近畿圏内のカトリック教会・修道会と関連する学校・施設が、以下の要望書をFAXあるいは郵送で、府市に送る行動を展開されました。紹介します。

要望書

大阪府知事 横山ノック様

大阪市長  磯村隆文様

師走に入るとともに、寒さがきびしくなり、先日、釜ヶ崎(あいりん)地区で路上生活を余儀なくされている一人の高齢者が亡くなっています。

阪神淡路大震災以後、釜ヶ崎には全国から約一万人の人たちが流入し、約三万人の労働者が滞留しているといわれています。ところが、震災による緊急復興工事の一巡や公共事業の減少、民間建築の不振がつづき、1日あたりの求人数は4月以降、2千人前後で推移し、この10年間で最低を記録しています。このため、ほとんどの人が仕事に就きたくても仕事がなく、あぶれています。釜ヶ崎の労働者の高齢化が進むなかで、60才以上の高齢者は何ヵ月間も仕事がなく、日々の食事は炊き出しに依存せざるを得ず、路上で暮らしています。

大阪市保護課が11月28日夜、あいりん地区と隣接する浪遠区、天王寺区の20地点で調査したところでは、合計1,150人が野宿していることが確認され、この10年間で最悪の状態であることが判明しています、市民グループ「野宿者ネットワーク」の調べでは、大阪市全域で3,500人、実際はその3倍の人たちが野宿しているとみています、何年も同じドヤ、同じアパートに住んでいた多くの人たちも、家賃が払えず、そこから追い出されて野宿をするようになり、「三角公園」で実施している炊き出しも、2千人を越えています、

日本国憲法。第25条には「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある」ことをうたっています。病気や高齢などで勤労義務が果たせない人や働く意思や能力があっても、仕事のない人たちに社会福祉で「最低限度の生活」が保障され、行政府は最低限、それを守る義務があります。

そこで釜ヶ崎反失業連絡会は、越冬対策として大阪府と大阪市に次の要求をしています。

私たちは、1人でも死者を出さず、人が人として最低限生きるための当然の要求であり、年末年始を乗り切るためのささやかなものと思っています。

しかし、大阪市が臨時宿泊所の受け入れ人員を昨年から4百人増やすと答えた以外、行政当局は一切拒否していると聞いています。

これからも私たちなりに、食料や衣類、毛布などの支援をしていくつもりですが、それだけでは限度があり、行政の責任者である知事と市長が労働者の切なる声に耳を傾け、越年だけでなく、中長期にわたって生きていくために、抜本的な対策をとられることを要望いたします。

1997年12月 日

(住所)

(団体名)

(代表または個人)印

(下は、ファックスを送った人の所に、郵便で送られてきた返事です。)