月の二十三日の時点で、若干の質問に対して、労働大臣はそれなりにこの港湾労働の問題についてやはり相当な理解と感覚を持った答弁を、私、議事録を見て、これならばだいじょうぶと、そういうふうに受けとめておったわけでありますけれども、いま申し上げたような杞憂があるのだということで、きょうはかれこれ港湾労働法が発足して一カ月という時間が経過しておるわけでありますので、そういう関連の中で、きわめて具体的な問題を提起しながら若干の質問をすると、こういうわけでありまするので、お聞きいただきながら、主として職安局長なり、関連の労働基準局長からいろいろアドバイスをして、ひとつはしょって質問をしますから、勘で受けとめていただいて、十分お答えを親切に答えてもらいたい。そういうような注文をつけているわけであります。

 最初は、御承知のように、七月の一日から港湾労働法が実施されておるわけでありまするから、六大港における具体的な登録の状況というものを港湾別にかいつまんでひとつお聞かせいただきたい、そういうふうに考えておるわけであります。これは職安局長から。

 

○政府委員(有馬元治君) 七月の二十三日現在で、六大港の、最初合計で申し上げますが、日雇いの港湾労働者の登録数は一万八千七人、それから常用の分は四万九千九百五十八人、合計いたしまして六万七千九百六十五人、これは調整計画に定められました定数に対しまして約八四%になっております。そこで、港ごとの内訳でございますが、よろしゅうございますか。

 

○杉山善太郎君 ええ、言ってください。それが基礎ですから。

 

○政府委員(有馬元治君) 東京港は、定数が、日雇いは定数が三千二百五十名に対しまして千八百三十名、横浜は六千三百八十名に対しまして四千四百三十六名、それから名古屋が二千七百七十名に対しまして千五百四名、大阪は五千六百八十名の定数に対しまして四千四百四十一名、それから神戸港が七千七百五十名の定数に対しまして二千七百二十一名、それから関門が、下関と両方合計いたしまして、定数が四千八百八十名に対しまして三千七十五名、この合計が先ほど申しました三万七百十名の定数に対しまして一万八千七名、以上が日雇いでございますが、常用のほうは、東京が七千三百九十名に対しまして六千百六十四名、それから横浜が二万一千百七十名に対しまして一万五百五十四名、名古屋が五千九百六十名に対しまして五千七百九十名、大阪が一万九十名に対しまして八千六百九十六名、神戸が、これは非常に定数を上回っているわけですが、定数は九千六百六十名に対しまして一万二千六百九十一名、関門が六千二百名に対しまして六千六十三名、合計いたしまして五万四百七十名の定数に対しまして四万九千九百五十八名、要するに、常用のほうは大体定数どおりになっておりますが、日雇いのほうが三万名の定数に対して一万八千、約六割の状態で、全体を平均いたしますと、先ほど申しましたように八四%が登録を完了しておる。以上のような登録数で、港湾の荷役の状況がどうなっておるかという問題でございますが、今日の荷役の状況を見ますと、いま申しましたような港別の常用、日雇いの登録数でもって、大体まあ普通の荷役は処理をしておると、こういう状態でございます。なお、定数と登録数の間に若干の開きがございますが、これは先生も御承知かと思いますが、いままでの港運統計の数字がなかなか実態を反映しておらなかった。むしろ実際よりも上回った数字が港運統計の数字になってあらわれておる。これらの既存の数字を基礎にいたしまして、荷役料その他から定数をはじいた関係で、初年度におきましてはズレが出てきておる、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。

 もう一点は、倉庫業の適用の問題がまだ懸案になっておりまして、近く倉庫業につきましても港湾労働法の適用をしていこうと、こういうことでいま調査を進めておりますが、これが適用になれば約七千名程度の登録労働者が日雇いの形でふえてまいります。そうしますと、大体まあ私どもが想定をいたしました定数にほぼ近い数字になりますので、これで登録数としては大体まあ目的を達するんじゃないか、かように考えております。

 

○杉山善太郎君 その関連で一つ確認しておきますけれどもね。その港湾労働者の定数というのは、中央港湾調整審議会の答申に基づいて労働省がやはりおきめになっておると、こういう確認でその定数はよろしゅうございますね。

 

○政府委員(有馬元治君) そのとおりでございます。

 

○杉山善太郎君 それで具体的な問題で、たとえば国営港である神戸をとらまえてひとつお聞きしますが、神戸の場合は常用登録港湾労働者が定数よりも多い。それから日雇い登録労働者が定数よりもはるかに少ない。これは常用化するという法の精神からいけば、その現象面だけは平面的には喜ばしいことであるが、その裏の事情からいきますと、たとえば事業主が、どうも港湾労働法というものを発想の時点から、自由な意思によって自分のものを自分で雇うというような従来のわがままといいますか、自由主義的な一つの変則的な考え方の中で、まあしちめんどうくさいものが出てきたんだというわけで、たとえば新常用というような字句が使われておりますけれども、実は臨時雇いであるとか、試用期間であるとかいう、そういう形で、われわれのほうでは、私どもの考えではこれを擬装常用と言っておりますが、こういう疑いが多分にある、したがって、そういったような問題について労働省はやはり出先の職安なりその他を通して実態を把握しておられるかどうか。なければいいんですが、それが杞憂であればいいのですが、あるとすれば、これをどういうようなふうに行政指導をしていかれるかどうか。この辺は私どものうかがい知る限りでは、六大港の中で比較的予期したような形で順調なすべり出しをしておるというのは門司港だけで、あとは非常に困難性が内在しておると、こういうふうに聞いておるわけですが、その神戸の場合、その辺のことについてひとつ具体的に調査しておられるか、それとも、今後これはどういうふうに指導していくか、その辺のところをとらえていただきたいと、こう思うのです。

 

○政府委員(有馬元治君) 神戸港につきましては、杉山先生御指摘のように、常用が定数よりも約三千名上回っております。これは、船内荷役の期間労働者、これがおおむね常用に切りかえられておる、こういう状況でございますが、私どもも予想に反して常用化が非常にまあ進み過ぎておるという感じすらいたしますので、御指摘のように擬装常用ではないかというふうな懸念もございまするが、私ども現在のところ港湾労働法の施行事務に忙殺いたされまして、この一万二千六百九十一名の常用労働者の雇用関係が擬装であるかどうかというような実態調査までまだ手が回っておりませんが、近いうちに、擬装常用の御非難もあるようでございますので、実態を調査いたしました上で業界を積極的に指導してまいりたい、かように考えております。

 

○杉山善太郎君 これはね、非常にまあ通念上、神戸だとか、国営港の定期船の集中の港だという関係で、いろいろと例を、データを私持っておりますけれどもはしょって申し上げますが、こうなんですよ、実情は。私どもの把握している実情はですね、七月一日以前に新常用と名のつく社内臨時をふやして登録を拒否しようと。このことをおそらく表面的に押えられれば、そんなことはないのだ、うそだ、それは痛くない腹を探られるのだと言われるのでしょうけれども、実際はおかしいというとらえ方をして、われわれのほうがいろいろ調べたり聞いたりしておる。また、私のほうへ出てきているデータでは、たとえばこういうわけなんです。神戸の船内業に例をとれば、毎日、二百三十九口かける二十人イコール四千七百八十人を必要とするが、現在は四千五百九十人、このうち二千人近くは新常用と思われる。言うならば擬装雇用だと思われると、こういうわけです。こういう各社で雇い入れておる状態というものは、ワンギャングですね、一ハッチでやはり大体十九人とすれば、実際は二十人以下の場合が多いわけでありまするけれども、トータルの数字は、二百三十九口で四千五百九十人でも余るのです。したがって、神戸では船内の求人は申しわけ程度である。船内荷役の場合の求人は非常に少ない。これは、七月一日以前の登録から逃げるためにそれぞれ新常用にしたものであって、その意図はまことに法に対して反抗的であり、非協力的であるのだ。そういうふうにとらえておるわけであります。この新常用がほんとうに調査検討した結果、真の常用であるとするならば、これは法のたてまえからいって臨時工やあるいは試用工が常用化されるのですから、これはまことに喜ばしいことであるけれども、事実はそうでないと思われるふしがあるので、厳重な調査をしてほしいのだということを言ってきているわけですよ。その結果、真にその常用でないというならば、いわば擬装常用であるとするならば、十分行政指導でその職安登録に戻してもらいたい。真に常用ならば定数の改定が問題になるじゃないか。むろん定数は、やはりこれは中央の港湾調整審議会で、労働省が答申を受けられて、いろいろな経験やデータが出た上というふうにきめられているわけでありますから、その辺のところを考えて、また求人制限というような問題に関連しても、大体四千五百九十人でやっていくならば、オールナイトであるとか、現場交代であるという長時間労働というものや、それからその関連の中でやはり労働の強要というものが起きてくるわけであるから、したがって、かりに八時間労働だという形で行政指導しても、その辺のところから、非常に過酷な労働ですから、労働者の疲労度が非常に多くなってくるから、この辺も十分労働基準の面その他で、これはたとえば出先の関係機関の職安もあるし、労働基準局もあるし、海運局もあるという形で、十分意見を総合してこれを改善してもらいたいのだということをまあ言っておるわけでありますが、実際に真の常用であって擬装じゃないのだという場合の材料があれば、これはまた何をかいわんやでありますが、そういう例もあるわけですから、その辺の点について局長のお話によれば、大体まだ具体的に立ち入って実態把握の調査はしていないのだというようなことを言っておられますが、そういうことを言ってきておるので、私の申し上げたようなデータもあるのでありますから、ひとつこの問題に関連して、職安局長や基準局長からお答えいただければけっこうだと思います。

 

○政府委員(有馬元治君) 神戸の常用の問題は、御指摘のような懸念も若干ございますので、私どもとしましても擬装常用ではないかという観点から、今後引き続き実情を調査してまいりたいと思います。ただ、まあ港湾労働法のねらいからしますと、常用の促進という大きなねらいがございますので、ほんとうの意味の常用雇用であるならばきわめて好ましい傾向だと思います。その際、雇用関係の継続性、あるいは従来、切りかえ以前の賃金条件との比較、そういった点を中心に、まあ私どもも実情を調査した上で、この傾向がほんとうに好ましいものであるかどうかということを判断して、所要の指導が必要であればそれを行なうというふうにしてまいりたいと思います。

 

○杉山善太郎君 何か関連して基準局長のほうから、神戸の港湾労働の実情について、非常にまあ擬装雇用と関連して、やはり労働基準の問題に関連して、いろいろ問題があるのだと言ってきておるわけですが、その点は全然御懸念はありませんか。

 

○政府委員(村上茂利君) 港湾労働法の施行以来、現地の労働基準監督署といたしましても、職業安定所とタイアップいたしまして、労働基準法の観点から、いろいろな指導監督を加えております。御指摘の神戸におきましては、いわゆる免許を受けておる事業場数三百六十一社というふうに私どもは押えておるのでありますが、それらの会社の労働条件等につきましては、監督指導という形で調査もし、実態把握につとめておるところでございます。労働時間についてもいろいろ問題がございます。ただ、先生いま御指摘の擬装雇用であるかどうかという点につきましては、常用か日雇いかの区別の問題はございまするが、労働基準法上はいわゆる常用といったような考え方とやや趣を異にいたしまして、御承知のように、労働基準法二十条の解雇の予告の問題に関連して問題が出てくるわけでございます。そこで労働基準監督署といたしましては、港湾労働法適用上の常用雇用の問題とは別に、労働時間、賃金その他の労働条件につきまして、監督指導の面を通じまして、いろいろ実態把握しておりますが、たとえば労働時間について申し上げますと、船内荷役と沿岸荷役につきましては、その状態が非常に異なっておりまして、沿岸荷役でございますと、たとえば労働時間が午前八時から午後五時といったような形態が多くなって、残業も月平均一人当たり時間に直しますと約二十時間といったような結果が出ておりますが、船内荷役につきましては、いわゆるワンデー計算によるもの、あるいはオールナイトといったような通称で言われております徹夜作業といったような場合にはかなりの長時間労働が存在するわけでございまして、しかもその労働時間が、実働時間であるか、待ち時間、休憩時間はどうなっておるかといったような組み合わせが非常に不明確でございまして、今後、監督指導上特にこの点は明らかにしなければならないと存じております。そしてそのことが、ひいては賃金計算の際に割り増し賃金をどうするかといったような場合におきまして、実働時間が何時間で、休憩時間が何時間であるといったような関係が非常に不明確でございまするがゆえに、割り増し賃金の算定なども非常に困難を感じておるような次第でございます。これらの問題についても、労働時間管理の基本を正す必要があるというふうな観点から、さらに一そうの指導監督を進めてまいりたい、かように存じております。

 

○杉山善太郎君 大阪の場合について若干お尋ねしておきますが、大阪の場合は、従来の手配師が配下の労働者を特定の会社に送り込み、臨時とか、試用期間中とかいう名目で、その会社から日雇い登録として登録させているのが多いと聞いておるのですが、そんな実情が実際にあるかどうか、その辺についても一応お答えいただきたいと思うのですが、その辺の事情はどうでしょう。

 

○政府委員(有馬元治君) 御指摘のような日雇い登録労働者として登録されておる者が、さらに手配師の手を通じて紹介といいますか、就労しておるという事実は私まだ報告を受けてないのでございますが、手配師が介入しておるとすれば、登録以外の、いわゆる大阪であれが釜ケ崎地区から募集をしてくるというような場合ではないかというふうに想像いたしますが、御指摘のようなケースはちょっと私まだ報告を受けておりませんです。

 

○杉山善太郎君 まあ偽装常用だとか、偽りの登録は、いうならば港湾労働法の精神を無視、じゅうりんをする、それだけではなくて法律の目を破ろうとする悪意に満ちた非常に不徳な行為だと、こういうふうに判断せざるを得ないのでありますが、この問題に関連をいたしまして、具体的に、まあ雇用調整課長もそこにおられますけれども、去る七月七日に全港湾の代表や、さらに全港湾の系列下の六大港の代表者が集まって、それなりに雇用調整課を窓口にして、いろいろと実情を訴えたり、意見を言ったり、大所高所からこの問題を配慮してくれ、こういうふうに言っておるわけですが、その後どのようにこれを受けとめ、また消化しておられるか、大体そういったような問題についてひとつお答えを、どなたからでもいいのですが、職安局長から、できるならひとつお答えをいただきたい、こう思うわけです。

 

○政府委員(有馬元治君) 港湾労働法の全面適用をめぐって、いろいろな現地的な問題がございますが、これらにつきまして全港湾とも絶えず接触をいたしておりますし、組合からの御指摘につきましては、そのつど第一線の安定機関を督励して所要の指示をいたしております。問題は、御指摘のように港湾労働法を骨抜きにしようという考えが一部の業者にあるように見受けられるふしがございますので、これらにつきましては、徹底的に指導を加えますと同時に、どうしても改まらないという場合には十分調査の上で厳重な取り締まりを行なってまいりたい、かように考えております。

 

○杉山善太郎君 神戸、大阪、次は名古屋というような形ではしょって、問題点を提起しながらいくわけでありますが、職安の行なう紹介業務というのは、いうならば中央職業安定審議会の答申に基づいて、労働省は、あるいは職安局は、しかるべく実施されておると思うのでありますが、たとえば紹介は、日々輪番紹介が原則であると思うのです。で、職安の行なう指名紹介は特別の場合に限ることにするよう答申されておるわけでありますが、名古屋では、従来の手配師であるとかあるいは港湾事業者から下請的な慣行で請け負っておるところの組のボスが、日雇い港湾労働者の登録手帳、いうならば青手帳を一括まとめて、そうして職安の窓口に届け、ボス連中は職安構内で大手を振って、やっぱり何かあたかも職安公認の連絡員であるかのごとき顔をして横行している。こういう実態があるわけでありまして、したがって、現実の問題として、六大港のうちでも国営港の最右翼であるとか、あるいは地方港の典型的な港であるとかいうところに、いまなおやはり手配師やあるいはボスというものが横行している。しかも具体的には職安の事務室に入って、そのうしろで手配師が、職安でいろいろと仕事を、登録で呼び出されてくる連中に対して、いろいろ手まね、足まねで合い図しているのだ。それで実際は職安の七月一日以降の窓口賃金は、大なり小なり賃金ダウンされておる。それはいろいろな事情もありましょうけれども。ところが、窓口ではそうであっても、それらの手配師が、それからボスが、若干、おれのところにこいという形で、いうならば門前雇用であるとか、あるいは未登録者も連れていくのだというような事実が、これは具体的に名古屋にそういう問題が非常にあるといったようなことになっておるわけでありますが、その点はひとつ真実を、なければない、あればあるということで、これは調整課長でもけっこうですし、その実態があるかないか、その点についてお答えいただきたいということを一つ。この問題は、あるなしのせんさくではなくて、この辺が、実はきょうはできる限り、運輸大臣も所管の運輸関係の局長も来てもらって、大体手配師が横行するとか、連の事業ボスがいろいろ一括して青手帳なるものをもってやるということについては、その背景をなすものは要するに事業主です。そういったような点であるから、これは港湾運送事業に対して許認可を持つ元締めは運輸省であるし、さらについこの間、先国会では、例の港湾運送事業法の近代化がなされておるわけだけれども、それが仏つくって魂が入らず、そういうような点について、これは非常に問題がある。だからやはりマスコミュニケーションは、港湾労働法は泣いているとか、あるいは軌道に乗っていないから軌道に乗せるということは、大臣もおられるわけでありますけれども、要するに、港湾産業の振興とか近代化というものは、煮詰めて言うならば、やはり港湾の施設や、それから技術面における荷役機械の近代化も必要でありましょうけれども、港湾運送事業の近代化というものと港湾労働の近代化というものが、両々相まってバランスの上に立ってこれがうまくいかなければ、港湾産業の振興ができるはずがないし、近代化はできないのだ、こういうわけですから、きょうは港湾局長が理事者や委員長代理の心配によってこられることになっておったんだそうだけれども、逃げられたわけじゃないだろうけれども、他に先約があってこられないから、他日問題をえぐり出すということにしますけれども、そういうことに関連して重大なところですから、ひとつ。

 

○政府委員(有馬元治君) 御指摘のような手配師の横行の場面が、私は聞いておりませんけれども、現場においてあるいはあり得るんじゃないかというふうな予想もできますので、かつての手配師が、会社側の立場においてでも従来の顔によりまして港の安定所の庁舎の内部のほうに入って、そして窓口で各種のサインをしていろいろと工作をするというようなことが、あるいは起こり得ることだと思いますので、これは厳に第一線を指導して、そういうことのないようにいたしたいと思います。また安定所の構内におきましても、そういう手配師の活動の余地があり得るわけでございまして、切りかえ当初におきまして、大阪等においても手配師の暗躍が一部あった、そして賃金をいままでよりも低めておいて手配師の裏金操作によって誘導されるというふうな場面が二、三報告されておりますので、この点は十分第一線を督励して、そういう横行の余地のないようにいたしたいと思います。なお、港湾運送事業法の話がございましたけれども、この近代化によりまして、運輸省との関係もきわめて円滑に、まあ先生方、去年あたりは非常に運輸省が協力しないというふうなおしかりがございましたが、私どもの目から見ますと、非常に積極的に運輸省も港湾労働法の施行については協力をいただいておりますので、その点は私から最近の事情を申し上げて御了解をいただきたいと思います。

 

○杉山善太郎君 どうも職安局長は言い回しが上手なんだけれども、ぼくは言うには、大体、日本の海運の実態であるところの船主協会だとか、港湾事業者というものがほんとうに、たとえば総理府に港湾産業の近代化というものの答申が、そういうスタッフができて、そして港湾労働法等ができた時点からいくならば、ほんとうは船主なり荷役作業をもっぱら請負っているところの海運運送事業者が、ほんとうに港湾労働の近代化や施設の近代化というものを身につけて姿勢を正すならば、大体問題の根源は、やはり手配師にしても、ボスにしても、それらが横行の余地はなくなってくるはずなんですよ。したがって、この前もこの法律ができるときに、運輸と社労の連合審査会でいみじくも言っておいたわけですけれども、たとえば神戸あたりの組織暴力につながる、つまり大きなボスは、おれたちは何だかんだといっても運輸省から天下のお墨付きを持っているんじゃないかといったような、いわゆる漫画時評も出ているのです。したがって、そういうものはかりに認可してあったって、お上をおそれず、いろいろな違法行為をやるなら、免許を規制してどんどん取り上げていくのだ、一々運輸省がそれを番人しているわけじゃないのですから、港湾労働法ができた限りにおいては、職安なり労働基準局なりが、たとえば職業紹介停止に値するとか、労働基準法で違反であるとかいうことを摘発された場合には、間髪を入れず免許規制をやるとか、免許停止をするとかといったような歯車がかみ合ってこなければ協力じゃないでしょう、実際問題は。ぼくは率直に、歯に衣着せず、ずばり申し上げますが、いまなお運輸省においても業者においても、だからやはりテレビや朝日の社説あたりがいろいろと言っているが、言っているうちはいいのですけれども、港湾労働はあきまへんというような形になってくれば、これは幾らかみしもを着た国の法律であり、権力の背景にあると言ったって、実際うまくいかぬということをわれわれは杞憂するから、運輸省と表面的にはどうもうまくいっていないなんということは言えもしまいでしょうけれども、実際はそういう点を真剣に、大臣よくこの辺のところをひとつ聞いておいてください。

 それから、これはなお重要なことだから申し上げますけれども、こういうふうな港湾調整審議会で答申があって、それに基づいて港湾の定数というものを登録されるということは、裏を返せば、いわゆる港湾労働者の就労権を保障するということに値するわけですよ。港湾労働者の就労権を保障する限りにおいては、たとえば七月一日からどういう理由があろうとも、どういう言いわけがあろうとも、七月一日以降に、七月一日以前のような賃金ダウンをするということが、社会通念から言って、その地域の労働者の利害をまじめになって求めるところの労働組合があろうとなかろうと、労働条件が維持され改善の方向に動かなければならぬものが、そういう労働条件が、たとえば賃金面でダウンするということは、はなはだそういうことを黙認しちゃいかぬですよ。実際問題から、現実にそういうことがあるとすれば、その辺のところから、一体どういうふうに行政指導をしておられるか、また行政指導をしようとしておられるか、これはひとつ私は時間もありませんので、いろいろたくさんこの問題については一ぱい言いたいことがあるわけでありますけれども、その辺の問題について、たとえば、今日最低賃金法に関連してあるところの業者間協定でも、ILOの賃金条項に関連して問題が出てきて、全国一律という問題、もちろん陸上の問題と海上労働、あるいは沖仲仕の問題の特殊性がありますけれども、それにしても、こういう就労権の保障と、その中身であるところの労働条件の問題、賃金の問題などは、これは職安の窓口に、事業主が求人を申し込んできた、それが一方交通で、それが一つの窓口賃金でというようなことははなはだ問題があるのだというふうに考えるわけでありますので、職安局長と、それから基準局長はその辺のところを、就労権の保障の問題と、それから賃金が実際下がっているんですよ。そういう問題は非常に問題があるので、その辺をひとつとらえて見解を表明していただきたいと思います。

 

○政府委員(有馬元治君) 港湾労働法の施行に伴って賃金が下がるということになれば、これは非常にゆゆしい問題でございますので、七月一日以降、各港の賃金については十分調査をしてまいっておりますが、二、三何といいますか、ダウンをしたような事例がございます。神戸港と大阪港についてその例がございますので、私どもとしましては、さっそく事業主に対して積極的な指導を行ないまして、大阪においても、これは主として沿岸の有技能労働者についてそういう傾向があったわけでありますが、業者間において協定を結ばせまして従来の賃金水準まで回復をさせる、こういう積極的な指導をいたしました結果、今日においてはそういった現象はなくなってきております。今後においても、登録制によって供給源はこの登録労働者だけに限られるわけでございますので、賃金条件等については十分指導も加えながら切り下げられることのないように監視をしてまいりたい、かように考えております。

 

○政府委員(村上茂利君) 御指摘の中で賃金が従来よりむしろダウンしたのじゃないかという点につきまして、私どもそのような情報を耳にいたしました。その間の実態につきましていろいろ調べてもらったのでありますが、いま職業安定局長から答弁いたしましたとおりでありますが、ただ、私ども問題にいたしておりますのは、労働時間と賃金との関係がどうも不明確である。先ほども申し上げましたように、船内荷役と沿岸荷役ではその態様が違うのでありますけれども、賃金がたとえば手取り千三百円というように手取りの額をまず先に置きまして、それから所要経費の控除を行なって、そして基本賃金幾らといったような、手取り賃金を先にきめまして逆算するといったような形におきまして労働時間を考えざるを得ないという、賃金と労働時間との結びつきが明確でないところから、時間外労働分を除いたとすれば幾らになるかという問題がございまして、単純に労働時間を抜きにいたしまして、賃金の多い少ないを直ちに判定できないといったような問題があるところに、私どもは十分注意いたしまして、こういった問題についても適正な指導を加えなければならぬ、こういうように考えておる次第でございます。

 

○杉山善太郎君 時間もどんどんと流れておりますので、はしょって質問をいたしますが、今後のこともありまするので、一応質問の柱を申し上げておきますが、たとえば業者が七月の一日を期してほとんど一斉という形を、期せずして一斉であるかどうかは、また意識して申し合わせしたかどうかは別として、とにかく結果から見た現象では、七月一日以前と七月以降というものになると、現象面で賃金ダウンされているということは、客観的な事実として、私はそれに対して多くのデータを持っているわけですが、一応そういうことがあるということ、それから業者が求人申し込みを極力制限しておるのだ。しかし、実際はその偽装常用とか、あるいは臨時試用のいわゆる試用期間であるとかという形で、いろいろとこれが非協力な面という、そこでそういう事実があるのだということ、もちろんこれに対してはいろいろなデータを持っているわけですが、これを柱として前に進んでいきます。それから、依然として門前雇用や未登録労働者の雇用が行なわれているのだ。したがって、この限りにおいては、港湾労働法の十六条の、これは常時に実際はこれを利用してはいけないものがやっぱり恒常化しようとしている。尻抜けになろうとする憂いがあるのだということを、現象面としてとらえるのだというようなことまで含めておるんですが、そういうことがあり得るのだということについて、われわれのほうも一生懸命、これはいいことじゃないのですから、十分これも調査もし、そういうようなふうに努力をするように、われわれはわれわれの系列のわれわれの仲間といいますか、ひとつ政府当局においても十分これはやはり運輸省と労働省とが話し合いが噛み合った形の中で、あるいは手広く意識的に悪意みたいなものはその証拠を提示するとか、あるいはいろいろな方法で運輸省と連絡して免許を規制するとかいったような、前向きで弾力的に前進するような配慮を、そういう法律には条文がないから、それはだめだとか何とかというかっこうで、今後そういうことを必要とするならば、できたばっかりでありますから、修正ということもありますけれども、今日的な段階ではどうしてもこの港湾労働法の近代化であるとか、あるいは港湾労働者の生活とか、福祉とかという問題に関連して、なかったときよりもあっていいのだということと、その関連の中で港湾登録労働者が手配師から水をさされて、いわゆる事業ボスにいろいろと誘惑をされてもやっぱり登録してみてうま味があるのだ、どうもやはりそれが常用工でないにしても、登録労働者はどうも先が明かるい。だから類が類、仲間が仲間をもって人を集めるようにしないと、幾ら職安でうまいこと言っても、幾ら行政指導したって、本人がそっぽを向いてしまうというようなことじゃ、やはり実際において――やっぱり、だから私は港湾労働のような行動性の多い労働の需給関係については、せっかくできた限りにおいてはこれをうまく活用して、善用してもらうようにひとつやってもらわなければ困るのだということを申し上げておきますが、これはもう一つ現実の問題として、これは現実の矛盾であり、いずれ近い将来には解決しなきゃならぬ問題だと思いますけれども、現在の雇用の立場、冬なら冬、正月なら正月、ほとんど一年というものを見越して考えてみた場合に、たとえば港湾、もちろんこれは日雇い港湾登録労働者が職安に申し込んだんだ、申し込んだんだけれども、労働条件の問題だとか何かについて、自分がかりに前に働いておった賃金より安い場合には、自分はこれはどうもいかぬのだ、断わるといったような場合、ずっと番がかわってきますというと、自然に職安はやはり背に腹はかえられないから、失対労働者、港湾労働法に基づく登録労働者ではないけれども、失業対策の登録している労働者がそこに配転をされていくという現象面が、好むと好まざるとにかかわらず起きてくることが現実にあるわけですが、しかし、いずれにしてもこれは港湾登録労働者にはアプレ賃はそれなりにあったにしても、なかなかそれらを求めて、自分が、生活が物価などの関連において豊かであるとか、幸いであるというわけにはいかぬので生活が苦しい。ところが、一応、政府の直轄の職安の門を通して同じ現場で仕事をしても、一方のほうは、港湾登録労働者のほうは就労権もあるし、非常に港湾労働であたたかく迎え入れられなければならぬ。年末や越年については、失対労働者の登録のほうは同じ登録網を通っておっても、一方は自治体なり国から一応の一時金だとか越年資金というものが配慮される。こういう点において、やはり相当うま味が欠けてくる。これはやはり筋論から言えばいろいろな一理一害があるでしょうけれども、現実の問題として、一体この辺をどう調整し、どう配慮していかれようとしているかという問題についてひとつお答えを願いたいということと、もう一つは、これに関連をして、港湾労働者の、先ほども申し上げたように登録ということは、就労権の保障でなければならぬし、就労権の保障である限りはその労働と質に見合った、密度と質に見合った賃金が保障されなければならぬ。そういう限りにおいては、やはり港湾において、中央、地方で一貫した姿の中で、たとえば事業者の団体であるとか、港湾労働の労働者の団体とか、とにかく原則的には公正なる労使関係の上に立って、やはりこれらの労働条件というものを十分配慮して、これを一つの定着した軌道の上に乗せていくような、やはりもう諸外国であるわけでありますから、そういう面についてこれが軌道に乗ってうまみが出てくる、そういう状態で、いま労働省の中にあるいは考えがあるのかないのか、全然そういうことは考えていないのだ。やっぱり需給関係は雇う者の意思によってきめた賃金で紹介して、場合によっては労働条件が依存率が下がってもやむを得ないとか、あるいは勤務の状態によってはどうも労働時間が、就労の配慮しがたい特殊性があるだけに、その特殊性というものを配慮した上で、いま申し上げたような具体的な問題として、法律の全体としては円滑な実施は港湾ごとに労使団体の対等の立場で、たとえば労働条件の決定機関であるとか、協力関係機関というものが必要だと思う。そういう面について、政府はしかるべき創意性とくふう性をこらして、近い将来に外国その他の例を収集しながら、これを検討、配慮していく見解があるのかどうかといったような点にも、ひとつ今日的な時点で見解をお答えいただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 

○政府委員(有馬元治君) 第一点の夏期、年末のボーナスの問題でございますが、これは非常に主張はよくわかるのでございますけれども、国がこれらのボーナスを支給するということになりますと、これは筋論として雇用関係に立たない状態でございますので、そういう支給は国としてはできない、こう言わざるを得ないんでございます。ただ、港によっては日雇いの港湾労働者についても、夏期、年末のボーナスが支払われておるという過去の実績もございますし、今後この種の登録労働者に対して夏期、年末のボーナスは使用者側の荷役業者において何がしか出していこうという空気が漸次出てくると思います。私どもとしては、そういった労使間の交渉でもってこのボーナス問題を解決していただきたいというふうに考えておるのでございます。なお、第二点の問題といたしまして、賃金の今後のきめ方の問題でございますが、これは昨年港湾労働法を御審議いただきました機会にも、こういった登録制がとられて日雇い労働者が集団化するということになれば、今後の賃金のきめ方としては、やはり港ごとに労使の統一交渉的な方向で賃金がきまっていくんではないかというふうな予測を申し上げたと思いますが、私は今後そういった形で賃金がきまっていく、そして、いままでのようなばらつきといいますか、大きな幅はなくなってくる、平準化していくという傾向が出てまいると思います。その際、役所としてどういう立場で賃金のあり方に臨むか。これは原則としては介入しないたてまえでございまするけれども、私どもの職安機関としては、荷役に必要な労働力をたえず確保しなければならないという使命が一方においてあるわけでございますので、やはり賃金条件はたえず改善をしていかなければ港湾労働者の確保はおぼつかない、こういう状態でありますので、賃金条件の改善等については十分関心を払ってまいりたいと思いますが、積極的な介入は避けてまいりたい、かような基本的な態度で臨んでまいりたいと思うわけでございます。

 

○杉山善太郎君 これは港湾労働や港湾産業の波動性というものと関連をして、なかなかほかの労働基準法に基づいて賃金制の問題を処理することはむずかしいと思いますけれども、行政指導の限界からいけば、所管はやっぱり、この問題がいまは即、板についていなくても、これはもちろん港湾労働法そのものは賃金不介入の原則で大体たてまえが立案されていることはわれわれも了承しておりまするけれども、発想の時点においてそうであっても、これが定着して、ほんとうに有終の成果をなすためには、やっぱり物と人と財力との相関関係で、人間が気力を持って労働に取り組むという態勢が整備されなけりゃ、それはやっぱり賃金なり諸手当だと、こういう問題になるわけですから、ひとつ基準局長から何かそれに関連して御意見があれば、あるいは所信があればお聞かせいただきたい。なければいいわけですが、ひとつ。

 

○政府委員(村上茂利君) 労働条件一般の問題につきましては、基準法で定めております労働時間、休日あるいは休業手当の支給といったような問題につきまして、かなりの問題があることは先生御承知のとおりであります。労働基準局署におきましては、このような法違反につきましては、単に労働基準法の面からする監督のみならず、これらの違反は今後港湾労働法によります紹介停止という行政処分にもつらなるわけでありまするから、そういった基準法違反の効果が、基準法上の罰則の適用と、他面におきまして紹介停止という、営業の運営そのものに影響をもたらすような行政処分も伴うということからいたしまして、法順守の意識をさらに高める非常な適切な機会であるというふうに存じておるようなわけでありまして、今後こういった法定基準の順守につきましては、さらに一そう監督指導を強化してまいりたいと考えております。ただ、賃金の額そのものの決定機能は法的にございませんので、法的には、いわゆる最低賃金という手段によらざるを得ないのであります。現在、日雇い労働者で平均賃金の算定が困難であると認められる場合につきまして、労働省告示で平均賃金の額を示しておる例がございます。これとても国内労働者の職種別賃金の実態調査の結果に基づきまして算定いたしましたものでございまして、一般的な賃金上昇を背景としなければ、港湾労働者だけにつきまして特別な賃金額を設定するということは、現実にも、また法的な画から見ましても困難があるわけであります。しかし、さればといって、現実に低賃金でよいかどうかという点につきましては、先ほど職業安定局長から答弁がございましたように、今後、港湾労働者の需給関係等から見ましても、適正な賃金でなければ容易に港湾労働者を募集しがたいという面もあるわけでございますので、そういった労務需給の関係等を勘案し、また、一般の賃金の上昇といったような背景を見つつ、できる限りの指導を加えてまいりたいと考えております。

 

○杉山善太郎君 今度はひとつ大臣から御答弁をいただいて、私の質問はこれで終わりますが、何回も言うようでありますけれども、マスコミュニケーションあるいはテレビのタイトルなり、あるいは新聞は社説なりで、せっかく日の目を見た港湾労働がひとり歩きをするわけであるから、そういう形で、私どもはこれは政府提案でもあるし、別にわれわれは政府にちょうちんを持たなきやならぬ因果も何もないわけでありますけれども、これは実は港湾産業や、それからそれを振興するとか、近代化するとかという面から言っても、やはり非常に重要な法律であるというふうなとらえ方をしておるわけであります。で、実はこの法律が、法案として第一草案というものが労働省でできた時分には、この手配師が、組織暴力というものが幡踞して、そしてこの法の精神が無視じゅうりんされるようなことが具体的にあれば、労働大臣はその実態をとらまえて、そしてそのあれを、紹介を停止もするとか、あるいは基準法違反で摘発するとか、さらに運輸大臣にそれを進達すれば、運輸大臣はそれをそのまま踏んまえて、そして事業免許を規制するとか、停止をするとかということが第一草案であったわけでありますけれども、われわれは強くそれをそうしないと、せっかくつけてもざる法になるとか、しり抜けになるのだということを危惧に感じたけれども、紆余曲折があって今日の状態になってきておるわけでありますから、先般、六月の二十三日に私はいろいろな杞憂を感じつついろいろなことを質問した場合に、議事録によれば、大臣はこういう答弁をしておられます。「せっかくできた港湾労働法でありますから、これが円満に施行されて、いわゆる港湾労働の近代化ということの目的が達せられることはもちろんでありますが、同時に、それがやはり私はそこで働かれる労働者諸君の雇用の安定なり、あるいは生活の改善なり、そういう点に積極的にやはり資していく、こういう成果をぜひあげたいと考えておるわけでございます。」と、全く大臣答弁は満点だと思っているわけで、これがうまくいかぬので、いずれ時日はたつのでありましょうけれども、やはりでき得べくんば私どもは社会党の所属の態勢の中では、もう一度この問題の体制を整理するために振り出しに戻って、社労と運輸が連合審査の中で、両大臣を前に置いて十分これをきちんと整理していこうということが論議の君上に乗っておるわけでございます。十分これらの問題を踏んまえて、大臣からどういう経過があろうと、ひとつ今後の問題についても十分関心を持って善処をしていただきたい、重大な配慮をしていただきたいということを申し添えて私の質問を終わります。大臣の見解と所信を伺っておきたい、こう思います。

 

○国務大臣(小平久雄君) 先ほど来、先生から港湾労働法の施行の状況につきまして、るる御質疑がございました。その間、全く私どもが同感を禁じ得ないもろもろの点の御指摘を受けたわけでございます。この港湾労働法の施行についての私の所信は、ただいま先生から御指摘をちょうだいしましたように、さきの委員会で申し上げたところと全く異なっておりません。私は港湾労働法が七月一日に施行されまして以来、あるいはテレビ、あるいは新聞紙上等におきまして、いろいろの点が指摘され、報道されておること、あるいはまた、その他の方面からもこの施行の状況が必ずしも万全ではない、そういう結果に遺憾ながらなっておるということを承知をいたしまして、また、そういうことを聞けば聞くほど、私は本法の施行の万全を期して、労働省は当然努力をいたさなければなりませんし、また、運輸省をはじめとする関係当局にも御協力を願う点は願わなければならない、そういう考えのもとに実は今朝の閣議におきましても、港湾労働法の施行の状況につきましてその概略を報告をいたし、かくかくの点が現実の問題としてどうもうまくいかぬ点もある。その中にはいま申しましたとおり、労働省自体が紹介業務その他において、もっと工夫をこらさなければならぬ面もあるし、また関係業者の指導にもっとやはり力を尽くさなければならぬ面もあるようでありまするし、さらに率直に申しますならば、先生からも御指摘のございましたように、まだ手配師等の手による人集めというものが現実に若干あるやに伝えられる。こういう点についても、私どもはどうしてもこれはそれを解消する方向において最善の努力をいたさなければならぬ。こういう点で、今後さらに関係当局の協力もぜひ仰ぎたい。労働省は労働省でさらにベストを尽くしますが、関係当局においても協力をしてほしい、こういうことを実は今朝の閣議においても報告をいたし、かつまた協力を要望いたしておいたようなわけでございます。長年の慣習をいわば破って、このような法律をつくることによって港湾労働法の近代化、さらには労働者諸君の福祉の向上、こういうことをねらって、せっかくこれが発足したのでありますから、労働省としてはもちろん不退転の決意を持ってこの法律の目ざすところが実現できますように、しこうして関係の労働者はもちろんのこと、業者も進んで協力をするように私は今後も引き続いて努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。

 

○杉山善太郎君 もう一点だけ忘れておった重要なことですが、いよいよ概算要求の時期になってきますが、中央職業安定審議会の答申に基づいて、労働省で幾ら誠意をもってされても、職安のスタッフ、人員が現状では足りないという、そういう面もあるし、またニューフェースも、港湾労働という波動性という特殊性もあるわけでありますから、スタッフを整備するとか、人員をふやすという問題についても、限られた人員で新しい仕事を紹介して、あそこは悪いこれは悪いといって指摘をする。その背景では十分やってみて、そういう点についても一応考えて十分予算についても配慮してもらいたいという点を希望申し上げておきますが、同時に、あぶれ賃、港湾調整手当の問題についても、七月は一回低下しますけれども、八月はその他いろいろあるけれども、結局背景をなすものは、もとの予算というものが細いか太いかによって影響してくる問題でありますから、これは十分そういう点についてもやはり配慮をしておいていただきたいということをひとつ強く希望申し上げて一応私の質問はこれで終わるわけであります。

 

○国務大臣(小平久雄君) 最後に御指摘いただきました職安の陣容強化の件でございますが、これも実は安定局長ともよりより協議をいたしておるのでありまして、短時間に数千名の紹介をするといったような、きわめて困難な仕事をやっておるわけでございますので、できるだけ強化をしたいということで、よりより協議をいたしておるわけであります。さらにまた手当の問題でございますが、これにつきましても、明年度においてできるだけ善処いたす所存であります。

 

○理事(藤田藤太郎君) 他に本件に関する発言がなければ、本件に関する質疑は本日はこの程度にとどめておきます。

    ―――――――――――――

 

○理事(藤田藤太郎君) 次に、黒磯町のガス中澁事故及び一酸化炭素中毒症対策に関する件について調査を行ないます。

 まず、黒磯町のガス中毒事故に関し、政府より報告を聴取いたします。村上政府委員。

 

○政府委員(村上茂利君) 去る七月八日午後三時ごろ、栃木県黒磯町木野俣農業用水路ガス中毒災害の概要について御報告申し上げます。

 この報告の概要はお手元に印刷物として差し上げてございますが、この事故が発生いたしましたのは黒磯町大字百村字木野俣の農業用水隧道内でございまして、この隧道の長き約七百メートルの隧道の下口から四百九十一・五メートル付近の落盤した土砂を、谷黒組の労働者四名と土地改良区組合員五十七名が土砂を除去しておりましたところ、照明のため坑内に持ち込んだ、運搬ができる可搬性発電機のガソリンエンジンの排気ガス中の一酸化炭素によりまして、入坑中の人々が中毒にかかり、次々に倒れた。その結果、二十五名という多くの死亡者を出し、いまなお入院中の患者が十五名というまれに見る大規模な事故となったのであります。労働省といたしましては、災害発生後直ちに、災害原因の調布、被害者の医療対策に当たらせるために、本省から労災防止対策部長ほか専門官三名を派遣し、栃木労働基準局長以下担当課長を現地に派遣いたしまして、調査及び医療対策に当たらしめたわけであります。さらに七月十日には労働大臣が災害現場を視察され、かつ被災者を見舞われたのであります。

 労働省が講じました医療対策といたしましては、この事故の発生につきまして報告を受けましたので、直ちに専門医を派遣すると同時に、一酸化炭素中毒に効果があります高圧酸素治療移動式タンクを急送したことでございます。専門医の派遣につきましては、関東労災病院、栃木硅肺労災病院及び福島労災病院から三班、十五名の医療団を派遣した次第であります。治療機械の運搬につきましては、何ぶんにも非常に大きな高圧酸素治療移動式タンクでありますし、輸送にも種々困難がございますので、航空自衛隊の応援を求めまして、輸送機でこの移動式タンクと医師五名、看護婦三名、オペレーター二君をこれに同乗せしめまして現地に送らせ、治療に当たった次第でございます。なお、災害直後、救急薬品約十万円相当分を送付した次第であります。この派遣した医療班及び高圧酸素治療移動式タンク等の使用につきましては、新聞紙上等にも報道せられておりましたので、省略させていただきたいと思います。

 労働省といたしましては、一酸化炭素中毒にかかりました患者の治療に当たると同時に、さらに健康診断を行なう必要があるのではないかという観点から、黒磯町長に勧告をいたし、黒磯町当局は九州労災病院等の応援を得まして、入坑者につきまして健康診断を行なった次第であります。

 なお、本災害の原因となりましたガソリンエンジンの排気ガスによる中毒につきましては、労働省といたしましても、この極災害が発生することが予想されましたので、栃木関係におきましては、大田原労働基準監督署におきましては、去る二月十五日に、井戸に設けたガソリンエンジンの排気ガスによる中毒について講習会を行なった次第でありますが、本件に関係あります谷黒組の担当者諏訪但もこれに出席聴講したという事実がございます。

 この災害発生後、二十五名にのぼる多数の犠牲者の遺族に対しまして見舞いないし補償といった問題がございます。労働省といたしましては、一方、労働基準法及び安全衛生規則違反等の問題がございまするので、労働関係の存否を中心にいたしましていろいろ調査を進めてまいったところであります。しかるところ、本工事を施行いたしました谷黒組と死亡されました農民の方々との労働関係の存否につきましては、なお不明確な点が多く、目下調査を続行中であります。本件につきましては、労災保険法を適用し、労災保険法による労災補償を行なうべきであるという意見あるいは要望もございました。しかし、労災保険法の適用の基礎となる労働関係の存否につきまして、ただいま申し上げましたように不明確な点が多く、なお調査中でございますが、かなりの困難が予想される現状でございます。労働省といたしましては、そのような点につきまして鋭意調査を進めておりますが、一方この被災遺家族に対しまして何らかの措置が講じられないかという要望がございますし、本件のような多くの犠牲者を出した問題につきまして、適切な措置を講ずる必要ありという大方の意見もございまするので、目下関係省と連絡をいたしまして、どのような形になるにせよ、何らかの措置を講じたい、こういう観点から鋭意検討をいたしておるような次第でございます。

 

○理事(藤田藤太郎君) 本件に関し質疑のある方は順次御発言を願います。

 

○森勝治君 ただいま黒磯事件について御説明があったわけでありますが、この事件はまことにお気の毒と申し上げるよりほか言いようがないわけであります。

 大臣も現地をつぶさに視察されたそうでありますから、もうすでに当該事件については熟知されておるだろうと思うのであります。私も現地に参り関係者から事情をお伺いし、さらにはこれらなくなられた方々の自宅へ参りまして御焼香をしてきたものの一人でございますが、いまの説明にもありましたように、これは明らかに私は労働災害ではなかろうかと思うのであります。もちろん、雇用形態についてもろもろの論議がかもし出されるところであろうと思うのであります。それは雇用形態において明確性をやや欠いている、こういうお話でありますけれども、いずれといたしましても、この工事を施行いたしましたのは谷黒組という土建業者でありますから、これは土建業者でありますならば、五人以上は強制適用事業でございますから、当然この関係の法律というものは熟知しておらなければならぬわけであります。ところが、不注意と申しましょうか、私はこの前の当委員会でも三池炭鉱事件についても、一酸化炭素中毒事件についても指摘をしたところでありまするが、いずれの工場事業場の使用者といえども法を守らなければならないことを十分承知しておりますけれども、その対策はややもすればなおざりにしがちであります。特にいま局長が後段でお話がありましたように、この手元に参りました概要説明書を見てもわかりますように、すでにこの危険物の講習ですね、災害防止の講習会を行なったときには当然この会社から担当者が出てこれを受講しておったということでありますならば、明らかにこれは工事会社の怠慢と言わざるを得ないのであります。

 したがって、こういう問題について、これはこのことばかりでなくして、いま申し上げたように、三池炭鉱の場合においても十分いわゆる安全衛生の面については留意したと会社側は言っているけれども、当時は組合側から明らかにその粗漏ぶりを指摘し、改善方を要求しておるやさきに、ああした痛ましい事故が起こったという現実から徴しましても、さらにまた本件の具体的な事例を見ましても、当然ここの工事を施行するにあたっては、そうした災害防止の万全を期して工事にかからなければならなかったと私は思うのでありまするが、どうもこの経営主の事業のこうした配意というものが、ややもすれば、労働省の指導の立場からいうと、私どもはあえて手ぬるいという表現は用いませんけれども、どうも労働者のいろいろの責任追及については非常にきびし過ぎはせぬかというふうに私どもが考えるような措置を労働省はとろうとしておる。ところが、一方経営者側がこうした全く労働者の責めに帰すべからざる、経営者がほんとうに労働災害に対する法の知識を十分活用し、法を守っておれば、こういう災害は起こらぬにもかかわらず、経営者の一方的な職務怠慢によって二十五名という労働者がとうとい生命を失ったという現実の姿を見るならば、これからも、これは起こらないことを私は念願とするのでありますが、これからもこういう問題が当然波及せざるを得ない、起こってくるような疑念を持つわけであります。いわゆるおそれを抱くものの一人として、私は大臣に、この際基本的な問題についてお伺いしたいのは、一体労働災害の問題について、所管省でありまする労働省、さらにこれを主宰いたしまする大臣として、従来のように、せっかく御努力願っているだろうというふうには理解をしたいのでありますが、現実に次から次とこういう問題が、労働者の責任にない、経営者の全く一方的な職務怠慢というふうな形で労働災害が起こるということは非常に嘆かわしいので、こういう問題について今後どう措置をされるのか。さらに、本件について気の毒だ気の毒だと言われても、それだけではやはりなくなった方は浮かばれないし、遺族は救済されないことは当然でありますので、そういう問題についても当然今後の措置があってしかるべきだと私は思うのでありますが、ひとつ大臣から御見解を承りたい。

 

○国務大臣(小平久雄君) まずもって、今回このような痛ましい事故が発生いたしましたことは、まことに残念しごくのことでございます。私どもといたしましては、今後かかる事故が起きないように、行政指導面においてももちろん万全を期さなければならないと思います。

 ただ、一般的に、今後どうするかという、まず第一問でございますが、私はいつも申しておりますように、事故の発生についての第一次の責任者は、これはあくまでも使用者、業者であると、こういう考えを業者の方々に強く認識をしていただかなければならない。もちろん、行政官庁として、政府がその間指導監督に万全を期さなければならぬことはもちろんでありまするが、いかにその万全を期しましても、業者自身がみずからの責任というものをほんとうに認識し、またその認識に立った実践というものをしてもらわなければ、私はとうてい指導監督だけではこれはできない、人さまに頼まれたからやるのだ、監督されたからやるのだというような、やむを得ずやるのだというような考え方はぜひ払拭をしてもらいたい、かように私は考えておるのであります。

 今回の事故について見ましても、先生からいまお話がございましたとおり、この種の災害の防止のための講習会等も所轄の大田原基準監督署において二月にやっておりまして、この工事の監督者であった者もこれに現に出席をし、受講をいたしておる。のみならず、事故の原因となりました発電機につきましては、その使用上の注意なども、ちゃんと発電機に使用注意書きが取りつけてあった、こういうことでありまするから、これら講習から得たところ、あるいは発電機自体に書いてあった注意、こういうものを当然守らなければならないにもかかわらず、それを守らずにこの種の事故を起こしたということは、私はほんとうに返す返すも残念でたまらないのであります。私も現地に参りましたが、とにかく発電機を持ち込まないにしても、あの全く狭い隧道に六十数名の者が入って作業をしたというようなことは、第一印象として私はよくこんなことをしたものだと、実に率直に申して私はそういう印象を受けたのであります。

 したがって、そうは申しながら、事故は現に起きたのでありますから、それを繰り返しておってもしかたがございませんが、いずれにいたしましても、行政指導の面では、今回は幸いこの講習会のところへ幹部、監督が出てきておったのですから、今回の事故に関する限り少なくも労働省のこの指導なりが至らなかったと言われるこの筋はないと、かように私は思いますが、しかし、今後どこでどういう事故が起こるかわかりませんから、これはあらゆる方途を講じて、十分指導なり監督なりには努力をいたす所存でございます。

 それと同時に、今度の問題から直接考えられますことは、とにかく労働関係というものが不分明である、なかなか明確になりにくい、こういうことに問題が特に補償との関連においてもあるわけですが、私はこれもざっくばらんに申しますが、従来のこの種の作業についてのいわば義務人夫と申しますか、そういう方法でのやり方、これは農村等にはずいぶん慣習的にもこれはあることに違いございません。また、それはそれなりにいいところがございまするが、むしろ事故というものは、考えますと、こういった労務の提供のしかたというものについても、どうしてもこれは再検討を要するのではなかろうか。このことについては、農林当局からもあるのですが、事件後いち早く労働省と農林省で、ぜひひとつ研究してもらいたい、こういうことで実は申しておるのであります。逆にまた、現在のようないわゆる義務人夫式なやり方で存置いたしまするならば、私はそういう部面についての明確な補償制度というものを新たに法的な措置を講ずるとかいずれかをしないと、今後この種の災害が起きた場合に、どうもまた同じような問題を繰り返すことになるのではなかろうか、この点を心配をいたし、またそれについての研究を事務当局にも指示しておるところでございます。

 それから、補償の問題でございまするが、これにつきましては、ただいま局長から、労働関係の有無についてどうも不明確な点が多い、これを立証することが至難の状況であるということを申し上げました。そこで、先生は、これはもっぱら労災保険でいくべきである、労働関係はあったものと見るべきである、こういう御主張かと思いますが、私どもも、できるだけそういう立場で問題が処理できますならば、一番これはよろしいし、御遺族の方々の意なりあるいは各方面の御要望にも沿い得るわけでございますが、しかしながら、やはり私は、現在の労災補償法、いやしくも法によってこの補償をするという立場をとっている以上は、いかに私どもが運用についてできるだけの考慮をいたすといたしましても、そこにはやはり一定の限度が起こらざるを得ない。そういう点からいたしまして、実はまだ保険でいけないという結論に達したわけではございませんが、どうもこの点は至難である。しからば、最終的にもどうしても保険でいくことは法のたてまえ上無理だという結論に達したときにどうするか、こういう点を考えて、私はやはりこれにかわるべき方法というものを何かあわせて当然くふうしなければならぬ。これは先般来の衆参両院における総理の答弁からしても当然でございますが、私は特に事務当局に指示をいたしまして、また、特にこれは労働大臣、自治大臣とも相談をいたしまして、何らか、保険でいけないという結論になったときには、しからばこれでいくということが考えられぬだろうか、ぜひそれにひとつ協力をしてやってほしい、こういうことで、農林当局でも鋭意その線に沿うて御検討をいまいただいておるところでございまするし、また自治省においても、これまたその線においてともどもいま検討を願っておるところでございまして、労働省の調査の結果が、どうしてもこれは保険でいくのは幾ら考えても無理なんだ、こうなる以上は、私はやはりその際は、しからばこれで、少なくとも基準法で定められておるこの一時補償金の程度のものは、何らかの形において国あるいは県等の力を合わせてでもこれはぜひやることにしたい、こういうことで、いませっかく鋭意検討をしておるところでございます。遠からず、というよりもむしろ私は、ぜひこの一両日のうちに結論を何とか出したい、こういう考え方で臨んでおるわけであります。

 

○森勝治君 疑問だとおっしゃるけれども、疑問だというのは、雇用関係が成立されているかどうかということが疑問だと大臣も局長もおっしゃったが、私はそれは精査された上での御発言だとは思っておらぬのです。なぜかと申しますと、七月の一日に谷黒組から人夫を出してくれるようにという要請があり、当該木野俣用水改良区で理事会を開きこの申し出を受け、そしてその後この事件のようなことがあったのですが、その際人夫の雇い入れについては口頭で監督署へ届け出したという申し出があり、当該県の局長も、私どもも当時黒磯に参りましてお伺いいたしましたところ、谷黒組の常用職員についての届け出は事前に受けておりました、こういう御回答をいただいておるわけであります。そうなれば、過去の実態からおしはかってもわかりますように、当然当該改良区内の農家の方々が人夫として雇用されることは、もう過去の実態からも明らかであります。当然これは事前に、それならば、農家の方も臨時人夫で入っていくのだから、そういう事態がもうかねてからこれは心配されたところでありますから、したがって、そういう点についても、基準局あるいは出先の監督署で事前に十分注意がなされるのが私は正しいあり方だと思うのであります。もちろん、雁用形態の点はつまびらかでないと言われるのだけれども、現実にそういうふうに届け出が口頭であり、これを了承しているのだから、その時点で、もう少し一歩進んで積極的な安全衛生の面の、工事災害を未然に防ぐという積極性がいま一歩もしあったとするならば、そういう点にも監督署から、準備体制万怠らないよう、こういう指導がなされただろうと思うのでありまするが、その辺のところは、出先の方がおいでになっていないからわからぬでしょうけれども、とにかく当該の係官はそうおっしゃっておられるので、この点、本省ではどういうふうに受け取っておられるのか、ひとつ局長からお答え願いたい。

 

○政府委員(村上茂利君) 監督害に届け出がありましたというのは、次のような関係であります。それは基準法の適用関係というよりも、労災保険の適用関係の問題であります。いわゆる小工事につきましては、そのつど労災保険関係、適用関係を成立させるというのが手続上非常に煩瑣でございますから、一括加入方式という方式によりまして適用関係を成立させております。そうして小工事、たとえば都内でもあの舗装をひっくり返して簡単な工事をしております。その工事ごとに保険関係を成立させる手続をするのはたいへんでございますので、一括、年間これこれという規模で一括加入しておきまして、工事を始めますときに、どこそこで工事を始めますよという通知をするということになっております。その通知が口頭でやり、そうして事故発生当日に書類で届いたというのでありますが、その通知というのは、どこどこで工事するという通知であり、しかも提出された書類の内容も、労働者を何人使い、あるいは請負工事の金額は幾らであるといったようなことは記載されておらず、いわば工事開始の通知といったごく簡単なものであったわけであります。したがって、当該事業場と労働関係が成立しておったかどうかということは、その通知だけからは判断できないわけでありまして、個別に判断せざるを得ないということになります。

 

○森勝治君 それでは、さらに進んだ御質問をしたいのですが、この事件の起こった二、三年前、すなわち昭和三十八年だと思うのですが、同じように当該用水が故障を起こした事件がございます。そのときには、雇用形態はちょうどこの事件が起こったような形態で、事後の承認ということで事態を処理し、人夫賃を払ったという記録がございます。これは県でも認めているわけだが、そのときも工事を処理したあとで人夫賃を支払い、諸般の法的手続を完了したわけです、工事終了後に。そうなりますと、農村の慣行として、これは農林省も来ておりますから、その辺のことは農林省の方にあとで聞きたいと思いますが、農村の慣行として、手続をあとにして、まず仕事を完了する。その着手時点で事故が起こったわけでありますから、なるほどその時点から見るならば、法的な措置は未了でありましょう。しかし、昭和三十八年のこの同一場所における同種事業、同じ種類の災害復旧の問題については、先に仕事をやって、後日人夫賃をということで払っておる。これが明らかになっておる。そうなれば、この事件が途中で不幸にも惹起されましたが、これが無事完了の暁には前例に従って当然これは人夫賃も支払われてしかるべきだ、こういうごく素朴な常識論が出てまいるわけであります。ですから、全然この雇用関係が成立しないのじゃなくて、過去の、特に国会は何とか先例とか典例とかということを重んずるところでありまするから、私もそういう立場で発言したいと思うのでありますが、過去にそういう実態があるならば、この事件が無事解着の暁には、そういう法的な事後の措置がとられるであろう、こういう推定が成り立つわけであります。これを善意なものとして理解をいただくとするならば、当然これは、実態上における雇用契約というのは、すでに前例にならってこれはでき上がっておるんではないか、こういう広義な解釈もまた成り立つわけであります。その辺のところは出先からどういう報告を受けておられるか知りませんが、その点についてひとつもう一度局長からお答えをいただきたいと思います。

 

○政府委員(村上茂利君) はなはだ残念ですが、御指摘のケースは別な結論が調査の結果出ておるのであります。それは、三十八年の工事におきまして、土地改良区から農民六名に対して賃金を支払ったという、土地改良区の常設委員からの供述を得ております。しかし、三十八年の工事におきましては、工事の内容を二つに分けまして、坑木用木材の伐採と運搬は土地改良区が担当する、それから坑木の組み立てば建設業者である臼井組が担当する、こういうふうに分けまして、賃金が支払われた云々という問題は、その土地改良区の坑木用木材の伐採及び運搬をしましたその者に対しまして、この場合は土地改良区のいわゆる義務人夫としてではなく、土地改良区の労働者として農民に仕事をさしたという立場から賃金を支払ったものである。そしてそのことにつきましては、当時の理事会において賛金支払いについての決議をいたしておるという事実をつかんでおるのでございます。

 で、この場合、労働関係があるかないかという問題につきまして、谷黒組とこの農民との間に労働関係があったかどうかという問題につきましては、ただいまの昭和三十八年の工事の例からは直ちに判断することは困難であろうと思います。むしろ、今回の場合においては、土地改良区と谷黒組との担当分野などというものはすこぶるあいまいでございまして、この区別が三十八年の場合のようにはなされておらない。それから、賃金支払いの決議もなされていない。しかも、いろいろな慣行や関係者の供述等をもとにして判断いたしますと、むしろ従来の義務人夫の場合と同様な方法手続によって招集されたといったようないろいろな関係が出てまいりまして、前例云々という点につきましても、私どもは、先ほど大臣が仰せられましたように、できるものなら適用関係ありという判断をしたいのが気持ちなんでございまして、いろいろそういった点を調べましたが、一方におきましては、補償問題だけじゃなくて、労働基準法違反という刑事事件にもつながる裏表の関係がございますもので、労働関係の存否につきましては法的な観点から明らかにせざるを得ないという観点で調べておるような次第でありまして、以上の関係、三十八年の関係は以上申しましたとおりであります。

 

○森勝治君 私どもは、いま委員長席にすわっておられます藤田さんと私と、その点についてはこの耳で聞いてきたわけであります。当時栃木県の農地部長ですか、農林部長も立ち会い、労働省の出先では栃木の局長、所轄の大田原署長がその席上で私にそういうことを説明されておるわけであります。ところが、今度ここに来てから、そういう関係は全くないと言われたのでは、一体どなたの発言を信用するか。私どもは役場で聞いたのです、当該県の農林担当の部長その他の方、役場の方、また労働省がいま申し上げたように基準局長、監督管長、その立ち合いで。いま臼井純というお話が出ましたが、そういうお話は私どもは聞いておりません。谷黒組とそういう雇用形態を結んで出しましたと。これが男八百円、女五百円という数字の説明が当時なされたわけであります。そこで、私どもは、そういうことであるならば、もしこの賃金が当時と同じ、変わらないものと仮定いたしましても、男八百円、女五百円という数字が出るならば、労災法を適用するならば、すなわち千日分ですから、男性において八十万、女性において五十万という数字が出るのではないか、前例に照らして。今度のことは事後措置ということでありますけれども、前も事後措置であるならば今度もで奉るのではないかと質問しましたら、もう少しよく調べて検討しましょう、こういうお答えであったわけであります。ところが、いまのお話ですと、だいぶん隔たりがあるので、私のほうの不勉強なのかどうなのか、おそらく私たちの言うのも労働省の言うのも同じだろうと思うのですが、労働省の出先の権威である局長が列席の席上でわれわれに説明されたことがこの席上で全く違ったお答えになると、私はどうも全く合点がいかないので、私の不勉強のなせるしわざなのか、何か報告の行き違いなのか、その点をひとつ教えていただきたい。

 

○政府委員(村上茂利君) 私が御答弁申し上げておりますのは、現地の労働基準監督署、栃木労働基準局などで調査いたしました最近のものを基礎にしておるわけであります。事故の発生当時、いろいろのお話があろうかと思いますが、労働関係の存否につきましては、現地の労働基準局なりあるいは労働基準監督署での発言はかなり慎重になされたものと存じておりますし、一応私ども先生方が現地で取りかわされたお話の内容もあらましでございますが承っておるような次第でございます。で、ただいまお答えしました三十八年の工事のように賃金支払いが決議きれておるとか、あるいは男七百円、女五百円というふうに支払われまして、決算も明らかであり、受け取り書も明らかであるといったような証拠なりあるいはそういった慣行を裏づけるようなものがありますれば、これは私ども初めから労災保険法の適用なしという判断よりもむしろ何とかして適用ないかといったような気持ちで調べておるのでありまするから、事柄をしいて曲げて労働関係なしというような判断はまあ実はいたしたくないわけでありますが、遺憾ながら、判断をいたしますためには、関係者のこう思うとか、こうであろうとか、思う、であろうという話だけでは供述としても証拠になりませんので、従来どうしたか、どういう決定があったか、理事会の決議はどうであったか、通知はどうなされたかといった、思うとか、であろうでなしに、判断の材料として信憑性のありますものを中心にして実は判断を加えておるような次第でございます。

 したがって、同一人についても供述が変わってくる場合があります。たとえば谷黒組の責任者の供述が、労災保険法の適用があるようにするといったような供述をするかと思いますと、今度は、たとえば坑内労働については労働基準法の違反の問題があるといったようなことに思いをいたしますと、いや、女が来るとは思っていなかったんだが、しかし義務人夫で出されたものだから、会社としては選択権がないので義務人夫だから使ったといったような、いわゆる供述にいたしましても、事柄が違いますと、かなりニュアンスの違った発言があるということで、いろいろな角度から私ども尋ねまして、いわゆる事実確認、証拠調べの正確を期しておるような次第であります。

 

○理事(藤田藤太郎君) 一言だけ言っておきますがね、あの隧道工事は、ほかに業者がたくさんあるけれども、谷黒組以外に請負業者がないので、自然的に谷黒組に全部工事をやらしてきたというような、町議会、農林省の出先、皆さん一致しての意見だったけれども、いま、ほかの業者が何かやったというような話がある。だから、そこのところはちょっと違うのじゃないですか。お調べになったというのだからお調べになったことがあると思いますが、私どもに口をそろえて言っていたことはそういうことでしたけれどもね。

 

○森勝治君 時間がございませんから、その問題も私どもはもっと質問したいところでありますが、まああとの問題に譲って、たとえば、いま局長が後段でいみじくも言われた女性の問題ですね。女性の問題は、これはもうちゃんと法の定めるところで、禁止でしょう。こんなことなんというのは、もう人を使う立場ではっきりわかっているわけでしょう。たとえ百歩譲って――百歩も二百歩も譲って、義務人夫にもせよ、労働者として、行政適用事業ではそういう当該の場合でも女性は使えないようになっている。と同時に、義務人夫でも使えないことになっている。それを、一片の疑念もなく、あるいは懸念あったのかもしれぬが、使ってしまった、事故が起きたということでは、これは明らかに谷黒組の失態、法規違反は明らかでしょう。人夫だから男女の別、選択の別を与えられないなんということをもし業者が言ったとしたら、それは即刻業者としての資格はもうないもの、ましてや、二月に当該地方で安全災害ですね、そういう問題の講習会を開いた直後だということであるならば、そんな申し開きは立たないはずであります。こういう点は、一体労働省はどう考えておられるのか。それはもうお答えいただかなくても、これは明らかなところでありまするから、私は申し上げただけにして、時間がございませんので、(「ただしたほうがいいよ」と呼ぶ者あり)じゃ、ひとつその点答弁してください。

 

○政府委員(村上茂利君) 御承知のように、労働基準法は労働関係があるものについて適用されるわけであります。したがって、女子労働者を坑内に入れたかどうかという問題につきまして基準法の適用関係ということになりますと、労働関係が成立しておったということが法律判断の基礎になるわけでありまして、もちろん道義的責任その他いろいろな責任はございましょうけれども、労働基準法違反かどうかというのは、あくまでもこれは労働基準法適用事業につきまして、しかして労働者について適用きれるわけであります。まあ法の形式的解釈と申しますか、そういったふうな印象を受けるかもしれませんが、かりそめにも、当該労働者につきまして労働基準法違反があったかどうかという点につきましては、労働者であったかどうかという基本的な関係をただす必要があるわけであります。そういう意味で逆に、義務人夫だからだれかれを選択する余地がないので入れたと、こういうような発言自体もあったということを一つの例として申し上げたわけでありますが、そうすると、むしろそういう発言は労働契約関係の成立というものを考えていなかったというような証拠にもなり得るわけでございます。

 いずれにいたしましても、農民の割り当てにつきまして、きょうは何区、きょうは何区といったように理事会で組ごとに割り当てておった。そして出る農民も自分の働く使用者はだれで賃金は幾らでとかいったような意識がなくて、従来の義務人夫として出たといったような供述があり、かつ、断わると次の機会には優先順位、一番早く回ってくるから、どうしても出なければいけないのだといったようなことがあり、従来の夫役と解されるようなものが多いので、私どもとしては法律解釈に非常な困難を感ずるのが実情であります。

 

○森勝治君 どうも労働省の立場を守ってくださると思っておった当該局長から、労働者の権利を狭義に解釈されたお話をいただくとは、私もまことにいまのいままで知りませんでした。まことに残念の至りであります。この点について、婦人局長が参っておりましたら、さっそく質問したいところでありますが、時間もございませんから、あとでこの点はゆっくりひとつ博識ぶりをお伺いすることにいたしましょう。時間がございませんから、したいところですが、やむを得ません。

 そこで、農林省のほうにお伺いしたいのでありますが、この木野俣用水改良区というのは、いつからできたのでしょうか。農地局長、ひとつ教えていただきたい。

 

○政府委員(大和田啓気君) この木野俣川の土地改良区でございますが、問題になりました隧道を含めました用水路の建設が非常に古くて明治三十年代でございます。したがいまして、普通水利組合も古く設立されておったわけでございますが、事故のありました隧道は、後にその用水路が改修されまして、大正七年に隧道になりましたわけでございますが、この普通水利組合も、土地改良法の設立に伴いまして、昭和二十七年の四月に土地改良区に組織が変更されたものでございます。

 

○森勝治君 いま明治三十年というふうにお答えをいただいたのですが、明治二十六年の間違いではないでしょうか。当時、君島辰五郎という村長時代につくられたわけでありますが、だいぶ年代が違うのでありますが。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私どもが調べておりますものは、明治三十六正から三十七年にかけましてこの用水路がつくられましたけれども、問題になっております隧道は、最初は隧道ではございませんで、山のすそをめぐる開渠でございました。しかし、落ち葉がたまったりあるいは土砂がくずれたりしまして水がよく通りませんでしたので、大正七年に燧道に変わったというふうに調査の結果はなっております。

 

○森勝治君 恐縮ですが、いま前段で言われた年度をもう一度おっしゃってください。

 

○政府委員(大和田啓気君) 明治三十六年ないし三十七年でございます。

 

○森勝治君 そうすると、また十年の違いが出てくるのですが、こんな数字のことで恐縮でありますが、あなたのほうでこれが始まったのが明治三十年とおっしゃっているわけですね。そこで、私のほうは明治三十六年から始まったのではないかと言ったら、これは日露戦争の前ですね、前年ですね、明治三十六年というと。そのころから始まったと今度はおっしゃったのですね。その点、もう一ぺん、私が勘違いかどうか、ひとつ教えてくれませんか。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私が申し上げておりますのは、明治三十六年から三十七年にかけまして建設された水路でございます。

 

○森勝治君 そうすると、時間がありませんから、数字でやりとりはいやですが、一米最初に三十年とおっしゃったから、三十六年ではないかと申し上げたら、三十六年から七年だとおっしゃったので、私、奇異に感じて質問したのです。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私が最初に申し上げましたのは、いかにも古い時代をこまかく申し上げるのもいかがかと思いまして、明治三十年代と申し上げたのです。それをあとで正確に三十六年から三十七年というふうにいたしたわけでございます。

 

○森勝治君 その建設の時期はですよ、私は村に参りまして、その当時のことをよく知っている人に聞いて、いまの改良区の組合長さんに実はお伺いして、役所の記録ではそうなっているけれども、役所というのは全く困った、記録がなければ発言しないで困ったといって、阿久津さんという改良区の理事長さんが私にこぼされた。その人のお話ですと、明治二十六年が正しいと。しかし、こんなことで論争をしても事件の解決になりませんから、そのことは慎みまして、その次に移りたいと思うのであります。

 ほかの問題もそうでありますが、特に農林関係の仕事は、こうして農地、農道、あるいはまたその他の事件について事故が起こる、そうすると、緊急な場合には本省に連絡せずとも、予算をとらずとも、応急措置をしてよろしい、その工事をしたという実態の証拠さえあれば、あとで補助金は出すということになっておりますね。そうですね。だから、これも七月八日に当該改良区が県に出し、九日に県の改良課から農林省に設計書とこれを持ってきて申請をしたわけですね。そうすると、農林省の解釈では、八月でなければ査定ができないということですね。八月は、もうすでに早いところでは稲の穂が出ているところもある、御承知のとおり、わせはね。そうすると、八月ということではかんがい用水の間に合いません。どうして、こういう苗しろの、こういう田植えの大切な時期なのに、八月でなければ査定ができないというような農林省の手ぬるさというものは、一体どこから来ているのですか。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私ども、今度の事件に関係いたしまして、いまのような御質問をよく受けるわけでございますけれども、私どもも長年災害復旧の仕事をいたしておりますことですから、そう災害復旧に間に合わないような仕事は実はいたしておらないわけでございます。災害復旧関係では、農地、農業用施設につきまして、平年で二万件以上、昨年では四万五千件ぐらいの災害の事故がございます。したがいまして、査定をいたします場合にも、まず事業主体、この場合は土地改良区でございますから、事業主体が細密に計画を立てて否定をいたさないと、私ども国費のむだ使いを戒めておるわけでございますから、厳重な査定はいたしかねるわけでございます。したがいまして、災害が起こりましてから査定までは通常一月あるいは一月半かかるわけでございますが、それでは農地あるいは農業用施設の効用が十分出ない場合が当然起こりますから、いま先生が言われましたように、まず災害が起こりました場合は、査定を待たないで応急工事はおやりになってもけっこうですと、その分については適正な工事でありますれば、現場写真等をとらすように指導をいたしておりますから、あとで補助対象にいたします。それから、災害の本工事でありましても、できるだけ急がなければならないような場合、急がなければ作付に間に合わない、あるいは来年の作付に間に合わないというような場合は、査定前に本格的な着工ができるような制度をつくっております。

 この木野俣川の事故につきましても、関東の農政局の査定は八月でございますけれども、県が関東農政局と相談をいたしまして、たしか七月の九日に相談をいたしまして、翌日から本格的な事業をいたすことになっておったわけでございます。したがいまして、査定は全体をにらんで厳密にやらなければなりませんから、ある程度事故が起こりましてから若干の時日が経過するわけでございますけれども、査定の前に必要な応急工事あるいは本格的な工事もいたすということで、現在災害復旧工事を円滑に進めておるわけでございます。

 

○森勝治君 いま、九日に本件のことを許可するということを当該栃木県と農林省できめたとおっしゃるけれども、そういうことは知らないといって当時新聞に発表しておるのですよ、当該県では。いいですか。そういうことは知らないと。農林省に預けっぱなし、まだ許可がおりないと発表しているのですよ。それじゃ、責任転嫁になるんじゃないですか。

 

○政府委員(大和田啓気君) 当時の新聞の記事は詳細存じておりませんけれども、七月の九日に県の係官が関東農政局と相談するというスケジュールになっておったわけでございます。

 

○森勝治君 じゃ、決定じゃなくて未定ですね、スケジュールになっておったそうだということでありますから。それ以上私は触れません、時間がありませんから。

 そこで、はしょって質問いたしますが、農民を守る立場の農林省として、この事件をどう考えておられるか、どう救済をされようとしておるのか。聞くところによりますと、労働災害ということであるならば、それは労働省の所管であるから、労働省の結論を待って措置しようというふうに聞いておるわけであります。ところが、私どもから見ますならば、農民の立場を守る農林省が、本件については最も積極的であるべきだという理解を持つものでありますけれども、一体、農林省が労働省とどのような相談をされて、この農民の、なくなられた遺族の方の救済をどう考えておられるのか、ひとつその辺についてお伺いしたい。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私ども、今度の災害につきまして、はなはだなくなられた方々はお気の毒でございますので、農林省としてもできるだけのことをいたすつもりでおりますけれども、まず第一次的には、私は労災補償の適用があるかどうかということをやっぱり詰めるべきだと思います。そうしてそれを詰めた上で労災補償の対象になれば、これは御遺族に対する補償ということになるわけでございますが、不幸にしてあるいはかりに労災補償の対象になりがたい場合は、これは農林省といたしまして、各省ともよく連絡をとりまして、早急に御遺族の援護について結論を出すようにいたしたい、そういうふうに考えておる次第であります。

 

○高山恒雄君 私も栃木県の黒磯の一酸化炭素罹災者に対する問題でお聞きしたいと思うのですが、先ほどの報告を承りまして、この被害が起こった現実に対する臨時処置と申しますか、そういうものに対してはすみやかにやっていただいて、この点は非常に手抜かりのない方法でやっておられると感謝申し上げたいと思いますが、問題はこの報告書にもございますように、六十一名というこの方は、ほとんど一家の柱になる人である。この点は非常に重要な問題だと私は考えるのであります。

 そこで、いままでの森委員の質問にお答えになった経過から申し上げますと、どうも労災法の適用にならないのではないかという見解が労働省としては強いようです。全くの疑義があるという点は、雇用関係がどうかということが主題になろうかと、これは私もその点はそう考えます。しかし、それで逃げる手はないと私は思うのであります。

 そこで、私は労働省に聞く前に、農林省の局長に聞くのですが、一体、この土地改良区ですか、こうした改良区が、口頭であろうと文書であろうとも、契約なしに工事を始めるということはないわけです。たとえて申しますならば、谷黒組と契約があって、口頭でやったかあるいはまた書類でやったかわかりませんけれども、契約があって初めて工事をやるということになると思うんですね。したがって、その契約の点ではどうなっておるのか、この点をお聞きしたい。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私ども調べ得る限り調べたわけでございますけれども、土地改良区と谷燃料との間で請負契約が明確に成立していたというふうには、なかなか私どもの調査では行き届かない。それで、先ほどもお話がございましたが、三十八年に同じ隧道で災害がありまして、だんだん契約の変更がございまして、実際に作業をいたしましたのは四十年でございまして、四十年のときは谷黒組に請け負わせたわけでございまして、谷黒組に請け負わせたということで農林省は補助金を出しておるわけでございます。今回は、全体の復旧事業を谷黒組に請け負わせたということはどうも明確な証拠がない。あとは、その不幸な事態が起こりました事故は、隧道の中にどろが四十メートルばかりにわたって落ちましたので、農家の人が六十名隧道の中に入りまして、じょれんで一列になってどろをかき出す作業をやっておったわけでございますが、はたして土地改良区が本格的な工事を谷黒組に請け負わすその前段階で土地改良区が夫役でやったのか、あるいは全体の事業を谷黒組に請け負わせたのか、その辺は私どもまだ明確に結諭を出しておらないわけでございます。労働省の現地の調査を待っておる次第でございます。

 

○高山恒雄君 そうなりますと、先ほどあなたは緊急を要する場合についてはこれはやってもよろしいということを承認されておるわけです。やってもよろしいということは精算払いだということです。そうでしょう。やってもいいという先ほどのあなたの答弁を聞けば、清算払いをするということです。したがって、精算払いをするということになれば、土地改良区からあとで要求が出た場合には必ずこれは支払われるわけです。その点がつかめないというのは、労働省がつかむのじゃないでしょう、これは私は農林省がつかむべきだ、こう思うんですが、その点どうですか。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私ども関係者数人現地に行きましていろいろ調査いたしました結果、御承知のように責任のある理事も事故でなくなられたというようなことで、書記は警察の調査を受けておりまして、その辺のなまのところがなかなかつかみがたいというのが現状でございます。

 

○高山恒雄君 しからば、私お聞きいたしますが、過去に土地改良区におけるいろいろな災害というものが私は数十件あるような話を聞いておるんですが、災害法を受けておる人は、そういう事態は、いままでにも何回かあったのか、統計的なものがあればひとつ発表してもらいます。

 

○政府委員(大和田啓気君) この一、二年で農業土木関係の事業の災害が相当ございますけれども、労務者を送り迎えするバスが落ちてけがをしたというようなことが大部分でございまして、今回のような隧道内の事故といたしましては、ことし三月新潟県の県営開拓パイロット地区の、直江津でガス中毒のために労務者が何人かなくなった事故がございますが、土地改良区の人が夫役に出てそれで死んでしまったというような事件は私ども承知いたしておりません。今回のような事件は全くまれなというより、むしろ初めての事件であろうというふうに承知いたしております。

 

○高山恒雄君 そうなりますと、たとえば洪水があって、急激な激流にのみ込まれたというようなことがなきにしもあらずです。それはそれだけで、なくなった人は泣きづらですか。土地改良区の組合の者を緊急やむを得ずそこに招集して、堤防がいまにも切れそうである、その補給作業をやらなければならぬということが起こった場合、これは組合が招集するんですからね、その場合に公用に自分たちが出て、そうして激流にのまれて、なくなったというような場合は、これはもう死んだ人の泣きづらですか。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私ども、土地改良事業、災害復旧事業を含めてですが、工事を的確にやるということもございますし、それから経理を明確にするという必要もございまして、士地改良区自体の仕事にしないで、できるだけ業者に請け負わして仕事をやるように、従来から指導をしておるわけです。たまたま夫役の制度、これは農村の昔からの慣行でございまして、現金を出すかわりに夫役に出るということで、なかなかなくならないものでございますが、私ども二年ほど前に全国的な調査をいたしました結果によりますと、士地改良区で夫役をとっている土地改良区が全体の約七%程度で、昔に比べればずいぶん減っております。それからも、今後も、まあ農村の労力関係もございますし、それから夫役ということがなかなか農家になじみがたくなっておるということもございまして、夫役はだんだんに減っておると思います。現在も、調査によりますれば、夫役に出ておる仕事は、今度の災害復旧事業のような危険な仕事では大体ございませんで、水路をさらったり、あるいはみぞの近くの下車を取ったりする程度で、通常の維持管理の仕事が大部分でございます。それで、私ども土地改良あるいは災害復旧につきましては、そう危険なことというのも予想はいたさないわけですが、災害が起こって農民が死傷をするということがありませんように、いままでも注意いたしておりますが、今回の事件にかんがみまして、直ちに一応、地方農政局なりあるいは都道府県知事に遁逃を出して、十分な注意を促した次第です。

 

○高山恒雄君 いや、私はね、質問した内容についてお答え願いたいんです。過去の慣例はよろしい。つまり、いかなる作業であっても、緊急やむを得ない処置に対してこの土地改良区の夫役が使われた場合、あとで精算するんでしょう。しないんですか、するんですか、私はそれを聞きたい。あとで必ず、請求をした場合には、それは支払いをするんでしょう。政府としては補助金を出すんでしょう。

 

○政府委員(大和田啓気君) 完全な夫役を徴集をするということになりますと、これは金銭にかわる夫役でございますから、あとで金を出すということはないわけでございます。いま御質問がございましたのは、おそらく土地改良事業あるいは災害復旧事業で、最初は夫役のような形だけれども、実際は雇用関係である、あとで請負業者から賃金の支払いがあって、土地改良区としてはそれを補助対象事業として農林省に申請をする、そういう場合ではないかと思います。そういうふうに補助申請がございます場合は、これは夫役でございませんから、形式的に夫役の形を始まる瞬間においてとりましても、実体的には雇用でございます。これは賃金として農林省は当然補助対象にいたすわけでございます。

 

○高山恒雄君 どうもあなたの答弁はおかしいんだね。緊急やむを得ない処置の場合は、事後処理するとおっしゃっているんでしょう。そうですね。今度の場合も、緊急やむを得ないからやったんでしょう。届けも来ていないし、契約も来ていないし、何も来ていないから、今度はその谷黒組が中心になって、夫役で出たか何かはそれははっきりしませんけれども、そこを私はお聞きしたいのだ。いま出ていますね、これは。たとえて申しますならば、もし土地改良区の理事会においてそれを請求した場合には出すでしょうと、私は聞いておる。そのほかにも過去にそういう実例は緊急の場合はありましょうと。あんたは、あるともないとも言わない。あるでしょう。何もこの栃木県自体の、三十八年ですか、三十八年の黒磯の問題ではなくて、一般的にそういう問題はあるでしょうと私は聞いておる。緊急の場合やれとあなたはおっしゃっておるのだから。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私が申し上げておりますのもその点に関連をいたしておるわけでございまして、応急工事をやって、それから本工事にかかって、全体を業者に請け負わすという形で補助対象事業に出てくる場合もあろうかと思います。ただ問題は、今度の事故について労働関係があるかどうかということは、全体が終わってからのことでなくて、始まった瞬間を押えるわけでございますから、そこに労働関係ありやなしやという法律上むずかしい問題が起こりますということを申し上げているわけでございます。

 

○高山恒雄君 いや、今度の場合はそういうまだ最終までの精算払いも何もしていないのですから、いま途中なんだから、それはむずかしいことはわかっておりますよ。私は、過去の緊急措置をとった場合にそういう実例はないのですかと、こう聞いておる。あるでしょう。なければおかしいですよね。あるでしょう。その点、あるかないかを言っていただけばいい。

 

○政府委員(大和田啓気君) そういう場合もあるということを申し上げているわけでございます。また、土地改良区自体が応急事業でやる場合に、土地改良区が組合員を雇って事業をやる場合もございますから、その場合も証拠書類が明らかでありますれば、あとになって補助対象事業にする場合もございます。

 

○高山恒雄君 そういう場合があったということはここで確認をしておいてもらいますが、しからば、今度の場合に農林省としては、六十一名の方は単なる夫役なのか、そういう認め方をきれるのか。少なくとも谷黒組というものが請負をして、それの応援の人として賃金も文払うべき関係のものだという解釈にならないのか。当然私はすべきだと思うが、その点はどうか。

 

○政府委員(大和田啓気君) 私と申しますか、農林省の立場を申し上げますと、先ほども労働省からお話がありましたように、私はできれば今度の問題は労災補償の対象にしたい事件でございます。それが一番私は筋であろうと思います。ただ、労働関係ありということになりますと、先ほどもお話がございましたように、坑内で女子を使用したという問題がございますから、谷黒組の責任もございましょうし、谷黒組に人を世話をした土地改良区の理事の刑事責任の問題も出てまいるわけでございますから、結局、労働関係ありというふうに十分の立証ができなければこの問題は処置できないという考えでございます。したがいまして、気持ちといたしましては、あくまでも労災補償の対象にいたしたい事件でございますけれども、そういういま私が申し上げました点も考えて、やはり事実に即して客観的な結論を出さざるを得ないというふうに考えます。

 

○高山恒雄君 客観的な処置をとるということは、私があんたを追及いたしておりますように、農林省としては事後の精算払いになる。したがって、事後の精算払いということは、この土地改良区が申請をするものについては該当者として支払いすべきだと、こういうことが成立すると思うのです。そういう事実が出てくれば、労働省のほうとしては当然、雇用関係の契約が口頭であろうとあるまいと、ほんとうの書類であろうと口頭であろうと、精算払いということになれば当然この災害補償の対象になる、こういうふうに私は断定しておるのだが、その点は農林省から積極的に私は認めてやるべきた。そうしないと――せっかくの緊急の処置というものの幅を認めておられるのだ、農林省は。そうでしょう。緊急やむを得ない場合にはその申請のいかんを問わず先にやれ。先にやれということは、緊急だから先にやっておるわけなんです。その事後に概算払いかあるいは精算払いということに、農林省はそれをいままで慣例としてやっておられる。これはこの黒磯の場合は、事後にこれから起こってくる問題、その問題、その途中において災害があった。その災害に対しての好意的な解釈は農林省としては私は当然とるべきだ。

 夫役なるものを、いま農林省が考えておるような、昔の慣行の夫役なるものをいつまでも使っておるというその観念は私はやめてもらいたい。夫役じゃないのだ。少なくとも土地改良区の加盟しておる人が、緊急処置やむを得ないから、それを招集したから出た。もし出ない者に対しては何ぼかの、その人はみずからのその人夫代というものを払う資格も成立しておると思うのです、私は。その日に人夫に出なかった人は何ぼかの金を出さざるを得ないのじゃないかと思う、出た人は金は出さぬでもいいが。そういういままでの慣例があるのじゃないかと思うのです。もしそうなれば、当然私は農林省としてはその夫役というような考え方じゃなくて、精算払いという形で、それで今度の災害が起こったのだ、そのことを明らかにしていけばこれはいいのではないかと、私はこう考えるのです。その点はどう考えますか。

 

○政府委員(大和田啓気君) 先ほども申し上げましたように、災害復旧事業が全体が終わってからの整理の問題と、それから応急工事にかかったときの法律関係がどうかという問題と、私はどうも多少違うのではないか。しかも、先ほど申し上げましたように、私自身といたしましても、できるだけ労災補償の対象にしてほしい事件でございますけれども、労災補償の対象になるということと労働基準法関係の刑事責任と相伴う問題でございますから、そこのところは客観的な事実に即して判断をしないとならないのではないかというふうに思うのであります。

 

○高山恒雄君 どうもその点はあんたの見解がおかしいのじゃないかと思うのだが、たとえば、この改良区のいろいろ理事会も開かれたという話も私は聞いておる。そのときに、過去にいろいろな災害があった事実もあるから、労災の問題はどうなっておるかということで理事会で話が出たら、谷黒組は労災保険のほうはだいじょうぶだという回答をしておるということを私は聞いておるのです。そうでしょう。そうしますなら、そういう災害を免れなくちゃいかぬが、万一のことがあった場合は労災保険という問題が成立しなければいかぬと。したがって、谷黒組がそれを口頭で請負をして、後日農林省に対してこの土地改良の応急処置の請求としてそういう方向で出せばいいじゃないかということは、これはだれが考えたって出てくる問題なんです。そういう過程があるのに、それを事後の問題だと。ところが、事後の問題でありますけれども、緊急やむを得ない処置には事後に精算をするという形になっておるでしょう、政府の補助金というものは。事後に精算するということになっておる、補助金は。そうするならば、途中で起こったのだから、その過程は善意な解釈で成り立つじゃないか、また当然のことじゃないか、夫役という考え方をするのがおかしいじゃないかと、私はこう考える。その点をはっきりしておいてください。

 

○政府委員(大和田啓気君) いま問題になっております事件につきまして、これは全然夫役でないというふうに結論を下すこともいささか無理ではないかと思います。私どもも補助対象にするかどうかということは査定のときに判断をいたすわけでございますから、申請書、証拠書類等々をそろえた上で判断をいたすわけでございますし、夫役であって雇用関係がないというふうに判断をいたす場合も事実ないことはございません、災害復旧事業につきまして。したがいまして、一律に、先生がおっしゃいますようなこういうケースでは夫役でなくて雇用だというふうには私は断定できない、こう思います。

 

○高山恒雄君 それならもう一つ聞きますが、一体、農林省はこういう災害に対する補助金を出そうという場合は、まず臨時処置が先なのか、申請の前提が先で許可しなくちゃならぬという考え方のほうが先なのか、どっちですか。二つあると思うのだがね。あなたは事後処置もある、当然緊急やむを得ないときはやってもらいたい、こうおっしゃっておる。それで事後処置をします。むろん大きな補助金ということになれば、大工事ということになれば、事前でなければとうていこれは許可にならないと私は思いますよ。その二つのケースがある限りにおいては、途中で起こった災害に対してはもっと建設的な意見があってもしかるべきだと私は思うのだが、どうしてそうこだわられるのですか。

 

○政府委員(大和田啓気君) 災害復旧事業の処理といいますか、査定といたしましては、私ども二つ重要な問題があると思います。一つは、当然災害復旧事業が円滑に進むように事業をやるということでございまして、先ほど申し上げましたように、査定には若干の時間がかかりますけれども、それ以前に、必要ならば応急措置も認めるし、あるいは必要ならば査定前に本格的な着手もけっこうだ、こう申し上げておるわけであります。それと同時に、やはり国費のむだ使いを防ぐと申しますか、査定はやはり厳格でなければなりませんから、要らないものはどしどし査定で落とさざるを得ないわけであります。私ども相当な時間をかけて慎重にやっておりましても、なお会計検査院から査定が甘いという批評をよく聞くわけで、国会の決算委員会におきましても絶えず指摘を受けておるわけでございますから、この二つの前提といいますか、重要な条件は私どもくずすべきではない。災害復旧事業を円滑にやるということと国費のむだ使いを防ぐというこの二つのことは、これは至上命題であると考えております。

  〔理事藤田藤太郎君退席、理事佐野芳雄着着席〕

 

○高山恒雄君 この問題は、私はそれだから大臣に来てもらいたかった。きのうから要求しておる。これは大事なことですよ、この問題の解決には。それで途中で大臣が来ない、こういうことになって、あなたに来てもらったのだけれども、あなたの答弁は逃げる答弁だ。そんな答弁ではだめだ。

 そこで大臣、これは先ほど森委員も非常に追及されたごとく、社会問題ですよ。私はこれは労働省と農林省が十分なる話し合いをして災害の対象になり得る方法をとっていただきたい。私が申し上げておるのは一つの例かもしれぬ。しかし、完全に農林省がそれを承認するならば、私は、労働省としてはこれは労災をやはり適用すべきだ、こう考えるのです。したがって、この問題についてはいまここで追及しても時間がないようですから、労働大臣も、法的にはなるほど局長の言われるような点もなきにしもあらずです。けれども、いま夫役を使ったということについては、わずかに一七%だと言っておられる。いまの時代に夫役というのは、ほんとうを申し上げますと、その地域において雑草があまりにも深くなって配水がうまくいかないからその地域の方で夫役的な犠牲的なものも考えて、あるいは配水状況も考えてやろうというのはこれは往々にしてあると思うのです。今度のはそういう問題じゃないでしょう。農民にとっては生きるか死ぬかの隧道の整備だ。緊急やむを得ないもの、こういう問題に対しては私は善意ある解釈のもとに何とかして災害の対象になり得る方法を、労働大臣、ひとつぜひここで確約をしておいてもらいたい。

 もしこれができぬということならば、いかなる方法があるのかわかりませんけれども、何かほかに配慮をしたいという考え方があるのかもしれませんけれども、それは一時的な問題だ、それこそ暫定的な措置である。しかも一酸化炭素の犠牲者というものは、これはまことに多くの犠牲者が出ておることは、もうすでに三井三池の問題、夕張の問題、あらゆるところに被害者が出ております。これにひとしい相当の犠牲者が今度出ておるのでありますから、真剣なひとつ取り組み方をしてもらいたいと思いますが、なお、その処置の御回答を願いたいことと、さらに私は一つだけ質問申し上げておきたいと思うんですが、この一酸化炭素の犠牲者であります。私はこの三井三池の患者を現地で見舞いをして来たのでありますが、どうも三年という長い年月になりますと、かなり入院しておられる方ももう困っておられるんじゃないかと私は思うんです。単なるその補償という問題だけでなくて、むろん家庭の生活がありますから補償は当然のことでありますけれども、精神面ですね、精神面の一体見舞いをどうするかというようなことは、これこそ社会問題の一つとして大きく考えなくちゃいかぬ問題ではないか。

 そこで、私は一つだけ私の考え方を申し上げておきたいんですが、この三年といいますと暑いときも寒いときもある、私は暑いときに行ったんですが、あの暑苦しい中でよくも三年間私はおられたと思う。そうして家族の方も付き添っていろいろなリハビリテーションですかこれを実施しておられる。これもできることならば一カ所に集まっていただいて、そうしてもっと基本的な訓練をしてはどうか。ところが、そのことを担当医師に聞くと、予算も十分でない、ほんとうは一週通しにやりたいんですけれども、週に二回しかできない予算だ、したがって、いま二回だけやっております。こうお医者さんは回答しておりましたが、予算さえあればそれができるのか、そういう質問をしたところが、予算があればもっとそれをやりたい、こういう回答をいたしておりました。したがって、これはほんとうに今日長い間入院しておられるその人の立場に立って、政府としては一カ所に集めて、そうして療養させるべきだ。傷の場合は別ですが、三症あるいは四症というような人もおられる、こういう人をできるだけ一カ所に集めてやるべきじゃないか、こういう感じを私は受けたんですが、これについてもひとつ政府の考え方をお聞きしたいと思います。

 

○国務大臣(小平久雄君) まず第一点の、今回の事故に対する補償の問題でございますが、これに対する私の考え方は、先ほど森先生に詳細申し上げたとおりでございます。すなわち、結論的に申しますならば、今日この場において私が労災保険で補償いたします、こういうお答えは私は残念ながらできないのであります。気持ちとしては、私は実際先生方のおっしゃるのはよくわかるんです。さらにまた、ざっくばらんに言えば、私のくにで起きた事故ですから、どこで起きた事故だからどうという取り扱いに甲乙があってはいけませんが、やはり一人の人間として考えれば、やはり自分の故郷のことですからぜひやってやりたい、こういう気持ちは当然あるんです。しかし、やはり一面において法をあずかっているという立場からいたしますならば、やはりいかにこれを最大限に運用するにしても、さき申しますとおり、おのずから一定の限度というものはどうしてもあることはやむを得ないところだと思うんですね。そういう点からずいぶん詳細に調査検討さして、これも先ほどから局長が申しましたが、あるいは農林省の希望もありまするし、ひとり農林省や、役所の希望ばかりでなく、国会においても皆さんの御意見を伺っておりますと、もうほとんど全部といっていいぐらいこれは保険でやるべきだ、こういう大体御要望でございます。それはよくわかるのでありまするが、しかし、いま言うとおり、私は法をあずかっている以上は、その間違った、少くも許すべからざる一線をこえて運用というものをやはりどうもやるということはいかがなものであろうか、こういう点であります。それはもちろん最終的な結論ではございませんが、私の心境と申しますか、方針と申しますか、以上申しましたような立場において私は十分善処し、努力いたしておるわけなんでありますから、一応、一両日中に結論を出して関係当局とも相談をして、まあこれならばという、世間でも納得いただけるようなことをぜひやってあげたいと、こういう気持ですから、ひとつしばらく御猶予を願いたい、こういうことであります。

 なお、三池の関係につきましては、詳細は局長から説明いたさせますが、確かに先生御指摘のとおり、事故発生以来三年も経まして、ほんとうにいまだに入院をして治療をされているというような方々については、私は非常にお気の毒にもちろん考えておるわけでありまして、従来は、この法のこれまた許す限りにおいてはできる限りのことをとにかくしてやろうじゃないか、こういうことで今日までやってまいっておるわけであります。治療につきましては、先生も御承知と思いますが、医療委員会ですか、権威あるそういう方々にお集まりいただいて委員会をつくって、その指図に従いながら治療をやっていると、こういうことでございます。施設その他についても、確かにそれはまだまだ足らぬところもございましょうが、単に予算的な措置でできないというような面がかりにありますならば、これは十分実情をもちろん調査させまして善処したいと思います。

 

○高山恒雄君 予算が十分じゃないという点、ちょっと……。

 

○理事(佐野芳雄君) 速記をとめて。

  〔速記中止〕

 

○理事(佐野芳雄君) 速記をつけて。

 

○藤田藤太郎君 黒磯の問題について、私たちも現地へ行っていろいろやってきたわけです。見てきて、大体のアウトラインは把握しているつもりです。きょうは農林大臣も来ていただいて、農林省はこういう人間の生命とか人権に対する問題が、労働問題が農林行政にあるのかどうか。非常に無関心だと私は思うので、それでその点を明らかにしてもらいたい、こう思っておったわけです。たとえば林野庁にしたって、政府がやっている事業でありながら四万人も季節労働で、あとを追っ払うというような事業をやって、これはようやく前の国会で計画的に年間労働をやるということになりつつあります。しかし、たとえば出かせぎにしたって、失業保険の金さえとったらいいんだというような調子で、何ら農林省は農民に対するめんどうを見ない。これは農地局長に申すほかしかたがない。農林省に申しているんだからよく帰って伝えてもらいたいと思う。今度の問題でも、あなたの発言を聞いておると、労災保険を適用してもらったらいいんだ、労働省で研究してもらったらいいんだというような発言が出てくるわけですね。私はそのことが非常に残念でしようがない。三十八年に谷黒組が雇用をやって、賃金形式をとっている。それで毎年土砂や率刈りや何かもみんな勤労奉仕でやっているわけです、あのあぶないところを。たまたま事故が起きなくて、そして平静のときには勤労奉仕というかっこうでみなやっている。たまたま今度土砂が多く出ているから、三十八年に見合って請負でやろうということになった。その事件が起きたのが七月の八日ですよ。田植えが終わったのが、私は大体あの辺では早いと思うのです。どんなおそいところでも六月中にたんぼを植えなければ、一日ごとに減収だというのは農林省の常識だと思うのです。水が来なければ稲が枯れる。そういうかっこうで、水は緊急の問題として県の農務部へどんどん申し入れて、査定をして事業をやりたいというので、ようやく報告書が八日に至ってできて、そして九日に査定ということに順序はなっておりました。しかし、その事件が起きて、人間の補償をしてあげなければいけないということになってきたら、自分の関係の行政じゃなしに、労災保険でやったらいいのだという、農民の補償というものはない、作物の補償はあります。人間としての補償は農林省には行政上にはないわけです。そうして、今度は労働者災害補償法におんぶしたらいいんじゃないかという、そうは思っておられぬと思うけれども、何かそういう感じでものをおっしゃっているように私は聞えます。おっしゃっていないというならもっと積極的に、二十五人死んで二十六人入院中の患者をどう見るかということをお考えにならなければならぬと思うんです。労災病院から鉄の肺を送ってきたり、いろいろな措置は講じられております。それは一酸化炭素という災害にぶつかって、その関連の業務としてやってもらってけっこうなんでありますけれども、しかし、農林省は、農民の生命を保障するなんというようなことをどうお考えになっているか。こういう事件が起きたけれども、先日も新潟に災害が起きたというなら、農民の災害補償をどうするかということを真剣にお考えになってあたりまえだと私は思う。他の制度におんぶするというならおんぶするような、労災保険会計に農民が出せなければ、農林省が代って労災保険会計に――あれは独立会計ですよ。そこへメリット制で資金をつぎ込んで、その一応保険経済の中で、農民の災害が起きたときに処理するなら処理するというふうなぐあいにお考えになるのが私は当然だと思う。その当然なことをおやりにならないで、労災保険で結論をつけてもらったらけっこうだというような話だけでは、私はどうも納得がいかぬのです。先日も現地に行ったら、県が百万円出しましたと、こうおっしゃる。それは代表で農務部長がおいでになっているから、県の代表の御意見でありましょうけれども、けれども本質的にはそんなことじゃ私はないと思う。それで、いまの基準局長や、そこらのさっきからの質疑を聞いておって、肝心の雇った業者が基準法の違反になりそうだと思ったら、わしは知らぬという逃げ方をする、そんなことじゃ労災保険にかけた、補償をした、裁判でこれはノーだったということになったら、労災保険はどのようになってしまうか、この問題が引っかかってくるわけです。だからそんならば、私は振り返って、労災保険にかけるというなら、谷黒組が正式にその事業を請け負って、農林省が査定して、そうして事業としてやったんだということを明確にしなければ、私はなかなかむずかしいだろうと思う。しかし、あらゆるものを乗り越えて、人道の立場に立って、この皆さん方の補償をどうするかという相談でわれわれは頭を悩ましているところなんです。だから、そこらあたりを農林省も真剣に考えていただかなければ、ただ、あなたまかせでこの問題を議論するというのは…。私ども何とかして労災保険の中に将来の農民の災害補償の問題を含めて、労災保険の適用をやって、拡張しなければならぬという私たちも考え方に立っているわけであります。しかし、農林省の考え方が、何かあなたまかせのような考え方だ。将来の農民の生命というようなものにもっとこう真剣に取り組んで、ここでどうしようということなら一番先に動かれるのが農林省じゃないか。農地局長が直接の担当かどうか私は知りませんから、私の係りでないというなら失礼いたしますけれども、これは農林大臣も含めて、農林行政に私は言いたいことを言ったわけであります。先ほどからの質疑を聞いていると、どうもその辺が基本的な問題が全部はずされてしまって、どうも出かせぎの保険、失業保険があるからもらえばいいじゃないかという考え、今度も労働災害保険があるから、そこから金を何とかすればいいじゃないかという考え方では、農林行政としては少しわれわれは納得しにくいところだと思う。そこらあたりを、あなたの直接関係でなければよろしゅうございますけれども、農林行政の中で真剣に考えていただかなければ、将来このような問題が起こるのではどうにもならぬでしょう。労働省が労災保険を適用するというなら、農林省が率先して適用できるような条件をいまこそつくるべきじゃないか、私はそう思います。何の懸念もなしに労災保険を適用できるなら適用できるように、農林省は奔走してその条件をつくるということがいま大事じゃないか、しかも、それはつくるかわりに、将来の農民の生命、災害補償というものをどうしたらいいかというものとあわせていまの条件をつくるべきじゃないか、そのことが一つも先ほどから出てこないので、私も、うずうずしておったんですが、ひとつ大和田局長、直接の関係だけでけっこうです、あとは大臣に伝えていただいて、農林行政の中で真剣に考えていただきたい、そうでなければこの問題は解決しない、私はそう考えます。

 

○政府委員(大和田啓気君) 農地局長だけでお答えできる問題ではございませんけれども、私からお答えできることだけを申し上げますと、私も今回の問題が労災補償だけで解決するというふうに考えておりません。ただ直接の補償としては、いまの制度で労災補償に持っていくのが一番いいという判断でございます。また今後の問題といたしましては、夫役ということはなかなか農村の慣行で急になくなるものではございませんけれども、夫役で働いた人がかりに事故を起こした場合に、そのつど労災補償の対象になるかならないか、あるいはならないということでは農家の人に非常にお気の毒でありますから、私どももつとめて雇用関係を明確にするように、少なくとも土地改良区における夫役というのはきわめて限られた日常の維持、管理の仕事だけに限って、それ以上の危険なことは決して夫役でやらないようにという指導をいたすつもりでございます。

 それからもう一つは、現地の農家の人たちも、水が一日も早くほしいということで、あの無理な事業をいたしたわけでございますから、結局あの地帯における水の問題はなかなかむずかしいことでございますけれども、幸いに私どもいま国営の開拓事業で那須野ケ原の総合開発事業ということを設計中でございますので、それをできるだけ早く、またできるだけりっぱにやり遂げて、なくなった人たちの霊を慰めたいという気持ちでおります。

 

○藤田藤太郎君 私はいま農地局長のおっしゃった労災保険の適用が一番いいのだと、このこと自身が間違っていやせぬか、私たちが生命、生活のためにそういう議論をして、何とか適用していこうというなら、私は当然だと思いますけれども、農林省の方が、あなたが労災補償が一番いいのだというような言い方をされるというのはいかがかと私は思う。何とかそこへ適用するような条件をこの際やむを得ぬからそういうことをやっていく、その母体は農民の災害補償を今後どうやっていくかというものとの関連によっての発言なら、幾らか私はわかるけれども、そういう問題はほっといて、何も触れないで、労災補償が一番いいのじゃないかという発言はいかがかと思いますがね。これはまあいずれにしても、私は真剣に農民の生命財産、労働災害というものを真剣に考えていただきたい、あの労災補償というのは、局長さん御存じのとおり、あれは何といってもメリット制で国は金を出さない、人を使っている人が出して、特別会計にしているところなんですから、だからそういう意味からいっても、私はいまのような発言はなかなか、むしろその中へ農林省が農民の行政として入っている、将来農民の生命財産をこのベースに入れるなら入れる、別に機構をつくるならつくって、農民の生命財産を守っていくというお話があっての、それに関連してのお話ならわかりますけれども、どうもそこらあたりがもう少しひとつ考えていただきたいと私は思う。このいろいろものを話して、いまどっから補償するかというと、まあ似たような災害補償制度がありますから、この災害補償制度で農民を救ってもらうことがいい、人間としての立場を離れれば当然のことと思いますけれども、まさかそういうことを政府の方が、何ら関係なしにおっしゃると、どうも理屈が多いかもしれませんが、そういう感じがするわけで、よろしく農林大臣に相談をしていただきたいと思います。

     ―――――――――――――

 ○理事(佐野芳雄君) 継続調査要求についておはかりいたします。

 社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○理事(佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○理事(佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

    ―――――――――――――

 

○理事(佐野芳雄君) 委員派遣要求に関する件についておはかりいたします。

 社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査のため、閉会中、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○理事(佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

   午後五時四十七分散会。